第13話「再興」
前回からの、あらすじ。
転生バーン!、周囲との軋轢ドーン!、家出バーン!、試験ドーン!、合格バーン!、再会ドーン!、
衝撃ドーン!、辞令バーン!、初陣ドーン!!、
親友戦死!!!、表彰ドーン!!、境界Go!!、
泡沫
以上!
作戦前夜、ハインツは、扉の前に立っていた。
そこは、兵舎に設けられた、司令官用の個室。
現在は、大公が居る場所であった。
ハインツは、一つ、息を吸うと、扉をノックし、口を開く。
「招集に応じ、参上いたしました。
ハインツ大尉です。」
暫くして、内部から声が聞こえる。大公の声だ。
「入れ。」
「失礼いたします。」
ハインツが、一礼しながら入室すると、大公が、革張りの椅子に座りながら、真っ直ぐにこちらを見ていた。
大公は、ゆっくりと口を開く。
「招集に応じてくれて感謝する。
実は、少し話したいことがあってね。
一先ず、座り給え。ここの椅子は、中々に座り心地が良いぞ?」
「ハッ、ありがとうございます。」
ハインツは、革張りの対面にある、革張りの椅子に座る。
確かに、座り心地はかなり良かった。
暫く、場に沈黙が流れる。
ハインツは、少し居心地悪気にしつつも、大公が話し出すのを、無表情に待つ。
大公は、ジッとハインツの顔を見つめていたが、
暫くして、口を開いた。
「君は、今、確か、21歳だったかな?」
「はい、そうですが…」
ハインツは、それがどうした、と言わんばかりに大公を眺める。
大公は、微笑みつつ、続ける。
「16歳で、入隊試験を受験、その後、特待生として、軍学校に入学し、特待生を維持し、次席で卒業。
第186砲兵小隊を立て直し、テッラ・モルディスにて初陣を飾る。
そして、幾度もの戦いを熟し、その何れでも優秀な戦績を残す。
極めつけは、ブラウアー・シュラムにて、壊滅寸前の前線を立て直し、霊亀を討伐した。
その結果、長剣翼砲撃勲章を受章し、そして、このマギア・フォレスタルに配属された…優秀。実に優秀だ。
だが、前評判に反して、本前線での、君の意欲は、あまり、芳しくないようだ。
それは何故だ?ハインツ大尉。
私としては、その能力を、遺憾無く発揮してもらいたのだがね。」
ハインツは、息を呑む。何故、大公が、1大尉に過ぎない自分に、ここまでの関心を示しているのか。
それが、彼には、分からなかった。
ハインツは、一つ、深呼吸すると、口を開く。
「元帥閣下の、お手を煩わせる事ではありません。」
大公は、顔を顰めながら、答える。
「そうはいかない。君のような、優秀な人材が、何かしらの要因で、その実力を発揮しきれていない。
これは、王国軍全体、いや、陛下の臣民たる、王国の民達にとっても、大いなる損失だ。
君は、ウォルフガング大尉のような犠牲を、増やしたいのか?」
ウォルフガングの名が出た途端。ハインツの雰囲気が、変わる。
ハインツは、怒りを堪えるように、少し震えながら口を開く。
「そんな訳ないでしょう。ですが、私は、私には、ウォルフガングしか、居なかったのです。
彼が居ないのであれば、私には…」
「それでは、除隊したまえ。
やる気の無い貴官が、戦線に参加するくらいならば、除隊してくれた方が、遥かにマシだ。
私が、名誉除隊の為の書類を用意しよう。」
大公は、いつの間にか、微笑みを消し、無慈悲に告げる。
ハインツは、俯かせていた顔を上げ、答える。
「…それは、出来ません。それでは、なんの為に、ウォルフガングが死んだのか、分からなくなってしまう。」
大公は、暫く沈黙すると、顔を緩め、口を開く。
「それならば、何をすれば良いのか、君には、一番分かっているだろう?」
「それは…そう、ですが。」
ハインツは、躊躇うように答える。
大公は、畳み掛けるように、口を開く。
「それでも、戦う意思を、その意義を、見出だせないのならば、この、私の為に、戦ってはくれないだろうか?」
「…は?」
ハインツは、目を見開く。そのようなことを言われるとは思いもよらなかった。
「なに、簡単な事だよ。この前線で、最も必要とされている兵力、それは、君の指揮する第36砲兵中隊だ。
だが、それには、君という、優秀なブレインが無ければ、何にもならないだろう。
だからこそ、私の為に、そして、私を介して、王家の為に戦う事で、戦友を、同胞を、これ以上魔物の餌食にならぬようにするのだ。」
ハインツは、ウォルフガングの死亡以来、道を見失っていた。
戦う意義を、見出だせないで居たのだ。
だからこそ、大公の提案は、彼にとって、非常に魅力的に写った。
大公は、最後の一押しとばかりに、続ける。
「私ならば、死ぬことは無い。
司令部ごと、壊滅する事態は、稀だ。
特に、私は王族、そんな存在が居る司令部が、壊滅するような事態等、起こり得るはずはない。
そうだろう?」
大公は、片手を差し出し、握手を求める。
ハインツは、微笑みながら、導かれるように、その手を握り、固い握手を交わす。
「えぇ、その通りですね。閣下。
私の忠誠を、貴方に捧げます。
閣下に忠誠を、ロイエンベルク王家万歳!」
大公は、満足気に微笑みながら、言葉を返す。
「貴官の、忠誠と献身に感謝する。
陛下に忠誠を、献身と協力には報いを。
ロイエンベルク王国万歳。」
その瞬間、ハインツの心は、蘇った。
潤いを取り戻し、意欲を取り戻す。
彼の心には、大公への忠誠心と、国王への畏敬が満ちあふれていた。
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