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ひよっこ神様異世界謳歌記  作者: 綾織 茅
本当は怖い賑やかなお祭り
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本当は怖い賑やかなお祭り―11








◇◆◇◆




 神様の力ってやっぱり便利だよねー。


 行きたいところに道を繋げれば迷わず行ける。



 土石流の跡をなんとか元に戻し、みんなで綾芽達のところまで移動した。



 んん?


 おおっとー?



 地面に横たわる人や縄で縛られてる人。


 みんな見たことない人達ばっかりだから、きっとここの町の人なのかな?



 あ!


 綾芽発見!!



 少し離れた所にこちらに背を向けた綾芽と、それから海斗さんと夏生さんの姿もあった。


 こちらに気づいた二人にしーっと指を口に当てて、そーっと綾芽の背後に忍び寄る。


 タイミングを見計らい、勢いよく飛びつ……



「綾芽っ! ……んっ!」



 ……けなかった。


 酷い。避けるなんて酷い。


 しかも襟首掴むなんて、首締まるやつやん!



「あー堪忍なぁ。襲われる思ったんでつい」

「気づいてたくせによく言うぜ」

「なにっ!?」



 気づいてた、だって?


 姿消せば良かったー!



 ……あ、でもあんまり力を使うなって約束だったや。


 なんか色々使っちゃったけど、言わなきゃ分かんないよねー。


 ……黙っとこ。



「どうせ力使ったんだろ? 薫に宿の厨房で何か作らせるか」

「へへー」



 ばれてらー。



「……んん?」

「どーしたよ」




 夏生さんが言うことはありがたいし、いつもならそうなんだけど。


 なんか今回、あんまりお腹空いてないかも。


 おにぎりとか食べてたからかな?



「お腹あんまり空いてないから大丈夫。薫くん、怒るだろうし」



 こんな時間に!って。


 前も怒られたしなぁ。



 私は同じ轍は二度踏まぬ女だからね。


 学習できる子だから、うん。



「空いて、ない?」

「ちっともか!?」

「え? ちっともかって言われると、そりゃ少しは減ってるけど、我慢できないほどじゃないかなー。へへっ。力を使ってもお腹空かなくなったって成長したってことかな?」



 千早さまー!


 すごくない!?


 特訓の成果出てますよー!



 ブンブンと神様達と離れたところに立つ千早様に手を振ると、怖い顔で(にら)まれた。



 ちょ、調子にのってごめんなさい。



 み、みんな怖いってば。そんな睨まないでよ。



 りゅ、劉さーん!


 癒しの劉さんはいずこへー!?



 視線に耐えきれず、されどどこかに行く気にもなれず。


 仕方ないから自分の目を塞ぐことにした。



「おい、これ大丈夫なのか?」

「分からぬ。見立て通りだとまずい」

「全くまずいように見えねーんだけど。冥府の神さんなんだろ? 寿命が縮んでるかどうか分からねーのか?」



 えっ!? じゅ、寿命? 縮むっ!?


 誰がっ!?



「分からぬわけでもないが、コレは見えぬ」

「……まぁ、気持ちは分からんでもないが」



 物騒すぎる会話が耳に入ってきたんですけどー!



「誰の寿命が縮んだのっ!?」

「……俺だ」

「……まったくなー。神さんとこに一人で乗り込んでったって聞いた時は肝が冷えたぜ」



 なんだ、そういうこと。


 冗談かぁー。


 冗談にアノ人いれちゃったらダメだよ。


 なんでも本気に聞こえるんだから。



「もう一回聞いてもかまへん? ほんまお腹空いとらんの?」

「うん! 明日の朝ご飯なにかな?」



 あ、でも、あるのかな?


 こんなことになっちゃってるし。


 帰るよねー。絶対。



 まだまだ来たばかりなのに、残念だけど仕方ない……と、諦めなきゃいけないってのは分かってるけど。


 もう少しみんなとゆっくり旅行したかったなぁ。





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