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スクールゴーストバスターズ  作者: もぐのすけ
第1章 出会い編
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第6話 約束

 〜休み時間〜


「矢野くん、何で急に髪切ってきたの?」

「すごい似合ってるよ!」

「土佐と何の話してたの?」

「矢野くんも今日一緒に遊びに行く?」


 現在、俺の隣の席の住人矢野涼一は、ミツに群がるハチのように集った女子達から質問攻めにあっていた。

 鮮烈なイメチェンをした涼一の存在は、皆の頭の処理が追いつく前に1限の授業が始まってしまったために誰も質問できず、悶々とした中1限を終え、その反動が今来ているのだ。


 俺は涼一から少し離れた位置、教室の後ろのドアの所でその光景を眺めている。

 涼一の周りにいるのは全員女子で、男子に関しては納得がいっていないような、憎々しい顔で涼一のことを見ていた。

 特に夏野一派。

 クラスの中心的存在であると見受けられた彼らにとっては、この状況はあまり好ましくないのだろう。


 だが、当の本人である涼一がこの状況を楽しんでいるかというと、否である。

 質問攻めにあっている彼は何をどう対応したらいいのか分かっていないようで、ひたすらに愛想笑いをしている。

 そして、時折助けを求めるかのようにこちらをチラ見してくる。


 …………そりゃ助けてやりたいけどさ。

 こっちもこっちで修羅場なわけよ。

 こっちの対応をどうするかで手一杯で、涼一の元に行くわけにはいかないんだよ。


 俺はこの状況を1人で眺めているのではなく、相席者がいた。


 その人物とは、そう…………般若である!!

 ………………………………。

 ……………………………………………………失礼。

 土佐明里だ。


 俺がこの位置から涼一を見ていると、無言で隣に立ち、以来5分間ずっと無言だ。

 愚痴を言うわけでもなく、何を言うわけでもなく、ただただ無言。


 この圧力、正直夏野達より凄まじい…………。

 う〜ん…………。


「チッ」


 舌打ちした! 舌打ちしたよこの人!


「明里…………君は今何を思ってる?」

「涼一の髪の毛全部切り落としたいなって」


 想像以上に闇が深いな!!!!

 俗に言うヤンデレってやつか? いかん対応の仕方が分からない!


「さすがにそれはちょっと…………」

「やだなぁ冗談よ。そんな事するわけないじゃない」

「だ、だよなぁ。いくらなんでも…………」

「タラちゃんと同じ髪型にするだけよ」

「悪意があるあたりは冗談じゃないのか!」


 涼一すまない…………新しいカツラは買っといてやるからな…………。



「明里はどうしてそんなに不機嫌なんだ?」

「どうしてって…………」

「嫉妬かい?」

「!!! はぁ? ち、違うわよ! 私はただ…………」


 俺の質問に分かりやすくドギマギし、慌てて否定する土佐。

 ただ、彼女の言うように嫉妬の感情だけではないのは、俺にもなんとなく察せた。


「嫉妬じゃないとすると…………?」

「…………なんかイラッとしたのよ。今までいないもののように接してきてたくせに、手のひらを返したように近づいて……涼一にとってはいいことなんだけど」


 なるほど…………涼一本人に問題があるというよりも、周りの対応の違いにイライラしていたということか。

 確かに、金曜日の時の涼一は誰にも話かけられずに、常に1人でいたな。

 あの時は彼自ら距離をとっていたというのもあるが、イメージを変えて魅力的になった彼に、今までの態度を不問にして話しかけているところが問題である、と。


 ん? そうすると涼一本人に対しての怒りはない…………?


「まぁそれでデレデレしてる涼一も涼一だけどね!」


 ああやっぱりそこか!

 恐らくそれが一番の本音なんだろうな!


 でもデレデレしてるだろうか…………?

 迷える子羊みたいに見えるのは俺だけか?


「それなら明里も涼一の所に行ったらどうだい?」

「そんな割り込むようなこと…………涼一に迷惑かかるでしょ」

「それは考えすぎだと思うが」


 涼一と変な所で似通っている気がするな。

 妙な所で奥手というかなんというか……。


「明里、君は今日の放課後に時間空いていたりするかい?」

「どうして?」

「君に霊感が少しでもある以上、今後のことについて話しておきたいことがいくつかあるんだ」

「ふ〜ん…………確かに霊が見えるなんてこと初めてだったし、すごい助かることだけど…………2人で?」


 少し不審な表情をしながら明里が聞いてくる。


 まだ疑われてたのか……。


「涼一もいるよ。どちらかというとメインは彼だからね」

「あ……そう。用事も特にないし、いいよ」


 心なしか、少し嬉しそうに返事をする明里。

 分かりやすいというか、素直というか。


 約束を取り付けたところで、タイミング良くチャイムが鳴った。


「それじゃあ涼一のほうにも俺から話しておくから。忘れずに頼むよ」

「うん。分かった」


 俺は人が群がっている涼一の元へと向かった。


 我ながらうまく話をすり替えたもんだ。

 なんとかこの時間で明里のヘイトを消化して、約束も取り付けれた。

 さっきのまま放課後に突入してたら、まずは涼一と明里の変ないざこざを排除する所から始めないといけなかったからね。


 さて、後は夏野達にどう説明をつけて案内を断るか……。

 元々行くと言っていたわけでもないが、せっかく彼らが準備してくれているのだから、それなりの誠意を持って断らなければ。


 クラスメイトと親睦を深めるのも大切だが、俺がこの町に来た目的を見失ってはいけない。

 優先順位は絶対だ。

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