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妹は俺を愛しすぎている  作者: 黒タイツ
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鉄拳制裁にご注意を

駄文ですがよろしくお願いします

今でも覚えている俺に新しい家族ができた日を。

冬の寒さも残る二月下旬、空から落ちてくる雪があたり一面を白く反射させて何でもない街路を美しくそして幻想的な風景に仕立てあげている。

そして家の前では親父の新しい奥さん、つまり俺の新しいおふくろだ。その後ろに俺より一回り小さい少女がおふくろの裾を掴みながら背中に隠れている。

五、六歳くらいだろうか親父からはちょうど俺より二つ年下とは聞いていたが。


「ほら貴方の新しいお兄ちゃんとお父さんよ挨拶しなさい」

「はは、照れているのかな。ほら、亮介も挨拶しなさい」


親父に言われ会釈する。

おふくろの背中に隠れている少女もおどおどしながら顔を出した。




「……よろしくお願いします。にいさん」


雪のように白く透き通った肌に肩まで伸びている淡い青紫色の髪を揺らして朗らかに笑った。


それ以降、妹とまともに会話をしていない。










「あつい……」


五月下旬、そろそろ梅雨がやってくるであろうこの時期はだんだんと蒸し暑くなってくる

のがはっきりとわかり、俺の不快指数をガンガンと上げていく。


髪の毛がうねうねしてくるからこの時期は嫌なんだよな。と髪を右手でいじりながらそう呟く。


だが窓側の最後尾に位置する俺の席は風通しがまだよいほうだ。

下敷きでパタパタとあおりながら周りを見ると大多数のクラスメイトがこの蒸し暑さに耐えかねそうにないようだ。


エアコン?はは、エコだとかどうとか言って七月までつけないと校長の意向らしい。

冗談じゃねえよエコ以前に俺達のやる気が損なわれてしまう。

まあつけたところでやる気がでるかどうかはまた別の話だが。


キーンコーンカーンコーン。


「であるからして……もうそんな時間か。では今日の授業はここまで。そして必ず課題を明日やってくることわかったな」



授業を終えるチャイムがなったようだ。

脱力するクラスメイトを横目でみながら正面に立つ教師の話に耳を傾ける。


ストライプのパンツスーツに短く切りそろえられた真っ黒なショートヘアー、白のコートを羽織りスラリと伸びた身長は多分俺よりでかいな……百七十五センチはあるだろう。

現国担当の黒木美鈴(くろきみすず)はこの3組の担任教師だ。

自身のクラスにはよく課題をよく出すことが多く、生徒達からの不満の声は多いが大抵話し合い……ではなく拳で文句のある生徒と平和かつ穏便で最も有効的な手段をとっている。

俺も一度だけ忘れたことがあったが座った状態からノンステップでグーが顔の真横を通り過ぎていったことを今でも覚えている。

課題一回忘れてこの始末だ、二回目はないぞと耳元で言われ時の体の震えは尋常ではない。



「じゃ、今からホームルーム始めるぞ。静かにしろーお前ら」



「ねえ、亮ちゃん」


隣から声をかけられ思わずため息が出てしまった。


「なあ学校にいる時は亮ちゃんはやめろって言っただろ……」


「ごめんね……わざと」


「お前な……」


再びため息。

隣でクスクスと頬ずえをかきながらこちらを見て笑っているのは


「相変わらず亮ちゃんはからかいがあるよね」


幼馴染みの水橋優希(みずはし ゆうき)だ。

腰まで伸びたストレートの明るい茶髪をゆるく結び右肩から垂らしている。

スカートの丈を短くし髪を染めてナチュラルメイクできめている。

大人びているというより少し背伸びしているお年頃だ。



「うるせ、誰が亮ちゃんだ」


「いいじゃん、何歳になっても亮ちゃんって言うよ」


頬杖をつきながら楽しそうに笑う優希。


まったく恥ずかしいかぎりだ。

帰り道も一緒であだ名が亮ちゃんなもんだから中学ではお前ら付き合ってんの?とかしょっちゅう言われうんざりした。

高校入学してもその俺の中では定番となったイジリネタはほんの少し慣れてきたがやはりこう身体が痒いというかムズムズする。


しかし優希の嫌がる姿を見たことがない。

中学から言われ続けているが俺が反論している時いつも笑顔だったり時には「そうよー」っと言って俺を弄ってきたやつと一緒に俺をからかっていたような気がする。

あれ?いっぽう的に俺が弄られてないか?

高二になって今更気づいた俺の中学生事情。ムキになってたのは俺だけだったのか……

しかし優希は弄られた時温和な笑顔浮かべていたが本当は嫌だったんじゃなかったのか。



「なあ優希」


優希はどう思っていたのだろうかそんな思考が頭の中にあった。

気がつけば俺は優希に話しかけていた。


「なに?亮ちゃん」


「俺と付き合ってるのかってよく言われるけどさお前は嫌じゃないのか?」


「うーん、そうだねー。全然私は嫌じゃないかなー」


人差し指を顎に当て少し間をあけて優希は答えた。

相変わらずよく笑う奴である、笑顔が絶え間ないのは優希の長所なのだろうか。


「意外だな、もっとこう嫌な顔をすると思ったんだがな」



「えー私がそんなことするはずないよー」



なんて言っているがどうだろうな。


優希とは長い付き合いだがこいつの考えることがさっぱり分からん。いつもニコニコとしていてよく視界に入る、気がついたらダラダラと話している。

もしかしたら図に乗ってんじゃねえよカスなんて心の中では思っているかもしれない。

それはそれで新たな一面ということで見てみたい気もする。

まあ人の考えてることを知ろうなんて自体無理なんだろうけど。

しかし長年付きそってきた夫婦とか友人なんてだいたいパートナーや相棒の考えがわかるって言うじゃないか。

なんとなくだが相手の考えが分かると俺のおふくろが言っていた。

さすがおふくろ俺の知らないことを知っている、そこにシビれるあこがれるぅ!




「なんだよお前俺のこと好きなのか?」


ストレートに聞いてみた。

自宅に帰って今日のことを思い返すとかなり恥ずかしいことを言っていたことを悔やむのはこの数時間後だ。


「さーてそれはどうでしよーう?」


意味深長な発言だな優希らしいと言うべきか。


「ねえ知ってる亮ちゃん。少しみすてりあす?の女性ほうが魅力的だってテレビで言ってた」



「なれていない単語を使うな。アホっぽいぞ」



「いやカタカナってなんだか苦手なんだよね」


「年寄りかよ……」




まあカタカナ多用するやつよりはマシだと思うけどな。

覚えたての言葉を使いたくなる衝動に駆られ委員会会議を長引かせるやつなんていたしな。

あれはマジでやめて欲しい、皆からの痛い視線に気付かないのもそうだが自分に酔いしれること自体笑いの的のようなものだ。

懐かしいな中学三年の委員会会議で自分でも理由のわけのわからない単語を言い並べってたっけ俺。



俺の黒歴史がかるくフラッシュバックしたところでそろそろ話を切り上げるとしよう。

黒木先生から説教はくらいたくないからな。


「あ、淳ちゃん」


優希は何か見たかのように俺の後ろを指さした。


「あ、ってなんだよ。何かいいもんでも見たのか?」


「後ろ……」


「そうだなーお前がゆっくりとこっちを向いてくれたら解るぞ天野」



俺はこの声を知っている。

まあなんせ毎日聞いていると言っても過言ではないからな。

そのなんだ……向いたら殴られるし向かなくても殴られる。

どっちみちアウトなのはわかってるけど抵抗はする。


「あの先生」


「なんだ?天野」


「なぜ人には口があるか解りますか?なぜ手があるか解りますか?」


こうなったら、俺の会話術で切り抜けてやる!!


「よし言ってみろ三分間だけ聞いてやる」


黒木先生は少しニタァと悪魔のような笑みを浮かべ腕を組む。

おお……大きなお胸のメロン二つが腕を組んだことにより自重しすぎだろどうなったらそう育つんだ。



「口はモノを伝えるためにあります。そして手は誰か大切な人と繋ぐためにあるんです!だから殴らないで!」


胸に目がいきつつもどうにか俺の言い分を言いきった。やめろ優希、そんな目で見るな。仕方ないんだ男の性なんだよ。


「私はちゃんと言ったぞ、ホームルームを始めるぞと……」


「…………」


……イッテタケナーソンナコト。

ぼ、僕覚えてないやー。


「そ、そうでしたっけー?あ、そう言えば今日はスーパーの安売りがあるんだった!すいません俺は先に帰らせていただきます先生!」


勢いよく立ち上がりバックを持って逃げ……帰ろうとする俺の隣から悪魔が囁いた。


「え?亮ちゃん今日はウチに寄っていくって言ったじゃん」


いきなり会話に入ってきた優希、もとい悪魔は爆弾を落としてくれました。


おいいいいいい、ちょっと待て!間違ってないけどさお前の家に今日よるけどよ!今いう必要あるか!?


優希はクスクスと笑っている。オーケーお前が性格悪いのはよくわかった。後で覚えてろ。

優希に横目で睨めつける。


「勢いで帰れると思ったか?天野。それと手は大切な人と繋ぐためにあると言ったな?それはあれか?私が独身であること馬鹿にしてるのか?お前はつなぐ相手そう言えばいなかったなって馬鹿にしてるのか!?私だって私だってな……努力はしたことはあるんだぞ!」


どうやら勢いでは突破できなかったらしい。それと何故か黒木先生の黒歴史が少し見えそうである。

いや見たくない、絶対ブラックホールのように真っ黒な暗黒空間が広がってるに決まっている。

俺はまだ死にたくない。

てか誰か貰ってやってくれ。もう見てらんねえ。


「先生落ち着いてください、先生は充分魅力的な人ですから!」


「ほ、ほんと?」


涙目になりそうな先生を褒める作戦に変更する。今さっきの態度とはうってちがって今の黒木先生は少女だ。メンタルが弱い思春期の女の子そのものだ!

おお!これはいけるんじゃないか!?


「そうです!先生の魅力に気づけないやつなんてクソ野郎です!」


そうだクソ野郎だ!


「じゃあ私の長所ってなに?」


「…………」


「なんでそこで黙るんだお前は!」


「考えたけど思いつかなかったんだよ!独身で男勝りの性格で暴力的な女性なんt……」


「ほうそれがお前の本音か……」


し、しまった!思わず本音を言ってしまった。


「ちゃ、ちゃうねん」


時既に遅し、黒木先生は既に拳を握り体の後ろにひいていた。



「衝撃のファーストブリットおお!」


「へぶしっ!」


重く鋭い一撃が鳩尾に決まる。

息ができないほどの一撃に一瞬で意識を持っていかれそのまま地面に吸い寄せられるように俺は倒れた。



「てめえの敗因はたった一つだ天野……お前は私を怒らせた」


「スクライドとジョジョ愛しすぎだろ……アンタ。てか最初から殴るき満々だったくせに」


鳩尾を抑えながら呻く俺を他所に黒木先生は目をキラキラさせていた。


「やはりいいよなジョジョとスクライド。だが年増と独身のことについては後で職員室で反省文書いてもらう」


「う、うっす」


「少し遅いがホームルームを始める、日直号令を頼む」



床って意外と冷たいんだなもうこのまま寝ててもいいかな。


「亮ちゃん大丈夫?」


一応心配はしてくる優希だが絶対そんなこと思っていない。

うずくまって顔は見えないが多分かなり悪い顔なのは用意に想像がついた。




どこぞのフラグ一級建築士の彼の言葉を借りよう。


くそ……不幸だ。

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