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愉快なエノキコーポラス!!  作者: 海南 あらた
第一章、住人加増す。
1/8

0話 住人紹介だよ!全員集合ー!!

初めまして今日は。エノキコーポラス管理人、桜志緒(さくらしお)です。お父さん、お母さんが遺してくれたこのエノキコーポラスを、立派にするのが私の夢です。

さてさて、今から愉快な住人たちを紹介するぜ!と、テンションをあげてみましたが、実はそんなにはしゃいでいられる状況ではありません。なんと101号室に住んでいる六月一日亜紀乃(うりわりあきの)さんが飼っているペットたち、総勢50匹が脱走してしまったのです。彼女、昨日の夜中はなかなか暑かったのですが、そのため玄関のドアを開けっ放しで寝ていた様です。その時点で防犯上あんまりよろしく無いのですが、なんと更にペットたちの部屋のドアも閉めるのを忘れていた様で、みんなで大脱走してしまいました。ちなみに彼女の部屋はファミリー用の2DK。ペットたち用に一部屋使っていた様です。朝起きたら泣きながら私の元に相談に来て、只今捜索中です。唯一残っていた愛犬カクゾウに聞いた(?)ところ、まだみんなコーポラス内にいるよう。なんと亜紀乃さんは動物とお話できる(?)そうです。

「ごめんなさい、志緒ちゃん」

まあ、起こった事は仕方がありませんし。それよりも、今後このような事が無いようにしっかりペットの管理をお願いしますよ?

「はーい!」

……。この人は本当に反省しているのだろうか。

まあ、仕方がありません。私たち二人で一階から三階まで全ての部屋を確認しながら、住人紹介していきましょうか。

まずはあそこで三羽の鳥たちと戯れている彼を紹介しましょう。

「おい、これテメーんとこの鳥だろ!」

「そうそう、ごめーんタデちゃん。ありがとー」

彼、107号室在住の蓼丸彰(たでまるあきら)さん。実はなんか凄い武術の達人のお弟子さんで、修行が嫌だから逃げて来たみたいです。口調が荒っぽいのが残念な優しい人。師匠に見つかるのが怖い様ですが、それ以上に今困っている事がありまして。

パンッ!

突然の乾いた発砲音にもうみんな慣れたようですね。彰さんも余裕でかわしています。

「おはようございます蓼丸さん。早速ですが、殺されてください」

「誰がテメーなんかに殺されるかよ!」

エノキコーポラスの名物、朝からの発砲音と命を懸けた喧嘩(別名殺し合い)。急に殺す、だの物騒な事を言っているのは、外国人のユース・コックスさん。

まあ、この現状を見た限り、彼が只者では無い事はお分かりいただけるでしょう。けれど、一度エノキコーポラスを救っていただいた恩人です。たとえ国際指名手配犯でも、蓼丸さんの命を狙っていても、関係ありません。……いや、関係ありますが。唯一の救いは、お仕事以外の殺生はしない主義、という事ですね。

「ユースさーん、うちの子見ませんでしたー?」

「ん?……ああ、それなら。これ以上何処かに行かないように、家にいれておきましたよ」

はい、鍵。と普通に渡してくれる分、いい人ではあるんだよなぁ。非常識過ぎるんだよなぁ。いい人ではあるんだけどなぁ。

「わー!ありがとうございまーす」

「鍵は後でいいですよ」

ズババババンッと物騒な音が響きます。本人は至って笑顔。と言っても長い前髪のせいで口元しか見えませんが。あー。また修理費がかさむよー。

さてさて鍵を受け取って、お次は二階を目指します。ユースさんの住んでいる207号室を開けると、かなりの数のペットたちが出てきました。その子たちにお家に帰りなさいと亜紀乃さんが言いつけて(?)、もう一度廊下に出て探してみましょう。これでおよそ半分程見つかったようです。

「亜紀乃姉ちゃーん、志緒姉ちゃーん」

お、この声は。

「ホマホマー!」

「はーい、ホマホマ!」

キラッとポーズを決めて登場したのは205号室に住んでる舟渡帆麻(ふなどほま)ちゃん。通称ホマホマ、なんと9歳。今を輝く子供アイドルで、なんとなんとこのエノキコーポラスに一人で住んでいます。知られざるその事情とは、なんと借金返済の為だとか。その天使のような愛らしさと健気な姿に、住人みんなメロメロです。

「どうしたの?ホマホマちゃん」

「あの、このワンちゃんたち、きっと亜紀乃姉ちゃんの子たちじゃないかなーって、麗華姉ちゃんとお話してたのです」

両手で抱きかかえていた犬を亜紀乃に見せるように抱え直すと、犬は嬉しそうに帆麻ちゃんの顔を舐め始めました。

笑ってくすぐったいよーとか言ってる姿が、可愛らしいです。天使。そう、エノキコーポラスの天使です。

「ほら。やっぱり亜紀乃さんとこの犬だったでしょ?」

そう言いながらやって来たのは、210号室の住人、加藤麗華(かとううるか)ちゃん。こんな朝早くだというのに、お化粧バッチリです。ちょっと濃いのも平常運転。

「うんうん、そうだよー。二人ともありがとねー」

「もう、ペットを躾けるが飼い主の責任でしょ?しっかりしてよね」

そうきつく言いながらも、ちゃんとペットを確保してくれる優しい子。めっちゃギャルだけれども、人は見た目で判断してはいけませんね。

「朝から騒がしくて嫌になっちゃう」

「ごめんごめん」

「ちょっと管理人?どうにかできないの?」

え、そこで振らないでよ。私知らないし。

それはそうと、亜紀乃さん、あと何匹で全員になるんですか?

「うーん、あとはうさちゃんたちとハムちゃんたちと猫ちゃんたちだから、15匹ぐらいかな?」

うわー。まだ結構いるんですね。でもまあ、あとは三階ぐらいでしょうし、さっさと行きますか。

「ホマホマも手伝うです!」

ありがとうホマホマ。もうそれだけで元気でちゃうなー。よしよし。

「私は手伝わないから」

はい、期待していませんでした。

階段を登って、残るは三階。このエノキコーポラスを出ていないのなら、この階に全員いるはずなんだけど。

「うさぎちゃんたちならここにいるわよー」

うわっ。この声だけで漂ってくる、妖艶な雰囲気を持つのは一人だけだ!その名も、

「もう美世さーん!驚かせないでくださいよー」

306号室に住んでる小鳥遊美世(たかなしみよ)さん。32歳ならではの魅力と32歳とは思えない美貌で、エノキコーポラスの住民、老若男女問わず惑わしています。まあ、この人は、どっちでもイケるって人で。節操が無い、というか、油断大敵と言うか。

「桜さん。今、失礼なこと考えていたでしょ?」

そ、そんな滅相もない。それよりも美世さん、うさぎちゃんたちどこにいたんですかぁ?

「上手く逃れたわねぇ、後でお仕置きよ?……うさちゃんたちは階段のところでぴょんぴょんしてたから、可愛くってつい連れて来ちゃったのよ」

あー。動物でもイケたのか。

「まあ、桜さん。そんなにお仕置き受けたいのかしら?」

ぎゃー、掴まれた!ちょ、なんでみんな逃げるのっ。ホマホマ、亜紀乃さん!?ちょ、ま。誰か助けてー。

「………おいおい、朝からどうしたってんだよ」

来た、救世主!その声は309号室の久夛良木蒼梧(くたらぎそうご)さん。助けてー!!

「……。美世さん。放してやれよ。ちょっといたたまれないぞ」

「仕方ないわねぇ」

助かったー。さすがエノキコーポラスのアニキ。いつも幼馴染さんのお世話をしているだけありますね。ガチガチでムッチムチなそのお姿が、今まさに天使のように見えましたよ。

「なあ、それよりも。こいつって亜紀乃のペットの---」

「あー!むーちゃん!」

飛びついて行きました。私の危機には一目散に逃げたくせに。裏切り者め。

「やっぱりそうか。部屋の中にも数匹いるんだが」

「本当ー!?お引き取りしまーす」

そうしてくれ。と、美世さんとはお別れして、蒼梧さんのお家にお邪魔しに行きました。中から出て来たのは6匹のハムスターたち。すごいな、こんなに家に入り込んでたんだ。てか、この人もドアを開けて寝てたな。セキュリティー性が全くないぞ。

「これで全部なのか?」

「ううん、あとは猫ちゃんたちなんだけど……」

「早く見つかるといいです……」

うん。ちょっと心配だよね。猫とか勝手にどった行きそうだし。外ももしかしたらあるのかな。

「ホマホマ、頑張って探すです!」

「ホ、ホマホマも一緒に探してたのか。じゃあ、おれも手伝わなきゃなあ」

あ、出ました。蒼梧さんのロリコン。わかりやすいです。赤面しています。すっごく頼りになるアニキなのに。なんか変態っぽくて勿体無いんだよなー。

「なんか騒がしいと思ったら君たちか。なにかあったのかい?」

そしてまた出ました残念なイケメン。304号室にお住まいの黒光颯(くろみつはやて)さん。おそらくこのエノキコーポラス一の美形で、めっちゃくちゃイケメンなんだけど、

「こら、俺のケツを揉むな!」

魔性のゲイなのです。それもなかなかアタックの強い。特に蒼梧さんに対しては本気っぽいから怖い怖い。すごく入念にお尻を揉んでいます。

「おはよう久夛良木君、今日もいいお尻してるね」

「おい、真面目にやめろ!」

……。まあ、蒼梧さんはガチムチ体系で、ガチっぽいんだけど。

「挨拶はこれくらいにして、一体どうしたんだい?」

「あ、実はうちの子たちが逃げちゃって」

「挨拶とはなんだ!セクハラだろ!」

「そうなんだ。……うーん、ごめん。僕は見かけてないや」

シュンと項垂れる亜紀乃さん。やっぱりペットたちが心配なんですね。そんな彼女の頭にポンと手を載せて、微笑みながら颯さん、言いました。

「僕も力になるよ。人は多い方がいいだろう?もしも外に出るなんてことがあったら、何があるかわからないし。男手はあった方がいい」

ポオッと、亜紀乃さんの顔が赤くなりました。ドキッとしますね。だってものすごいイケメンだもの。女性に対してはとことん紳士なんだもの。だけれどゲイなのです。憎たらしいけれどこれが真実。

「じゃあ、一応秀人の部屋も見てみるか?」

蒼梧さんの提案。秀人さんとは310号室に住んでいる、蒼梧さんの幼馴染の引きこもりさんの事です。残念なイケメンその2です。おそらく外に出ていないから、ペットと遭遇したなんて考えられないけれど、もしかしたらもあるかもしれないですね。行きましょうか。

「うん。でも実際中に入るのは久夛良木君一人の方がいいね」

「わかってる。……ってだからケツを撫でるな!」

そういう事で、私たちは蒼梧さんの部屋の前で待つ事になりました。

蒼梧さん、慣れたようにチャイムも鳴らさず、ドアを開けます。中に入っていきました。

………………。にゃー?!って聞こえた。男性の声で。

あ、蒼梧さんが出てきました。猫抱えてます。何故か笑ってます。堪え切れていません。何があったのでしょうか?それは秀人さんの名誉の為に聞かないでおきましょう。

「これで、全部か?」

「…………。あー!ケンタロウ忘れたてた!」

拳太郎?賢太朗?なんだかとても人々しい名前ですね。

「うん。でもあの子まだ生まれたての子ウサギちゃんだから、一人のままだと危ないかも」

え、生まれたばかり?じゃあ早く見つけなきゃ。

「ホマホマ、心配です。どこにいるんだろ?」

「あ、じゃあ愛ちゃんの部屋かな?」

愛ちゃんこと乾愛來(いぬいあいら)ちゃん。大学入学にむけて、今年の春に越して来た新人ちゃんです。もう大学生活楽しむぞという感じの超リア充。まだまだエノキコーポラスの住民たちに慣れていないようで、ビクビクしながら生活してます。そりゃそうですよね。

ピンポーン。インターホンを鳴らしました。数秒してからお返事が。

「はい」

「あ、愛ちゃん!おはよー。朝からごめんねー」

ちょっと怪訝そうに出てきました。朝早いのにもうおめかししてる。フリフリの服が似合ってて可愛い。これからデートにでも行きそうです。あ、手が少し汚れてる。何か描いていたのかな?

「実はうちの子たちが脱走しちゃって」

「そんなことがあったんですか。……。ごめんなさい。私、昨日の夜から今まで外に出ていなくて」

あ、いいのいいの。朝早くに迷惑かけてごめんね。

「いえ、そんな。あの、本当はお手伝いしたいのは山々何ですが、実は今日中に終わらせなくちゃいけない物があって……」

「あ、いいの!気にしないで!課題頑張ってね!」

とても申し訳なさそうに謝って、愛來ちゃん丁寧にドアを閉めました。

でも、結局最後の一匹がどこにいるかわからずじまいですね。

「下から探して見つからなかったんだろ?外じゃないのか?」

「いや、子ウサギちゃんならそんなに遠くに行けないんじゃないかな」

……あ。そういえば、まだお邪魔してないお部屋がありました。

「え?……あ、ほんとだ」

「全部見たんじゃないのかい?」

いえ、なんだかあまりにも当たり前すぎて、すっかり忘れてしまったと言うか。

取り敢えず、行きましょうか。102号室へ。


102号室の住人は、寝るとき以外は鍵をかけません。それは実は、よく訪れる私の為だったりします。

おじゃましまーす。

「ホッホッホッ。志緒ちゃん、おはようございます。よく来たねぇ」

じいやおはよう!挨拶遅れてごめんね。

じいやは静かにホッホッホッと笑ってます。

このお茶を飲みながら笑っているおじいちゃんは、武者小路傳臧(むしゃのこうじでんぞう)おじいちゃんことじいや。このエノキコーポラスでは1番の古株。私が子供の頃から住んでいて、私の最大の癒しです。

そして、その正座をしている膝の上にいるのは、

「ケンタロウ!!」

ちょこんと丸くなってます。ちっちゃくて可愛い。寝ているのか、スヤスヤと聞こえて来そうです。

「じいやー。ありがとう!」

ケンタロウも無事確保して、どうやら全員見つかったようです。良かった良かった。

「じいやのとこにいて、本当に良かったね」

「ホマホマ、安心です!」

「お、おう。おれも安心だ」

うんうん、これでやっと落ち着いた一日を送れ---。

「待ってください蓼丸さん!今日こそあなたを殺して見せますよー」

「しつけーんだよテメー!」

「ちょっと管理人?!あの二人もどうにかして!」

「桜さーん?お仕置きがまだ終わってないわよ?」

「あの、何か紙が飛んでいきませんでした?」

……どうやら、送れそうにありません。まあ、これがエノキコーポラスの日常ってものでしょう。楽しむしかありません。

さて、いろいろありましたが。このように、動物大好き亜紀乃さん、武術修行者の彰さん、指名手配犯のユースさん、現役アイドルのホマホマ、ギャルっ娘の麗華ちゃん、愛には壁がない美世さん、ロリコンアニキの蒼梧さん、男にしか興味が無い颯さん、引きこもり歴2年の秀人さん、新参者の愛來ちゃん、そして私の癒しのじいや、総勢11名。みんな一癖も二癖も三癖もある人たちです。

そこのあなた!退屈な日常にうんざりしていませんか?ちょっと刺激的な一日が羨ましくないですか?エノキコーポラスなら、毎日がハッピー、エクセレント!愉快な仲間たちが、あなたの一日を楽しくしてくれますよ。

例えあなたが大家族でも、武術の達人でも、犯罪者でも、アイドルでも、DQNでも、変態でも、同性愛者でも、ヒキニートでも、ちょっと人に言えない事情があっても!私たちは誰であっても受け入れます!

エノキコーポラス、只今入居者募集中。是非是非一度いらしてください!

以上!住人紹介でしたー!





〜セリフと顔見せが一度もなかった、橘秀人君の為のオマケ〜


いきなりですが、ボク、橘秀人は極度の引きこもりです。いつもお世話をしてくれる、幼馴染の蒼梧ぐらいしか会う人がいません。こうなったのには誰にも話せない深い深ーい理由があるのですが、それはまた違うお話で。

そんなボクですが、たまに外に出る時があります。みんなが寝静まった夜中です。誰にも合う心配がなく、安心して外の空気を吸える時間なのです。

そんなある深夜。今日もいつも通り一人の時間を満喫できる、そう安心していたボクの元に、予期せぬ訪問者が現れたのです。

「みゃー」

なんと、猫ちゃんたちです。

人ではなかった安心感と、なぜこの時間に猫が?あれ、もしかしてこの子達は101号室の亜紀乃さんのとこの子達かな?じゃあ探してるかもしれないな。でも今届けに行くのは。てか、そもそもいけないし。という悩みがボクの思考をストップさせました。そして数秒葛藤した末、取り敢えず家に連れた来てしまいました。

明日お届けすればいいや、と。自分の極度の人見知りをすっかり忘れて。


そして朝。みゃーみゃー、と五匹の猫ちゃんたちに起こされました。一瞬慌てたボクですが、ふと昨日のことを思い出して頭を抱えます。どうやってこの子達を返してあげようかなぁ。

そんなボクの悩みなど露しらず、猫ちゃんたちはスリスリと寄ってきます。

「お腹が空いたのかな」

と言っても、猫が何を食べるか知りません。適当に炊き立てのご飯をおかかとお醤油で味付けしてあげたら食べました。ボクも食べてみましたが、なかなか美味しかったです。

「美味しかった?」

ペロペロと器を舐めている猫ちゃんたちに聞いて見ても、答えてくれませんでした。はあー。と溜息をついて、一匹を抱っこしてみます。キョトンとボクを見上げてきました。取り敢えず、猫を見たときの定番の一言を。

「にゃあ」

「みゃあー?」

! 今、返事した。ちょっとテンションが上がりました。またボクがにゃーと言うと、他の子も一緒にみやーみゃーと答えてくれます。

……可愛い。

「にゃあにゃあ」

「みゃー。みゃー?」

「みゃ!」

「にゃー!」

もう、悩みなんて忘れてずっとお話ししてました。そのせいなんです。チャイムを鳴らさずに部屋に入ってきた人物に気付かなかったのは。

「にゃー」

「みゃっみゃっ」

「にゃあ」

「ニャー」

……。今、明らかに人間の声が混じった?

「おま、何やってんだよ」

「にゃー?!」

笑いを堪えながら部屋に入ってきたのは、ボクのお世話をしてくれている、幼馴染の蒼梧。あからさまに馬鹿にしてる。からかってる。

「朝から、ずっと猫と、話しててのかよっ」

「ちがっ。こ、これは!この子達が迷子みたいで!」

「聞いてたのか?『お家はどこですかー?』って」

もう抑えられなくなったのか、ハハハッと軽快に笑い出した。もう知らない。ズイッと猫ちゃんを蒼梧に押し付けて、部屋の隅の毛布に包まります。いじけた時のボクのお決まりポーズです。

「悪かったって、からかいすぎた」

そう言っても、まだ顔が笑ってる。

「もういいよ。この子達、亜紀乃さんのとこの子でしょ?連れてってあげてよ」

もちろんそのつもりだ。と、五匹の猫を両手で抱きかかえて出て行こうとする。最後に一言残す為に、振り返って。

「じゃあな、"犬のお巡りさん"」

! この後に及んで、まだ言うか!

「この、今日は絶対口聞かない!」

珍しく叫んでみたけれど、蒼梧の大きい背中は楽しそうに揺れているだけだった。


この後、無事に亜紀乃さんのペットたちは見つかったようです。そして亜紀乃さんが、みんなにお詫びをとケーキを買って来てくれました。

「ちゃんと全員見つかって良かったね」

「ああ」

今朝怒っていたことなんて忘れて、蒼梧と仲良く二人で食べました。久々のケーキがあまとうのボクにはとても美味しかったです。

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