告白
「クリスティアナ姫。
私は、もう2度と戦争をしたくない。
たとえ相手が小国でもだ。
しかし我が国はこれまでの行いのせいで他国から恨まれているし、そのせいできっとまた戦争をしてしまう。
それはあなたまで危険に晒してしまうということだ。
しかも、私は王子として戦場に向かわねばならないときもあるだろう。
それでもあなたはここにいてくれるか…?」
告げたアリスターの目には少しだけの不安が見て取れる。
それに、薄っすらと感じるアリスターの周りの気配も不安気に揺れていた。
「ご心配なく、殿下。
私はあなたの妻で、この国の王妃になる者です。
この国で死ぬ覚悟はできておりますし、あなたを支える覚悟だってしてきました。
だからなんの心配もなさらないで。
私はずっと、ここにいます。」
ティアナの言葉にアリスターは安堵の表情を浮かべると、口に笑みを浮かべる。
それがなんだかティアナにとっては嬉しくて、ティアナも笑みを浮かべた。
「クリスティアナ姫、ありがとう。」
「いいえ、こちらこそ。
きちんと言葉にしてくださったこと、ありがとうございます、殿下。
それと、私のことはアナとお呼びください。」
「アナ…?」
「私の家族だけが呼ぶ愛称です。
あなたはもう、私の家族でしょう?」
ニッコリ笑うティアナに、アリスターもつられて笑う。
「なら俺のこともアルと。
親しい者にはそう呼ばれている」
「まぁ。ありがとうございます、アル」
「できれば敬語もやめてほしいが…」
「アルは私より五つも上でしょう?
あまりにも失礼すぎます。」
「俺が構わないと、言ってもか?」
「…では、遠慮なくいい?アル?
私、ほんとはこんなにお淑やかじゃないの。」
「そうだろうと思っていた。アナ。」
笑うアリスターにティアナも笑い返す。
2人のスタートは円満にはじまったのだった。