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ひよっこ神様異世界謳歌記  作者: 綾織 茅
起こしてはならぬモノ
122/310

起こしてはならぬモノ―1






 病院の事件から一週間が過ぎた。


 今日もまた、朝起きていつものラジオ体操にスローガン発声。


 それから……



「遅い」



 広間で私を待っていたのはスプーンを口に咥えて手にカップを持った千早様だ。



「おはよーございますっ!」

「うむ。おはよう」



 帝様がほんわかした笑みを浮かべて挨拶を返してくれた。


 他に広間には誰もいない。


 ……ちょっとこの二人がどんな会話をしていたのか、気になったりならなかったりなったりしちゃうね。



「たちばなさんはー?」

「私ならここです」



 反対側の廊下から橘さんが朝食の膳を持ってやってきた。


 その後ろには鳳さんの姿もある。


 あの日から三日と経たずに鳳さんは屋敷での安静をお医者さんに訴え、それが許可されたらしい。


 で、何故南のお屋敷にいるかというと、これには大人の思惑が絡んでいるみたいで教えてくれなかった。



 でもいいんだ。


 桐生さんがとっても嬉しそうだから。


 その他の料理人さんや裏方さんは仕事をここでも続けるという鳳さんにちょっと微妙な顔だったけど、それでもやっぱり嬉しそうだった。



「んふふ」

「どうした?」

「んーん」



 嬉しくって身体を左右にユラユラと揺らしていたら、帝様にトンッと指で止められた。



 ……早くこんな日常が戻ってくればいいなぁ。


 せめて皆が早く帰ってきてくれれば。


 凛さんや葵さんや茜さんも喜ぶだろうし。



 そして是非とも東に一緒に行っていただいて、ホラー鑑賞会を止めるか道づ……ゴホン。


 一緒に観客になっていただきたい。



 朝ご飯を食べ終わって、少し大人のお話があるからとお部屋を出ているように言われた。


 千早様もみんなと一緒だ。


 仕方ないから縁側に腰かけ、紙風船をポンポンさせながら待つことにした。



 ただ上にポンポンさせるだけじゃつまらないから、お手玉みたいに片手交互にポンポンさせていく。



 ポンポンポンポンポ


 ……あ。



 上にあげた紙風船が風に吹かれ、門の方まで飛んで行ってしまった。



「まってー」



 丁度下駄をそこに置いていたから急いで履いて追いかける。


 運よく道路に出る前に捕まえられた。



 紙風船を拾って身体を起こしたら目の前に足。


 ……なんだかこんな展開、前にもあった。



 スルスルとさらに上を向くと、明らかに伊達メガネに違いないものをつけた人と目が合った。


 だって、前に会った時はメガネなんてつけてなかったもの。



「やぁ、一週間ぶりだね」

「……スゥ。ちは……むがっ」

「おっと、今日は是非とも君を招待しようと思って来たんだから、君が大人しくついて来てくれないと無駄足になるんだ」



 はーなーせー!!



 大きく息を吸ってそれから千早様の名を叫ぼうとしたら、例のお兄さんに口元を塞がれた。


 同時に額をツンと押された。



 なんだか変な感じがする。


 身体の周りに見えない膜ができた感じがする。


 これは……そう、普通の人に姿を見えないようにしてる時とおんなじ。



 ……ってことは!!



「僕は賢い子は嫌いじゃないよ?」



 私はお兄さんが嫌いですぅー!!



 しかもどこからどう情報を仕入れたのか、お兄さんの背後からヤツが出てきた。


 ニュルッとして、長くて、シャーシャー言ってる……とても大きな蛇。



 やっぱり撤回!


 お兄さんなんか大っ嫌いだぁ!!




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