表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

第13話「再興」

前回からの、あらすじ。

転生バーン!、周囲との軋轢ドーン!、家出バーン!、試験ドーン!、合格バーン!、再会ドーン!、

衝撃ドーン!、辞令バーン!、初陣ドーン!!、

親友戦死!!!、表彰ドーン!!、境界Go!!、

泡沫

以上!

 作戦前夜、ハインツは、扉の前に立っていた。

そこは、兵舎に設けられた、司令官用の個室。

現在は、大公が居る場所であった。


 ハインツは、一つ、息を吸うと、扉をノックし、口を開く。


 「招集に応じ、参上いたしました。

ハインツ大尉です。」


 暫くして、内部から声が聞こえる。大公の声だ。


 「入れ。」


 「失礼いたします。」


 ハインツが、一礼しながら入室すると、大公が、革張りの椅子に座りながら、真っ直ぐにこちらを見ていた。

 大公は、ゆっくりと口を開く。


 「招集に応じてくれて感謝する。

実は、少し話したいことがあってね。

一先ず、座り給え。ここの椅子は、中々に座り心地が良いぞ?」


 「ハッ、ありがとうございます。」


 ハインツは、革張りの対面にある、革張りの椅子に座る。

確かに、座り心地はかなり良かった。


 暫く、場に沈黙が流れる。

ハインツは、少し居心地悪気にしつつも、大公が話し出すのを、無表情に待つ。

 大公は、ジッとハインツの顔を見つめていたが、

暫くして、口を開いた。


 「君は、今、確か、21歳だったかな?」


 「はい、そうですが…」


 ハインツは、それがどうした、と言わんばかりに大公を眺める。

大公は、微笑みつつ、続ける。


 「16歳で、入隊試験を受験、その後、特待生として、軍学校に入学し、特待生を維持し、次席で卒業。

第186砲兵小隊を立て直し、テッラ・モルディスにて初陣を飾る。

そして、幾度もの戦いを熟し、その何れでも優秀な戦績を残す。


 極めつけは、ブラウアー・シュラムにて、壊滅寸前の前線を立て直し、霊亀を討伐した。

その結果、長剣翼砲撃勲章を受章し、そして、このマギア・フォレスタルに配属された…優秀。実に優秀だ。


 だが、前評判に反して、本前線での、君の意欲は、あまり、芳しくないようだ。

それは何故だ?ハインツ大尉。

私としては、その能力を、遺憾無く発揮してもらいたのだがね。」


 ハインツは、息を呑む。何故、大公が、1大尉に過ぎない自分に、ここまでの関心を示しているのか。

それが、彼には、分からなかった。


 ハインツは、一つ、深呼吸すると、口を開く。


 「元帥閣下の、お手を煩わせる事ではありません。」


 大公は、顔を顰めながら、答える。


 「そうはいかない。君のような、優秀な人材が、何かしらの要因で、その実力を発揮しきれていない。

これは、王国軍全体、いや、陛下の臣民たる、王国の民達にとっても、大いなる損失だ。


 君は、ウォルフガング大尉のような犠牲を、増やしたいのか?」


 ウォルフガングの名が出た途端。ハインツの雰囲気が、変わる。

ハインツは、怒りを堪えるように、少し震えながら口を開く。


 「そんな訳ないでしょう。ですが、私は、私には、ウォルフガングしか、居なかったのです。

彼が居ないのであれば、私には…」


 「それでは、除隊したまえ。

やる気の無い貴官が、戦線に参加するくらいならば、除隊してくれた方が、遥かにマシだ。

 私が、名誉除隊の為の書類を用意しよう。」


 大公は、いつの間にか、微笑みを消し、無慈悲に告げる。

ハインツは、俯かせていた顔を上げ、答える。


 「…それは、出来ません。それでは、なんの為に、ウォルフガングが死んだのか、分からなくなってしまう。」


 大公は、暫く沈黙すると、顔を緩め、口を開く。


 「それならば、何をすれば良いのか、君には、一番分かっているだろう?」


 「それは…そう、ですが。」


 ハインツは、躊躇うように答える。

大公は、畳み掛けるように、口を開く。


 「それでも、戦う意思を、その意義を、見出だせないのならば、この、私の為に、戦ってはくれないだろうか?」


 「…は?」


 ハインツは、目を見開く。そのようなことを言われるとは思いもよらなかった。


 「なに、簡単な事だよ。この前線で、最も必要とされている兵力、それは、君の指揮する第36砲兵中隊だ。

 だが、それには、君という、優秀なブレインが無ければ、何にもならないだろう。


 だからこそ、私の為に、そして、私を介して、王家の為に戦う事で、戦友を、同胞を、これ以上魔物の餌食にならぬようにするのだ。」


 ハインツは、ウォルフガングの死亡以来、道を見失っていた。

戦う意義を、見出だせないで居たのだ。

だからこそ、大公の提案は、彼にとって、非常に魅力的に写った。


 大公は、最後の一押しとばかりに、続ける。


 「私ならば、死ぬことは無い。

司令部ごと、壊滅する事態は、稀だ。

特に、私は王族、そんな存在が居る司令部が、壊滅するような事態等、起こり得るはずはない。

そうだろう?」


 大公は、片手を差し出し、握手を求める。

ハインツは、微笑みながら、導かれるように、その手を握り、固い握手を交わす。


 「えぇ、その通りですね。閣下。

私の忠誠を、貴方に捧げます。

閣下に忠誠を、ロイエンベルク王家万歳!」


 大公は、満足気に微笑みながら、言葉を返す。


 「貴官の、忠誠と献身に感謝する。

陛下に忠誠を、献身と協力には報いを。

ロイエンベルク王国万歳。」


 その瞬間、ハインツの心は、蘇った。

潤いを取り戻し、意欲を取り戻す。

彼の心には、大公への忠誠心と、国王への畏敬が満ちあふれていた。

本日も、ご読了頂きありがとうございます。初めましての方は初めまして。チャデンシスと申します。現在、毎日投稿キャンペーン中なので、本作だけでなく、ほかの作品もよろしくお願いします!

オススメ∶境界戦線

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ