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妹は俺を愛しすぎている  作者: 黒タイツ
12/17

黒ちゃん

「で?結局何も話せず終わったと?」

「は、はい」

「はあー、もう亮ちゃんの会話スキルってゼロに近いじゃないの?結局このままでいいやとか思ってるんでしょ」

「……でへ☆」

「……キモ」

「最近思うんだがお前といい妹といいキモイキモイ言い過ぎだと思うんだが……」



妹の部屋に突撃してはや三日、昼休みになるとガヤガヤと生徒のざわめきが騒がしくなる。そんななか教室の中で俺たちは話していた。



「男の娘でもないのに頭コツンなんて誰得なのよ」

「すまん、俺が気持ち悪かった」


生まれて初めて言ったぞ、自分自身を気持ち悪くてごめんなさいとか。


「まあ、少しは日向も喋るようになってきたしな。少しぎこちないが」


自慢するように腕を組み俺は胸を張った。



「へえーどんな?」

「『兄さん…お腹空いた』『兄さん、味が薄い』『兄さん今日は椎茸ナシがいい』『兄さん(ry』……どうだ!すごいだろ!日向が晩飯を楽しみにしてくれてるんだぞ!」

「亮ちゃんもう家政婦になっていない?気のせいかな?」


こうして俺の主婦スキルが上がっていくのだ、将来有望すぎるだろ俺。

目指すは世界一の専業主夫マスターである。



「まあ専業主夫だなんて甘い考えは置いといて」

「う、うむ」


俺の周りの女子はみな心でも読めるのだろうか、俺の考えバレバレなんだけど。


「今日も私行くよ?」

「え」

「なに嫌なの?」


人数分の晩飯をつくるのがめんどくさい、と言おうとしたが不満げな表情の優希を見て喉まででかかった言葉を一気に飲み込んだ。

多分、嫌だと言ったら俺の黒歴史を引っ張って弄って来るに違いない。爪と肉のあいだに針を入れられるようなものだ、はっきり言おう。幼なじみほど怖いものは無い。



「い、嫌じゃない!むしろ大歓迎だ!」

「そう、ならよかった。今日はオムライスがいいな」

「またかよ……」

「何度でも食べたいから同じ料理にするんだよ?亮ちゃんの料理はなんでも美味しいけどオムライスが好きかな私は」

「へーそうですか」




さて今日もスーパーに寄りますかね、確か今日はバーゲンだったはず。


「で、今日はお前らで遊ぶのか?」


一応確認の意味を込めて訊く、二人なら俺と親父、おふくろのぶんも作らなくては。


「うん、私ともう一人遊びに来るよ」

「へー、え?ちょっと待て」

「なに?」

「もう一人来るの?」

「うん、そうだけど?」



何言ってんのコイツ、っと言いたげな顔で眉を八の字にする優希さん。

オムライス何個作るんだまったく、料理をするのは好きだがウチは飯屋じゃないぞ。


顔をしかめてももちろん俺に拒否権はなく、あっというまに放課後となりそのままスーパーへ直行した。






「さてと……」



自宅の台所に立ち買い物袋を床に置く、相変わらず綺麗なシンクだぜ、お前だけが俺の癒しだよナタシー。

無機物に話しかける姿を誰かに見られても俺は別に構わないよ、なんでかって?他の黒歴史比べたら軽いもんだ。


ナタシーに別れをつげガサゴソと買い物袋を漁る。今頃妹の部屋では優希と日向がゲームで盛り上がっている頃だろう。

優希の野郎は家に着いた途端、荷物を全部俺に預けて妹の部屋に行きやがった、買い物袋と通学バッグ持っているのにこの仕打ちとは許すまじ。せめて自分の荷物ぐらい責任もって持てと言いたい。


制服から私服に着替えると俺はテンションをあげるため声を上げる。

「エプロンを装着!手洗いオッケー!衛生面問題なし!」


……よしやるか。


玉ねぎを数個取り出し、牛刀でみじん切りに少々粗めに切っていく。


くっ、タマネギは相変わらず目にしみるぜ!


俺だけ除け者扱いで泣いているんじゃないタマネギのせいなんだそうタマネギのな……


しばらくタマネギの涙腺攻撃と格闘しているとチャムがなった。

ピンポーン。


「ん?」


優希の言っていたもう一人の友達だろうか?

手を洗って水分を拭き取りつつ玄関へといきドアを開けた。


「はーい、どちら様ですk…」

「あ、あの日向さんはいっらしゃいますか?」


玄関に天使をかたどったような金髪美少女がいた。身長は俺の肩ぐらいまであり日向より少し高いぐらいだろうか、目は紅く、前髪はパッツンと綺麗に切りそえられ腰まであるサラサラとした後髪は風に吹かれてゆらゆらと揺れている。


そしてモジモジと身体をくねらせあるところが強調されている。

で、でかい……

思わずそのブツに目が引き寄せられてしまう。

……そうオッパイだ。

個人曰く、男は皆乳が好きである。

たかが脂肪の塊である乳だがある法則によって私達は引き寄せられる。物が重力に従って落ちるようにまた乳にも重力のようなものが発生しているのだ。人はこれを万乳引力の法則という。

そこに山があるから登ると名言を残した人のごとく、そこに乳があるから目が引き寄せられてしまうのだ。



「あ、あのお……」

「はっ!」



いかんいかん、見事なまでのパイ乙に目を奪われてしまった。


「日向さんはいますか?」

「あ、ああ!いるよ。日向は二階の部屋にいるから」

「ありがとうございます」


ニコッとした表情に思わず見とれてしまう。


……か、可愛い。

多分俺が中学生の頃にこの子にあっていたら一目惚れして告って振られるだろう、って、振られちゃうのかよ。

そこまで予想できるのは容易いことだ、何回俺が告白して砕けて来たか忘れてはない。

砕率百パーセントの天野涼介である。最強だろ俺。


謎理論を展開し、彼女を家の中へ入れるとそのまま階段を上って行ってしまった。




「すげえー可愛かったな」


思わず声に出てしまった。

うちの妹と比べるとなんだろうな。

もし格闘キャラで表すとしたら今の子は光属性でうちの妹は闇属性だな。

あの子の後ろから光が見えたのは気のせいと思いたいが程よく焼けた肌などまさに光属性と言いたくなるそしてあの笑顔だ。それに比べてうちの妹は闇だな、肌は真っ白だしいつも不機嫌だし、いやそれは俺のせいか。

そんなことを思考し終え、再び晩御飯のした準備を終わらせようとした時だった。


「兄さん」

「うおっほ!?お、お前いつからいたんだよ」

「さっき」

「音を立てずに台所に入ったら危ないだろ……」


俺のすぐ隣……に立って欲しかったというのは願望で俺と日向の立ち位置は約三メートルの距離がある。

音を立てずに階段を降りてきたってことだよな?コイツ暗殺者にでもなるつもりなのだろうかやはり俺の妹は闇属性だ。


「兄さん」

「な、なんでしょうか」

「黒ちゃんに手を出したらダメだよ?」

「ださねえよ!」


なんの忠告だそれ!昔の俺じゃないんだからそんな見境なく告白したりしねえよ!

……いやしないよ?


「あとパイ乙大きいけどあまり見ちゃダメ」

「それは……まあ一応努力する」


まあ無理だと思うけどな。


「あと黒ちゃんも夕食食べて帰るから用意」

「へいへい、もうやってますよ人数分」

「流石、料理だけの兄さん」

「お前今なんつった?」


最近よく話すようになった。

これは優希のおかげなのだろうか?というか一言多いなうちの妹は。


「で?今日の夕食なに?」


いつも無表情がほんの少しだけ笑みを見せる。

どうやら夕食を楽しみにしているようだ


「ああオムライスだけど」

「……また?」

「え!?嫌だったかオムライス?」

「だって……この前もオムライスだったじゃん」



まあ確かに。無表情で迫ってくる日向から威圧感が尋常じゃない、そ、そんなに嫌なの?オムライス。


「……少し工夫するからさ」

「なら許す」



どうやら許してくれたようだ。ところでそんなにオムライスいや?自分で言うのもあれだが結構自信あるんだけどあれ。



「じゃあね、あまり気安くしやりかけないでね兄さん」

「あー、うん、了解した」


まあお前が話しかけてきてんだけどなこの頃は。

日向がリビングを出ようとドアノブに手をかけた時だった。


「……今度は兄さんが作ったハンバーグがいいな」

「え?」



静かにドアをしめタッタッタッと階段をあがっていた。


何か言ったような気がするがまあいいか。

そして乾いているはずであろう洗濯物を畳に庭へ出る。


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