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都での生活 応用編

Sideコニー

都の学校にも友達ができた。

 友達の兄が、コニーの兄であるピートを知っていたらしい。聞くとなにやら有名人のような言い方をしていた。ピートはそんなことを一言も言っていなかった。

「へー、あのピートの弟、ほー」

と言ってコニーをじろじろながめ、友達の兄という人はずっと笑っていた。ピートが何をしたんだろうかと気になって尋ねてみたが、

「ピートだって親兄弟に知られたくないことがあるだろうしな」

とやっぱり笑っていた。知られたくたいくらいに恥ずかしいことでもしたんだろうか。とっても気になるし、コニーには何でも話してくれるピートなので、今度手紙で聞いてみようと思った。


 都の学校でも、ポチはずっと一緒だ。おじさんが言うには、ポチはコニーの「契約竜」だから、ずっと一緒にいてもいいのだそうだ。契約って何かと聞くと、ポチの名前をつけたことなんだそうだ。確かにポチにポチと名前をつけたのはコニーだ。母親に名前は何だと聞かれたので、ポチだと答えたのだ。それを聞いたおじさんは、「あいつめ、確信犯か・・・」とうなだれていた。

 よくわからないけど、ポチとずっと一緒にいられるのは嬉しい。


Sideポチ

先日会った青い竜から、上手な火の吹き方を教えてもらうことになった。

 火を吹こうとすると、たまに口の中が煙たくなってしまう。ポチがそう告白すると、青い竜は

「おまえ不器用だな」

と言った。不器用とは何事か、他竜よりも、ちょっとだけやり方がまずいだけだ。

 青い竜が口の中で煙を出さない方法を伝授する。

「よいか、息を吸うときに火を出そうとしてはいかん」

「うむ」

ポチはゆっくりと息を吸った。火はまだ出してはいけない。

「すった息を、思いっきり吐きながら火を出すのだ」

「む・・・」

ぶふーボスッ!

最初うまくいきそうであったが、すぐに煙が出てしまった。だが煙を口の外に出すことには成功した。

「・・・。」

青い竜は不思議そうにその煙を眺める。

 なんだ、自分が生まれたときから完璧な竜だったとでも言うのか。己は子供なのだから、多少の失敗は寛容に受け止めてもよいであろうに。

 ポチがふてくされていると、青い竜はそれを感じ取ったらしい。

「毎日練習すれば、そのうちできるようになるだろう」

そうなぐさめてくれた。

 ポチはできないのではない、断じてそうではない。


Sideコニー

おじさんに、ポチとおしゃべりする方法を教えてもらうことになった。

 コニーがわくわくして待っていると、おじさんはヒモで繋がった二つのコップみたいなものを持ってきた。

「なにこれ?」

「これはな、竜の言葉がわかる魔法の道具だ!」

道具を手にとって首を傾げるコニーに、おじさんは胸を張って説明した。

 おじさんが言うには、このヒモは魔力が通りやすいようになっていて、「ポチの言葉が聞こえますように」とお願いしながらコップの部分に耳を当てると、言葉が聞こえてくる仕掛けなのだそうだ。

 よくわからないが、要するにポチとおしゃべりできる不思議道具らしい。

「使いたい!」

片方のコップをポチに持たせたがコップが大きすぎるため、ポチは持つというよりもコップに頭をすっぽり入れていた。

 そしてもう片方のコップをコニーが持つ。よし!と気合いを入れていざ。

「おーい、聞こえますかー?」

「いや、竜にはコニーの言葉はわかるだろう」

おじさんにつっこまれた。

「あ、そっか」

ファーストコンタクト失敗。

 気を取り直して、ポチに何かしゃべるようにお願いする。

「我は高貴なる竜である。断じて犬ではない」

「なんか聞こえた!」

コップにすっぽりと頭を入れているせいか、多少声がモガモガしているのは仕方がない。ポチも言葉が通じたことが嬉しかったらしい。続けて何か言いたそうだったので、コップに耳を澄ます。

「我は好物は最後に食べるタイプである」

「そうなの?俺は最初に食べたいよ」

何となく付き合いで、コニーもコップに話しかける。

「なので、デザートのイチゴは最後の楽しみであって、嫌いで残しているのではない」

「わかった、ポチはイチゴが好きなんだね」

「うむ」

ずっと言いたかったことを言えて、ポチは満足そうであった。

 コニーとポチから離れた場所でおじさんが、

「もっと先に話し合う話題はないのか」

とうなだれていた。


慣れたら道具なしでも会話ができるそうだ。がんばるぞ!

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