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第1話 偉大なる龍族の双子




僕達は龍族…

僕達は偉大なる龍族


龍族の末裔なんだ


でも 僕は龍になれないんだ

何でだろう?

なにかの罪なのだろうか?


だけど弟は龍になれる

きっと両親も龍になれる


でも僕は龍になれないんだ


理由は何か考えた…でも分からない

僕には分からない…だって難しいから

だって……分からないよ


僕には力が足りないの?弱い?ダメ?


今思えば僕は焦っていたのかもしれない


「兄さんどうしたんだ兄さん…」


「レイヴィル………?」


レイヴィルと呼ばれた赤髪の少年

起き上がるのは

兄さんと呼ばれた茶髪の少年

ちなみに茶髪の少年の名はフェイル


「かなり魘されていた…よ…

冷や汗もかいている…

どうしたんだ……兄さん」


レイヴィルはフェイルを抱き締める

見た感じレイヴィルが兄に見える

理由は簡単なのだ

フェイルはとても小さい背が低いのだが

弟のレイヴィルはかなり高い

軽々とフェイルを腕に収め

レイヴィルは抱き締める


「苦しいよレイヴィル…」


苦笑しながらフェイルも

レイヴィルの背に手を回す

本当に双子なのか…

戸惑うほどに似ていない


兄フェイルは身長が低く

見た目も顔付きも体格も

華奢で女の子らしい

弟レイヴィルは背は異常な程高く

見た目も顔付きも体格も

男らしくしっかりしている


髪の色も目の色も違う

フェイルは茶髪に銀目

レイヴィルは赤髪に金目

2人は疑うほどに違うのだ

そして……………


「兄さん……1人で悩むなよ

僕が居るだろ…?

父さんも母さんも居ない今

僕にとっては兄さんだけが

僕の唯一の存在なんだ」


「僕だってレイヴィルが大切だよ

もちろん僕の唯一の存在だよ」


弟レイヴィルは言うまでもなく

かなりのブラコンである

フェイルは少々ブラコンだが

べったりするほどではない

本当に大切に思って居る

いつも側に居たいと感じている



でも急にそんな日々が無くなったら?



次の日レイヴィルの姿は

家の中に無かった

魔力の痕跡だけが

ただただ転々と残っていただけ


「レイヴィル…?」


フェイルは呼び掛ける

レイヴィルの魔力の反応も

その気配も無いことを

フェイルは知っている

知っているけど希望を無くしたくなかった


「あはは……おっかしーな…

何でだろ僕お兄ちゃんなのに…

何で………こんなの無いよ!!」


レイヴィルが残した

ペンダントを手に握り締め

フェイルは力無く座り込む

何時間経ったのだろうか…

フェイルは動けないままで居る…


「フェイル!!!無事か!!!」


フェイルがハッとしたのは

1つの声が響いたからだ


「ネクサス…」


フェイルは無意識に呟く

泣きながら見上げた先には

金髪の背の高い少年

名をネクサスと言う


「よく聞け……お前は…助かったんだ…

ジライクスの作り上げた

この一族の集落には

既に人が1人も居ない…!

お前だけが助かったんだ!」


「何………?訳が分からないよ…

僕が生き残り…?僕達の一族が無い??

何があったの!?ジライクスって!

なんでレイヴィルは居ないの!?」


フェイルが混乱しながら聞く

ネクサスは1つ息を吐き出し

フェイルをジッと見つめる


「よく聞けよ………

お前はダークライシスと

クローク一族の生き残りだ…

誰が襲ったかは分からない

ただレイヴィルは生きている…

ジライクスも生きている…

他の者は分からないが…

気配はまだある…」


「つまり……僕は1人…」


フェイルは現実を聞いては

瞳から光を失っていく…

ネクサスはフェイルの肩を掴み

軽く揺すっては見据える


「大丈夫だ…お前は1人じゃない…

オレが居てやるから…そばに…」


「う……うぅっ……ネクサス…ネクサス

僕は1人はイヤだよ…もうイヤだよ…」


「もうあの時のように…

お前を1人にはしねえよ…」


ネクサスは言う

フェイルは子供みたく泣きじゃくっては

ネクサスにしがみつく

軽くて華奢なフェイルを

ネクサスは優しく抱き止める

見た感じはまさしく

年齢の離れた兄弟のよう…

だが実はこの2人幼なじみの親友なのだ


「あり……がと…う……

ありがとう……ネクサス」


「礼なんか要らねーよ…

お前だけでも生きていてよかった

オレは素直にそう思う」


この後フェイルが泣きつかれて

眠りに付くまで

ネクサスは側に居てやる…

ネクサスが異変に気づいたのは

フェイルが眠りに付いてから

ものの一時間後ぐらい


大勢の何かに囲まれている

ネクサスは小さくぼやき

フェイルをベッドに乗せては

1人で行こうとするが

はしっ!!とフェイルに手を掴まれる


「……僕…も行く…

嫌な予感がするんだ…この気配」


ネクサスはフェイルの目を見やる

覚悟を決めた力強い目だ


「…………来い…」


ネクサスはそれだけ呟き

立ち上がっては部屋を出る


龍の双子が引き裂かれた…

片翼の龍は………飛べるのか………


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