幽霊の正体見たりなんとやら―10
※ 都槻 side ※
さて、あの子は良い子に戻ってくれたし。
今度は大人がイイ子になる番よね?
「どういう風の吹き回し?」
ほんっとうに面倒くさいと顔に書いてある千早サマが、胡散臭いものを見るような目で私の方を見てきた。
ひっどいわー。
さっきだって雅ちゃんてば、いつものように間違ってくれてたのにバラすなんて。
「元老院は人間には不干渉じゃなかったの? 思いっきり干渉しそうな顔してるけど」
「あら、やだ。バレちゃった? ……私、今日が十七年と二十三日ぶりの休暇だったのよねえ。訓練場に行って、誰にも何にも邪魔されず細マッチョ君達の身体を眺めていられると思ったのに。あわよくば防具のメンテだとか言ってお触りできるかと思ってたのに! あの鍛え抜いた身体につたう汗をぬぐってあげて、そのタオルの匂いを堪能できるかと思ってたのに!!」
「……うわぁ」
あぁ! 腹立たしいわ!!
なんで小瓶を持ってくるだけなのに、私が選ばれたのかしら!?
そりゃあ、戦闘時以外で呪物を外に出せる者は限られてくるけど。けどっ!!
何も今日でなくてもいいじゃないっ!!
「……同じオネェさんとしてどうなの?」
「ちょっと、やめてくれる? 私、形はこうでも、好きなのは女の子だもの。そこの欲塗れのヤツと一緒にしないで欲しいわ」
許すまじ元凶。
この恨み、末代どころか、本人引きずり込んで拷問にかけてもらってもまだ足りぬ。
「雅ちゃんは純粋に彷徨ってた霊を救ってあげたっていうのに。……それを助けてたヤツの原動力がどーでもいいことでの私怨だなんて……可哀想すぎるわ」
「酷い! 貴方だって、雅ちゃんが元の姿に戻って、もうすこーし大人になって、貴方が私と同じ状況になったと考えたらどうですか!? お預けですよお預け!」
「……相手祟るわね。それも、死んだ後も末代どころか本人も」
「でしょう!?」
と、いうわけで、千早サマ。
その元凶のところへ行くわよ! 今すぐ!!
※ 都槻 side end ※