怒るのも仕事のうち―6
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「最近、やけに洋風なものが多いですね」
「そう? まぁ、そうかもね。あの子、なんでも食べるから、ついこっちも面白くなっちゃって。まずはやっぱり子供が好きなものから攻めていってるんだよね」
「あの子?」
「ん? あ、会ったことないんだっけ? あの子の口からもあなたのこと聞いたことないし」
あの子……あぁ、そういえば、綾芽さんが連れてきたという女の子。
確か、神様の子、とか。
「一度会ってみるといいよ。もしかしたら、気分転換になっていい考えが浮かぶかもよ?」
「そうですねぇ。とりあえず、明日にしてみます」
薫さんは私が食べ終わったのを見計らって、夕餉の膳を持って立ち上がった。
さて、私も薫さんがくる前までやっていた仕事に戻るとしましょうかね。
そのまま母屋の厨房へ戻ると思っていた薫さんが、アッと声を漏らし、扉に手をかけたままこちらを振り返った。
「綾芽がね、仕事が忙しくなりそうだから、薬多めに作っておいてだってさ」
「分かりました。研究の時間が惜しいので、なるべく怪我をしないでくださいと伝えてください」
「了解。あなたもなかなかに性格イイよね」
性格いい? なぜかあまり良い意味には聞こえないんですが。
今度こそ薫さんは扉を閉め、母屋へと戻っていった。
外は真っ暗。
研究をしていると、夜明けはあっという間にきてしまう。
でも、目元に隈なんか残して女の子に会うわけにはいきませんし、今日は少しでも寝ないといけませんねぇ。
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