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七話 VSシュンツ・オードウィン2

 5メートルほど上空にいるシュンツに向かって跳躍したクレイは、半分ほどの高さの位置で叫んだ。


「【結界飛翔(フォースウイング)】!」


 掛け声と共に、先程の【結界障壁(フォースシールド)】と同じ半透明の結界がクレイの靴裏から(・・・・)出現する。

 クレイは空中で停滞するその魔法板を蹴る事で更に跳躍した。

 蹴られた魔法板は音が響き振動し、少し時間が立つと露のように消えていく。

 その【結界飛翔(フォースウイング)】が消えるより早く、空中で加速したクレイはそのままシュンツに斬りかかった。


「うわおわっ!?」


 シュンツは足から放出される風を更に噴出させる事で、身を翻しその斬撃をまたも間一髪で回避する。


「そ、そんな事も出来るんすね! でもッ!」


 一撃をかわしたシュンツはクレイの方へ目を向ける。

 奇襲に失敗したクレイは再びそのまま地上に落ちようとしている。

 今回は不意を突かれ危なかったが、その動きに警戒していれば空中軌道を維持できる自分の方に分がある。


 ────と言う甘い考えはクレイの次の行動に簡単に打ち破られる事となった。


「【結界飛翔(フォースウイング)】ッ!」


 クレイは再び魔法板を靴裏から生み出し、それを足場に空中宙返りをしながら更に跳び、シュンツの上を取る。


「なっ!?」


 筋翼人(バーディアン)ならいざ知らず、同じ人間に頭上を取られた事などないシュンツは驚愕した。


「くっ! 【天空殺法(ヘヴンドライヴ)】!!」


 そこでシュンツが行った行動は、クレイから距離を取ること。

 自らも足から風を放出しその反動で素早く後退し、クレイの空中ジャンプ斬りを避わす。

 が、


「【結界飛翔(フォースウイング)】ッ!!」


 クレイは三度(みたび)靴裏から魔法板を生み出すと、シュンツが逃れる方向が予めわかっていたかのように軌道修正し距離を詰める。


 このように、シュンツが魔法で風を生み出し(はや)く滑らかに空を翔び回るのに対し、クレイは魔法により足場を造り出し鋭く直角に空を跳び直す。


「ひぃっ!」


 体勢が崩れぎみなシュンツは、迫るクレイに向かって鞘付きの剣をややヤケクソ気味に振るう。

 鞘同士が空中で激突し、互いに同じ方向へ移動していたためその方角へ勢いよく飛ぶ。


「へ、【天空殺法(ヘヴンドライヴ)】!!」


 吹き飛びながらもシュンツは自身の魔法を制御し直し、クレイの更に頭上を取るように飛び上がった。

 ここでシュンツが警戒したのは先程と同じ【結界飛翔(フォースウイング)】による更なる追撃。クレイならばややバランスが崩れた今からでもきっと可能であろう、しかしそれも予測さえしておけばまだ五分の戦いが出来る。


「【結界曲鞭(フォースウィップ)】ッ!」


 しかし、そこでクレイが行ったのは魔法板の精製ではなく、しなやかな魔法ロープの精製であった。

 クレイは左手に生み出した【結界曲鞭(フォースウィップ)】を上空に振るうと、その先端がシュンツの右足に巻き付く。

 そしてクレイは、そのまま重力に従い自由落下に身を任せた。


「へ? うわあああああぁッ!!」


 結果、足にロープを巻き付けられ強引に引っ張られる事となったシュンツは勢いよく地面に叩きつけられる。

 一方クレイは地面に足が触れる瞬間、丁寧に足を曲げることで衝撃を逃がし着地した。


「い、いでぇ……」


 そして【結界曲鞭(フォースウィップ)】が巻き付けられたまま倒れたシュンツに、ゆっくりと剣を突き付ける。

 倒れたままその様子をみたシュンツは、全てを認めて呟いた。


「あ~……オレの負けッス……」



「試合しゅ~りょ~!」


「お前ら飛びすぎ、首が痛くなっちまっぜ」


 クレイとシュンツの戦いが終わり、二人の元にリールとブレイバスが近づいてくる。

 リールは戦っていた二人を順に見比べ、まずはクレイに向かって話しかけた。


「クレイも左手ケガしてるけど、後で大丈夫だよね?」


「あぁ、問題ない」


 返事をしながら【結界曲鞭(フォースウィップ)】を解くクレイ。

 その様子に満足したリールは倒れたままのシュンツの方へ足を運んだ。


「お疲れ様っ! じゃあまずシュンツさんから癒すねっ! 一番痛い所は背中かな? 大変だろうけど頑張って起きて?」


「え? あ、はいッス……」


 リールに言われるがままシュンツは身を起こすと、リールは地面に激突したであろう打撲箇所に優しく手を触れる。


「【愛の癒し手(ヒーリングタッチ)】」


 呪文と共にリールの手が淡い光を放ち、それがシュンツの背中へと移ってゆく。


「あー、面目ねぇッス……」


 シュンツは視線を落とし悔しそうにしながらも、リールの回復魔法を素直に受け入れた。

 彼の目的は『リールと仲良くなること』だと予測は出来るが、それでも自分から持ちかけた勝負に敗北し相手の世話になっているこの状況で表情を弛ませるほど呆けてはいないようだ。


「しかし、中々のモンだったぜ? なぁクレイ」


「あぁ、これほどの実力者なら問題ないだろう」


 その横でシュンツ達を見ながらブレイバスとクレイが話し出す。

 二人のそんな会話を疑問に思ったシュンツはやや間の抜けた声をあげた。


「え?」


 そんなシュンツに方を向き直り、クレイとブレイバスはそれぞれ言葉を投げ掛ける。


「一緒に来るんだろう? よろしく頼むよ、シュンツ」


筋翼人(バーディアン)に詳しいんだってな、色々教えてくれよ!」



 空中戦描写難しすぎワロツァッ!

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