表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

都での生活 実践編 中編

Sideポチ

ポチは青い竜と一緒に近くの山まで来ていた。近くといってもそれは竜の感覚で、人間では往復一ヶ月の旅になるであろう。

 なにゆえこの山まで来たのかというと、ポチの飛行訓練につきあっていた青い竜が、

「ここではなく、もっと風の強い場所でした方がよいやもしれん」

とアドバイスをしてくれたからだ。

 そんなわけでポチは青い竜の背に乗って、特訓場まで移動した。引越し途中に親の背中から落ちたのは未だ新しい記憶である。なので今度は落ちないように、ポチはしっかりと青い竜の背中に爪を立ててしがみついていた。


特訓場で、ポチは青い竜から高く飛ぶコツを教えてもらった。

「よいか、高い場所を飛ぶには強い風がいる。お前は他の竜の子に比べて少々丸いゆえ、より強い風がいるのだ」

どうやら高ければ高いほど、強い風で飛ばねばならないらしい。この特訓場は最初から強い風が吹いているので、ポチでも飛べるだろうということであった。

「万が一落ちたとしても、竜は頑丈にできている。どうということはあるまい」

自分ではないと思って、勝手なことを言う青い竜であった。

「よし!ではやるぞ!」

少々高い崖の上から、ポチは思い切って飛び出した。

「おお!いいカンジである!」

ポチは上手い具合に風にのれたようである。しかし。

くるくるくるくる

ポチは強い風にのれたのはいいが、その風の渦の中で回りはじめてしまった。

「お前、風に遊ばれているぞ」

特訓の道のりは、けっこう遠いようである。


Sideコニー

コニーが学校についたとき、学校は大騒ぎになっていた。

 なにやら白くて大きいものが学校を目指して歩いてくれば、騒ぎにもなるだろう。

 しかし、白くて大きいものをつれてきた当の本人は、その騒ぎの原因が全くわかっていなかった。

「コニー!その、いや、そちらの竜はなんなのだ!?」

見知った先生が、すごく遠くから問いかけてくる。なんで近くまで来ないのだろうかと不思議に思いつつも、コニーは先生まで届くように大きな声で答えた。

「せんせー、こっちの白いふさふささんは、ポチのとーちゃんです!」

そう、通学途中で遭遇した白い大きなふさふさの生き物は、ポチの父親だったのだ。ポチに会いにきたらしいのだが、あいにくとポチは友達の青い竜とピクニックにでかけている。そう伝えると、ポチの父親はすれ違ってしまったことがショックでしょんぼりしてしまった。その姿はあんまり可哀相で、コニーはうっかりおやつを落として食べれなくしてしまったポチの姿とダブった。コニーと一緒にいればそのうち会えると伝えると、一緒に待つとポチの父親が言ったので、学校で一緒に待っていることにしたのだ。

 ちなみに今コニーがどこにいるのかといえば、ポチの父親の背中の上である。コニーは背中の白い毛に埋もれそうになっていた。

 ポチの父親は学校という場所に興味津々である。

「うちの坊やはいつもここにきているのかい?」

「そうだよ、俺と毎日学校にくるの」

父親は子供の生活ぶりが気になるらしい。コニーはせっかくなので今日一日ポチの父親と一緒に行動して、ポチの一日を体験してもらおうと考えていた。

「邪魔はしないから、一日よろしくたのむよ」

「今日は一緒にお勉強するんだー」

「・・・はぁ」

ポチの父親の言葉を通訳したコニーに、先生はひきつった笑みを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ