関係
久しぶりの投稿で忘れてる人がいるんじゃないでしょうか。
実際、内容をおほまえてません私は
「おはよう、亮ちゃん」
「お、おうおはよう」
翌日の朝。
校門の前で優希と出会う。
手を振りながら終始笑顔の絶えない優希を見てホッとする。
いつもの優希だ。へんに緊張しているのはどうやら俺だけのようだ、ここは切り替えていつものクールでハードボイルドな俺にならなくては。
♢
「で、兄さんは意識しすぎて会話が噛み合わなかったと……なんで私に相談してくるの?」
「いやこいうの小説家の日向からしてどうかなって……こいう展開とかなんか打開策はないのか!?」
「兄さんのヘタレ、マジファック」
「お前日に日に口悪くなってないか?」
「家族だから」
「いや、家族でも真顔で『マジファック』なんて言われねえよ?」
帰宅して日向の部屋に駆け込んだ俺はまるでクソを見るかのような妹の視線を耐えながら事の顛末を伝え、助言をいただくような構図となっている。
もちろん俺は正座である。
椅子に座ってプラプラと足をぶらつかせ面倒くさそうに日向は語る。
「だいたい兄さんは他の女の子とイチャイチャしまくってるのになんでそんなにヘタレなの?」
「いやイチャイチャなんて……」
「ダウト」
「なんで!?てかお前怒ってるもしかして?」
「……全然」
「嘘つけ!」
だったらそんなムスッとした顔しないでくれよ、意外と感情が出やすいタイプなんだな日向は。
「だって兄さん嘘をついてる」
「俺が?」
「……そう」
「まてまて嘘をついた覚えなんて全くないぞ」
まどろっこしい会話が続く。
数年ぶりに会話した時はかなり強行突破だったから怒るのはわかるがなんで今回はそんなに怒ってるんだよ。
妹とはこんなに複雑な生き物なのか?
「いや、だから……」
だからの続きが出てこない。
顔面を真っ赤にしてどうしたのだろう。
日向――空野向日葵先生。
やはりまだ俺との会話に慣れていないのだろうか。
「あああ!もう!」
椅子から立つと、ズイッとスマホの画面を押し付けられ、見ろ!と言わんばかりに俺を睨んでくる。
一体なんなんだよ。
「これっ」
「えっと……これか?……ん?こ、これは」
日向が俺に突き出してきたスマホの画面には昨日の優希との一部始終が動画におさめられていた。
「お前撮っていたのか!?」
「思わず撮っちゃった」
「撮っちゃったってお前……」
ニヤニヤとだらしない顔をした俺が画面に映る。
なんだろう、すごく恥ずかしい。
「イチャイチャしてる、兄さん嘘つき。それに兄さんはなんで優希先輩の気持ちに答えてあげれないの?」
「それはーーー…………」
俺は俯き黙り込む
分かっているさ、優希の気持ちなんてとっくに。
「兄さんは嘘つきなんだね。イチャイチャなんてしてないなんて嘘ついてそれに女の子も悲しい思いをさせる人なんだね。そんな兄さんなんて大嫌い」
あそこまでされたら好きだって気づかないバカはいない。
けどな俺と優希に万が一だかこの関係が崩れたらと思うと有耶無耶にして鈍感系主人公の振りをしなくちゃならないじゃないか。
優希は幼馴染みだだから分かる。
あいつが終始笑顔なのはたとえ辛い時でも笑えとあいつの母親から言われたことを律儀に守っているからだ。
たとえどんなに辛くてもあいつは弱音を吐かねえし、涙だって見せねえ。
だから俺が昨日、優希の気持ちを無下にした時だってずっと笑っていた。
多分辛いはずなのに。俺に気を使ってずっと笑っていたんだ。
言って壊れてしまうものだってある。言えば伝わるだろうか。
言うことや伝えることの辛さも知らずに。
「俺は……今の関係を崩したくない」
「……それなら優希先輩の気持ちは無駄にしていいの兄さん?」
まさか妹に説教されるなんてな……兄失格だな。
「……駄目だな。ちょっと俺あいつの家行ってくるよ」
俺はスクっと立ち上がり日向の前に立つ。
「ありがとよ日向、お前のおかげで何をすればいいかわかった気がする」
ムスッとした表情のまま日向は
「……別に」
プイっと顔を逸らす。
「晩御飯は少し遅れるけど待っててくれるか?」
「……早く行った方がいいと思うけど」
「そうだな、じゃあ行ってくるよ!」