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AUGUST HEAVEN  作者:
1/3

-7/31- prologue

かなり変な文章です(泣)。できたら感想おねがいしまっす!

8月の終わり


 私は――


 自分の恋に気付いた……






AUGUST HEAVEN


 -Prologue 7/31-






『――では、2度とこない人生の大切な時間を、有意義に過ごしてください』




 長い演説を終え、校長が演台を離れていくのを見守った。


 場所は体育館。


 どこにでもある光景。


 夏休みを明日に控えた終業日。


 長い長い夏休みを前に、多くの生徒が胸に期待を込めている。


 それを語り、共感しあい、教室まで戻っていく。




「ミキちゃん大丈夫?」




 不意に声がかかる。


 顔を覗き込んできたのは同じクラスの女子生徒だった。




「あ、うん。

 大丈夫だけど?」




 私は杵島キシマミキ


 でも、これは本名じゃない。


 そして私は本当の名前を持っていない。




「でも、こんなとこで立ち止まるってのは……」




 目の前に立つ同級生の顔が左へと向く。


 倣って私もそちらを見た。


 “男子トイレ”というプレートが目に入り、納得。


 事実、私は悩み続けていた。




「具合でも悪いの?

 そうは見えないけど」


「心配してくれてどうも。

 見ての通り、私は大丈夫」




 笑顔を作ってみせる。




「でも、ちょっと寝不足が続いてね。

 今も少し眠いの」




 付け加えて説明し、その説明に目の前の友達:カナミは納得していた。




「そうなんだ。大変だね。

 何か悩みでもあるの?」




 カナミはいつも恍けたような顔をしている。


 茶髪の三つ編みが特徴の大人しい娘だ。


 私は、そんなカナミが羨ましかった。


 私の髪は、黒のベリーショート。


 事情があるとはいえ、自由に髪を伸ばすことができない。


 そしてカナミは天然でいながら鋭い。




「ちょっと……ね」


「深刻なの?

 まさか、男〜?」




 カナミの目が再びトイレの標識へと向く。




「え、いや、そういうことじゃなくて……」


「本当に?」




 そんな、日常を繰り返し、


 繰り返し、


 繰り返す内、


 私たちは帰路についた。


 終業式ということもあって帰宅時間は早い。


 いつもの通学路を通り、自宅のマンションへ戻る。


 帰宅し、まず最初に電話を見る。


 メッセージが吹き込まれていることを意味するランプ。


 点滅していた。




〔こんにちわ、京香よ。

 これから事務で会いましょ。

 待ってるわ〕




 事務的に用件を伝える声の持ち主の顔がすぐに浮かんだ。




(仕事か……)




 ミキは制服から私服へ着替え、事務へ向かった。






 港の倉庫。


 しっかりとした施錠を施された倉庫に次々と車が集まっていた。


 そのどれもが防弾加工を施された特殊車両ばかり。


 元々は地元の造船・修理に用いられていた倉庫だったが、経営難や組合の弱体化に伴い経営・運搬・使用を停止、放棄された施設だ。


 その中央に集まっている男たちがいた。


 数は軽く20をオーバー。


 その中の短髪赤髪の角刈り頭が説明をしていた。




「10時間後に作戦を実行する!」




 声が倉庫内に響き渡る。




「いいか!

 目標を手に入れたらすぐに集合地点を目指せ!」




 男を囲んでいる他のメンバーが沈黙を装いながら頷く。




「立ちはだかる障害は排除せよ。

 ビビっている奴にはガンでも利かせてやれ!」




 所々から笑いが漏れる。


 素晴らしいパーティタイムの予感に胸躍る連中だ。




「ナポレオンも言っている。敵が失敗している時には邪魔するな。

 だが、敵はプロだ。

 失敗はないと思え!」




 雄叫びが倉庫内に響いた。






 ミキは事務のあるフロアのボタンを押した。


 エレベーターが到着を告げ、廊下に出る。


 慣れた足取りで通路を進み、自動ドアをくぐる。


 そこに事務があった。


 事務の中もいくつかの部署に分かれている。


 電話にメッセージを残した京香のいるデスクは、自動ドアをくぐって真っ直ぐ行ったところにある。


 近付きながらミキは京香の姿を確認した。


 京香もミキに気付き、口にしていたコーヒーを置いた。




「ハイ。どう?

 体調の方は?」


「ちょっと寝不足だけど、大丈夫です」


「それは良かった」




 笑顔を見せながら京香はミキに言った。


 京香はミキよりも年上の女性だ。


 金髪で青い目をしている。身長があり、ルックスも抜群で、今はグレイのスーツに身を包んでいる。




「学校の方はどう?上手くいっている?」


「はい。問題なんてありません。

 楽しいです」


「今日は終業式だって聞いたけど?」


「はい。学校は当分ありません」


「補習授業も?」


「はい」




 質問と回答が繰返され、京香は本題に入った。




「じゃあ、早速仕事よ」


「はい」




 京香は手元の資料を取り、自分のデスクを離れる。


 いつものことだ。


 仕事が出来るかを聞き、出来るなら場所を変えてのミーティング。


 もし、仕事が出来ないのであればそのまま帰路につく。


 2人は通路を歩き続け、会議室へと向かった。


 移動中、ミキはざっと資料に目を通した。




「カラウォルド・テック社」




 資料にある写真を見てミキ入った。


 2人は会議室に辿り着き、京香は扉を閉める。




「ミキはその会社が何なのか知っている?」




 会議室は2人を除けば無人だった。


 部屋の中央には大きな円形のテーブル。


 それを取り囲む多数の回転椅子。


 京香は一番近くにある椅子に腰を下ろした。




「小さなコンピューター会社だってのは知っていますけど」


「他には?」


「前にヤクザとの関係があるって言われた話を聞きました」


「そう。

 他にも、密輸業者の出所、或いは隠れ蓑がそこだって話もあるし、密かに銃器を取り扱っているという噂もまま聞くのわ」


「今夜の任務はその現場を押さえることですか?」


「いえ」




 京香は椅子を回し、会議室のスクリーンにある映像を投影した。


 自分のデスクを離れる時、資料と一緒に持ってきたリモコンを操作し始める。




「つい最近耳にした情報なんだけど、カラウォルド社は兵器開発に関与しているそうよ」


「兵器?

 それは銃器のたぐ――」


「どちらかと言うと、生体兵器の可能性が高いわ」




 スクリーンには、カラウォルド社とその出入り口を通行する数台のトラックが映されていた。


 その画面が物流リストに変わる。




「この何ヶ月かにカラウォルド社の研究施設に流れ込んできた物がこれらよ」


「チタン、セラミック……化学薬品も多いですね」


「金属類もね」




 画面が下へとスクロールし、リストの最下部が表示される。




「これは?」


「半分から下はすべて精密機器よ」


「精密機器?」


「ここに映っている物は、主にパソコンのパーツとして使われる物がほとんどね」


「でも、パソコンの部品交換にそんなにパーツが必要なんですか?」




 ミキの目が一部で止まる。




「それに、フロッピーディスクぐらい私にもわかります。

 何でそんな物を200万個も購入しているんでしょうか?」




 リストは一番右にナンバー。その隣に品名。それから単品での値段、メーカー、購入数、宅配予定時刻が表示されていた。




「リストはもうひとつあるのよ。

 そっちの方では、CDを2000万枚購入しているし、他にも医療で用いられる機械まで取り寄せているわ」


「コンピューター会社のハズですよね?」


「それも、自ら開発するのではなく、海外からのパソコンを市場に提供する。それが、最近何かを作り始めている」


「依頼人は誰です?」


「同会社の研究者よ。研究内容までは教えてもらえなかったけど」


「どんな兵器なんですか?」


「それがわからないのよ。だから……」


「私はその兵器がどんな物なのか、情報を拾ってくれば良いんですね?」




「……そうよ。

 それが今夜の任務」




 京香はスクリーンの画像を変えた。


 映っているのはメガネの年寄りだ。




「彼が依頼人よ」


「罠、じゃないですよね?」


「それはないと思うわ」




 京香はミキにそう言い聞かせた。


 スクリーンに映されている依頼人の老人の名前は、


 〔栗原 真人:クリハラ マコト〕


 といった。









 高速道路を都市方面に向かって走るトラックがあった。


 側面に『久我トランスポート』のロゴが明記された2tトラック。


 荷台には、指の数を越える人影が見られ、全員が同じ戦闘服に身を包んでいる。




「なぁ」


「どうした?」


「今夜の戦場じゃ、レッドプール禁止だろ?その理由知らねぇんだけど。聞いてるか?」


「研究者皆殺しにしたら、欲しいモンも手に入んねぇし、張り合いのねぇ奴らに向かって撃つのもつまんねぇだろ?」




 今夜決行される作戦を思い、既に昂ぶる者がいた。


 そいつに答え返した奴は面倒臭そうに、もう一言だけ言った。




「せめて殺るんなら、雑魚より死神だろ?じゃなきゃ殺り合う意味すらねぇ」




 男達は笑った。




「そうだな。

 死神に会いてぇな!」








 PM16:58


 会議場から出た京香とミキは、エレベーターに乗り込み、地下へと向かった。


 その間、ミキの顔は曇っていた。




「本気なの?」




 京香がその原因となった話題、その真意をミキに問いてきた。




「はい」


「理由は?

 教えてもらえないかしら」


「それは……」


「どうしたの?

 人に言えない事なの?」


「いえ。そういう訳じゃなくて、理由にならない理由だから……」


「なる、ならないの前に話してみなさい」


「怒りませんか?」


「それは聞いてみないと分からないわね」


「…………夢を見るんです」


「悪い夢なの?」


「わかりません」


「わからない?

 前みたいに、誰かの顔が夢に出てくるみたいなもの?」


「それに少し似ています。でも、人じゃなくて……」




 言いかけ、エレベーターが到着を告げる。


 通路に出て、ミキは続きを話した。




「顔のない人たちが出てくるんです。

 それも、死体で」


「死体?どういう事?」


「分からないんですけど……」




 2人はコンクリートで覆われた通路を歩いていく。




「日を追うごとに、どんどん……こう、ゲームにあるシューティングみたいに画面が勝手に進む感じで……

 最近だと背景もハッキリと浮かび上がってきて」


「その夢が自分に何かを訴えているかのように思えるわけね?」


「訴える――か、どうか分かりませんけど、何か、その……

 私の所為で死んだのかな、って思える夢なんです」


「そうなの。

 でも、あなたの活躍はこの国や、もしかしたら世界にも貢献しているかもしれないのよ?」




 宥めるように京香が肩に手を置いていってくる。




「ミキを妨害して死ぬ者たちは、テロリストか戦争屋・犯罪者だけよ?」


「でも」


「そんな気持ちで任務に臨んだら死ぬわよ」




 突然険しい顔をつくり、京香が注意した。




「それに、仕事をやめようにも、辞職は死を意味するのよ。忘れたかしら?」




 冷ややかな口調でミキに言う。


 ミキは俯き、足を止めた。


 目的の場所を前にし、京香はドアの横にあるドアロックシステムにアクセスした。




「京香さん」




 今まで聞いたことのない質問を思いつき、ミキは口にした。




「任務中に私が死んだら、どうなるんですか?」




 網膜スキャンを受けながら京香は質問に答えた。




「そうね。

 冷たい話になるけど、まず証拠隠滅ということでミキがここに居た証拠は全て抹消。

 あなたの自宅まで上がりこんで関連性を示す物全てを消し去るわね」


「私の代わりは、京香さんがやるんですか?」


「それは、無理よ。

 私はもう現場に立てない体になっちゃったから」




 笑顔に戻り、それでも少し寂しげに京香は言った。




「じゃあ、そろそろ仕事に入りましょうか」




 横にスライドして開いたドアを通り抜け、京香の後に続きミキも入室したそこは武器庫。


 中は壁一面に銃器。

 アサルトライフルから重火器の類


 棚に銃器、刃物。

 中には打撃武器まである。


 小さな棚にグレネード類。


 隔離された一角にはTNTの容器が見られる。


 その他にも、様々な装備が部屋中に並べられていた。




「今夜は何事もなく終わるハズよ」


「じゃあ、それを期待して……」


「あはっ!

 期待してって、あなたの活躍しだいなのよ?」




 笑われた事を気にせず、ミキはハンドガンなどの装備を調達していく。


 同じくして、京香も仕事モードへと入った。




「スタンも持って行きなさい」


「はい」




 言われ、サプレッサーを入手したミキは、そのままグレネードの棚に向かった。




「今回は、コレだけで足りるかと……」




 自分でチョイスした装備を京香に見せた。


 FN5-7。

 トーラス444。

 スタングレネード。

 予備マガジンとスピードローター。

 それからナイフ。


 銃器ご法度の日本で、コレだけの装備を手に入れることは容易じゃない。


 それなのに、ここでは簡単に銃器を手にすることが出来る。


 銃をホルスターに収め、バックにしまいこむ。


 作戦の決行は、今夜。


 8/1 AM 01:00


 ミキはその時が来るまで静かに瞑想を続けた。




(私は普通じゃない…)




 分かっていながらも、どこかでその事実を拒み続けている自分がいる。


 普通の人のようになりたいと、幾度願っただろうか?


 この任務も、終わる頃になればそういう感情でいっぱいになっているだろう。


 この仕事は私の為じゃない。


 空が闇に包まれた頃、ミキは瞑想を中断し、祈った。


 いつか、本当の自由に出遭えますように……






 ただ、知らないだけのミキはそう祈り続けてきた。


 本当の名前さえ知らない自分のため。


 そして、彼女の願いが叶うなど誰もが予想できないまま、任務は始まった。






こんなチンケな作者の作品を読んでいただき、マジな気持でアリガトウゴサイマス!!結構短かったので分かりにくい部分も多かったと思います!早めに更新できるよう努力しますので!(T Tゞ反省

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