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ひよっこ神様異世界謳歌記  作者: 綾織 茅
それぞれの道
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それぞれの道―8







※海斗 side※



 いよっしゃ、みーっけ!



「おーい! 夏生さん、こっち見つけたぜ」

「今行く」



 ばらけて他の場所を探していた夏生さん達を呼び寄せた。


 綾芽は……あっ!

 あいつまた自分だけサボってスマホいじってやがる!!



「おい、綾芽! 何してやがる!! 俺達は仕事に来てんだぞ!!」



 そんな綾芽を目ざとい夏生さんが見逃すはずがなく、すぐに叱責の声が飛んだ。


 へっへっへっ。怒られろ怒られろ。もーっと怒られちまえ。



「いやいや、遊んでへんて。薫から連絡ですわ。瑠衣はんがあの記憶、取り戻したかも、て」



 は!? マジでかっ!


 いやいや、おかしいって! だってそんなはずねぇだろ!?


 俺達が都を離れてまだ半日も経ってねぇんだぞ?


 年単位で忘れられてたもんを今更なんで思い出すんだよ!



「……その話は後だ。ひとまずこっちを片付けるぞ」

「はいはい」



 ギロッと睨む夏生さんに、綾芽は両手を上げて降参ポーズをとった。



「……なんの異常もなさそうだけどな」

「あぁ。一応清めとくか」

「劉。車に積んどる神酒と塩持ってきてくれへん?」

「はい」



 黒木さんがついてて、何があったってんだ。


 ……あー畜生! そっちが気になって龍脈どころじゃねぇ!!



「まったく。次から次へと問題が起きやがって。頭が痛ぇ」

「巳鶴さんにもろた頭痛薬いります?」

「……いらねぇ」

「飲んでた方がいいぜ? 酷くなったらいけねぇだろ?」



 ……これが飲んでも大丈夫なヤツなのか確かめるためなんかじゃねーから。


 そんなこと思ったこともねーから。



「お待たせ、します、た」

「すまねぇな。……ん? ありゃあ、南の陽炎(かげろう)じゃねぇか?」

「ほんまや」



 神酒と塩が詰められた板箱を劉から受け取ろうとそっちを向いた時だった。


 見覚えのある鳥影が俺達がいる方へ飛んできているのが見えた。


 鳳が南から西へ移る時、一緒に連れていった式。それが鷹の形を模した陽炎だ。


 陽炎は次第に距離を縮め、若干ビビるくらいのスピードで下りて……



 ……って、待て待て待て!!


 やっぱりかよ!! こっち来んじゃねぇ!!



「うっわ! おまっ! いった!! しっかり掴むんじゃねぇ!! 加減しろ加減!!」



 こんのっ!! いつか燃やしてやろうと思ってたんだが、今やってやろうか!? あ゛ぁん?


 バサバサと居心地が悪そうに掴まり所を探して動くもんだから余計に痛い!



 ……あぁあぁあぁ。


 鋭く大きな爪で掴まれたせいで着ていたジャンパーの肩の部分がボロボロになっちまった。


 何が起きるか分からねぇからって高級品着てこなくて正解だった。



 そんでも結構気に入ってたから、後で主にしっかり請求させてもらうからな!


 畜生!!



「あ、ちょっと海斗動かさんといて。なんか足首んとこ紙結わえてるわ」

「じゃあ早くこいつを引き剥がしてくれよ。……いった!! 痛ぇって言ってんだろ!!」



 なんだよ! あいっかわらず主に似て憎ったらしい奴だな!!


 なんでいっつも俺目がけてくんだよ!!



「……夏生はん。鳳はんが重傷やて」

「なんだとっ!?」

「そんで離反者もかなりの数出たらしいわ」

「誰からだ?」

「西の泰原(やすはら)。鳳はんが西の中でもまともや言うてた人やろ?」

「あぁ。なら前のと違って今回の情報は正しいか」

「どないしますの?」

「……離反者の名前だけ控えとくように言っておけ。北の八尋(やひろ)にも伝えて西の指示系統に介入するように伝えろ。南には俺が指示を出す」

「了解。西には陽炎が戻ってくれるとして。北と南にはこっちから式を飛ばすぜ」

「あぁ。……ったく、今日はなんて厄日だ」



 まったくだな。


 ……これが偶然だってんならおっそろしいな。



※ 海斗 side end ※




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