バラとタンポポ
あるところにバラに憧れていたタンポポがいた。
タンポポはバラのその綺麗な容姿や色とりどりの仲間たちが羨ましかった。
「どうしてそんなに綺麗なの?」タンポポはバラに尋ねた
「私だって好きでバラになったわけじゃないのよ」
「でもバラに生まれるなんてみんなの憧れじゃない。綺麗だし、見栄えもいいし、人間にも好かれる。そして何よりも香りがとても素敵だし。」
タンポポは自分の姿とバラを見比べて溜息をついた。
「そうかしら…」バラはすこし儚げな顔をしてタンポポを見つめた
「あと、、2週間もしてみなさいよ。あなたの素晴らしさがわかるわよ」
タンポポにはその言葉の意味がわからなかった。
2週間後、
タンポポは綿毛となった。
子供たちが嬉しそうに、
そして楽しそうに笑いながらお互いを紡いでそっと綿毛を吹いたり掌で包んでいた。
タンポポはそれが何よりも幸せだった
雑草だと思っていた自分が何よりも子供たちに喜ばれているのだ。
「バラさん、あなたの言っていたことがわかった気がするわ。私、子供達に可愛いと言われて嬉しそうな笑顔を向けてもらってるもの!!」
「そうでしょう。」
タンポポはバラの姿を見てびっくりした
あの綺麗だった、何枚にも重ねたドレスはしおれて少なくなり、無造作に棘だけが突き出ていた。
「私たちは時期を終えると惨めな姿になるのよ。棘が危ないと言って子供達は触らないし、摘まないの。」
「タンポポさんには貴方らしい良さがあるし、私達には私達だけの良さがあるの。それぞれ違うのよ。」
「私はバラで良かったと思ってるわ。バラ以外にはなれないし、貴方のように子供達の笑顔を引き出すことは出来ないけれど、恋人たちの愛を紡ぐことはできる。」
「タンポポさんは、タンポポらしく生きなさい」
「それが一番の輝きになるんだから」