第2話 残酷な運命
「来い………」
ネクサスが呟きフェイルは付いていく
でもそれが現実を突き付けられる
そんな事態になるとは…この時
フェイルは思っても居なかった
「やはりな」
ネクサスはピタリ止まり
目の前の人物を睨み付ける
「やぁネクサス兄さん…」
「ネアス…………」
「そんな……!!」
フェイルがネアスに近付こうとし
ネクサスはフェイルを制止する
「"今の彼奴"はオレ等の知る
ネアスじゃない……気を許すな…
戦いになったら殺す気でいけ…」
「流石兄さんだよ…………
実の弟であっても気は許さない…
それに戦いになったら殺す気ねぇ」
ネクサスがネアスの言葉に歯軋りする
言いたい事 伝えたい事
皆 噛むように消して
ネクサスはネアスを睨む
「我が弟よ………いや…"ネアス"…」
「なんだい…兄さん?」
「その……腕は………なんだ…」
ネアスが明るみに出た直後
ネクサスの表情は固まる
ネアスの見た目はネクサスとほぼ同じだ
金髪に鋭い目つき…
唯一違うと言うならば
瞳の色くらい……服装…
ネクサスは透き通るくらい綺麗な
青く煌めく綺麗な瞳だ…
ネアスは違う…どんな薔薇よりも
血の流れより透き通る………赤だ
だが今はもっと違う………
ネアスの片腕は…人間のモノではない
異形の怪物の………兎に角
この世に存在し得ない……腕だ
包帯が巻かれ……血に塗れ…
先からは刃物のようなモノがはえている
一枚の鋭い刃………
「ネアス!!!!!!」
「ネアス!?」
「あぁ……この腕かい?
この腕はねぇ…オレの…自慢の腕だよ」
「な……!?!?」
「フェイルに切れ味見せてあげるよ!
兄さんの身体を引き裂いてねぇ!」
ネクサスはネアスの言葉に混乱しては
ネアスを睨み付け空間から…アスラル…
アストラルセイバーを出現させる
「ネクサス……あの子は…一体」
「オレの弟ネアスだ………」
「……あの子がネアス君…
ネクサス…気を付けるんだ
……後ろに誰か付いている」
「構わねー……行くぞアスラル!
フェイル!!お前はサポートを!」
「もちろん!!」
「分かったよ!全力補佐に回る!
気を付けてネクサス!!!」
ネクサスがネアスに突っ込む
またネアスもネクサスに突っ込む
フェイルがすかさずネクサスに
防御上昇魔法と攻撃上昇魔法を放つ
ネクサスが優位に立つ戦い………
フェイルもまた勝利を確信する……
だが………戦況は傾く
ネアスの腕の一振りが
ネクサスの血を…ネアスの血を
浴びる毎に強くなっているのだ
「兄さん!!!兄さんの強さは
こんな物なのか!?!?
オレが憧れた兄さんの力は
たったコレだけだったのか!?」
「ぐ………お前…一体…一体何が!!」
「力が溢れるんだ!!!!!
力が!!!!兄さん!兄さんには
一生分からないだろうな!!
"あのお方"に共に作られたけど…
兄さんは何不自由なく気ままに生き…
オレは力だけを求められ……!!
身勝手に捨てられた!」
「……ッ…ネアス…!!!!
それは違う!"あのお方"は
お前の為に――――…!」
ネクサスが言った瞬間
ネアスから光の力…………
いや……光のような闇の力が溢れる
「え…え………ぇ…なん…」
ネアス自身も自分の力に
動揺を隠しきれないのか
自分の溢れる力を操作しきれず
暴走しかかる………
ネクサスがネアスに手を伸ばすが
それも遅く………
ネアスの姿はまるで別人のように…
なり果てていた…………
紫を貴重とした仮面に…
青いジャケットのような物に
肩当てが付き首には
金色に輝く宝玉が付いている…
左手は青く鋭い獣爪みたくなり
右腕の刃は刃数を増やし
赤く怪しく光る……………
髪型こそ…ネアスの名残はあるが…
殺害を楽しむように
見える口元は笑みを浮かべ
鋭い刃と爪が鈍く光る
あからさまに……ネアスではない…
「ネクサス…気を付けるんだ
今のネアス君は………危険過ぎる!」
「は……?一体何が起きたんだよ!」
「ネアス君に取り巻く闇…
ネアス君自身が持たない
深い闇が……元有る光の力を
狂わせて……本来存在しない姿に…!」
「そんなぁ!!
ねぇっアスラル!どうにかならないの」
「……僕の力じゃ………そうだフェイル
…アーティを呼んでくれるかい」
アストラルセイバーが輝き
剣は人の形に成り果てる
「今呼ぶよ…………」
フェイルもネクサスと同じように
空間から剣ではなく扇……
アーティクトファンを呼び出す
「久しぶりアーティ!!」
「あっ!久しぶりフェイル!
あたしを呼んだのは……アスラルね」
「あぁ…アーティ……ネアス君を…」
「なるほどね………
ネクサス…フェイル時間稼ぎなさい
あたし達で力を強制封印するから!」
アスラルとアーティは
互いに魔法陣を描きながら
フェイルとネクサスに言う
「頼んだぞ!」
「頑張るよ!!」
2人は勢い良くサード武器を持てば
ネアスの注意を自分達に引く
でも それが悲劇だった…
ネアスが腕を振り下ろす………
「え――――――――?」
フェイルがハッとする…
ネクサスが目を疑う…………
振り下ろされた先にはフェイルが居た
―――――ザシャァァァァッ―!!!!
切り裂く音と飛び散るのは赤…赤 赤 赤
地面や周りにあるもの……
頬や服……生暖かい物が…
ベッタリと付着する………
倒れて居たのは………フェイルじゃない
…………ネクサスだった…………