幽霊の正体見たりなんとやら―9
「おっと。……よく頑張ったわね」
ちょっとふらついた私の身体をお姉さんが抱き留めてくれた。
フフッ。頑張ったって褒められちゃった。
……お腹空いちゃったなぁ。
「……お腹が減るのは良い事だわ。さ、迎えを呼んだから、一人で戻れるわね?」
「え? ちはやさまたちは?」
「ちょーっと大人だけの大事なお話があるのよ。小姫を頼むわよ」
「ミャウ」
疾風!!
いつの間にここにやって来ていたのか、疾風が私の足に猫みたいに身体を摺り寄せてきた。
疾風、みんなは大人だけの大事なお話なんだって。
それじゃあ、仕方ないね。私達は大人しく帝様達のところに戻ろうか。
「僕も一緒にい」
「まぁ待ちなさいな。貴方はこっち。大事な労働力よ」
ガッシリと両肩をお姉さんに掴まれ、千早様は身動きが取れなくなったらしい。
お姉さんは女の人にしては背が高い方で、千早様はそんなお姉さんを仰ぎ見た。
「なんで僕まで……おっさん三人もいるんだからいいでしょ」
三人? おっさんが? どこに?
おっさんって呼ばれるような人はここにはアノ人と……失礼だけど、一応オネェさんと……え?
私達からして大人に見える人はここには三人。
うち、ちゃんとおっさんというか、男の人に見える格好をしているのはアノ人だけ。
つまり……。
「次その単語を出して見なさい? ……明日の朝日は拝めないと思え」
ひ、ひぃっ!!
お姉さんの口からめちゃくちゃ低音の物騒なセリフがっ!
「……あら、ごめんなさい。ウフフ」
目を白黒させている私に、お姉さんはしなを作ってパチンとウインクしてきた。
人間じゃない人達って、どうしてこうもみんな揃って綺麗な人ばっかりなんだろう。
お姉さんはお姉さんでも、綺麗なオネェさんでした。