第12話「焔火」
前回からの、あらすじ。
転生バーン!、周囲との軋轢ドーン!、家出バーン!、試験ドーン!、合格バーン!、再会ドーン!、
衝撃ドーン!、辞令バーン!、初陣ドーン!!、
親友戦死!!!、表彰ドーン!!、境界Go!!
以上!
ハインツの、前線到着から実に2週間。
ようやく、フリードリヒ大公が、現場に到着した。
その日の内に、前線司令部にて、作戦会議が開かれた。
ハインツも招集され、前線司令部にて、中隊長以上の指揮官が一堂に会する。
フリードリヒ大公が、辺りを見渡すと、口を開く。
「諸君、私は、フリードリヒ元帥だ。統合参謀本部の命令により、本戦線の指揮権を委譲された。
国王たる、大元帥閣下は、本線線の現況を憂いておられる。
領邦とはいえ、陛下の臣民たることには変わらない。
その証拠として、精鋭たる第36砲兵中隊が派遣された。
現場待機を命じられたのは、適切な運用を行う必要があったからだ。
長10.5cm魔導砲の戦略性は、非常に高い。
国境に移動するだけで敵国を抑止し、その一撃で第四等級魔物ならば、10体以上を吹き飛ばすことが可能だ。
故に、大元帥閣下は、懐刀たる私に、指揮を命じられたのだ。
それでは、大佐、現在の状況の報告を頼む。」
フリーフェンは、頷くと、口を開く。
「ハッ、畏まりました。」
「前線は、知っての通り、逼迫した状況です。
物資は潤沢ですが、残念ながら、練度と火力が不足しています。
とは言え、これは、第36砲兵中隊の投入で解決できるでしょう。」
ハインツは、頷き、答える。
「全面的な砲撃支援を約束しよう。」
「ありがとう、ハインツ大尉。
では、説明に戻ります。
練度の問題に関しては、現状では打つ手がありません。
また、それ以上に、士気の低下が顕著であり、前線の兵士の間では、厭戦気分まで広がっております。
一部では、脱走兵と思しき行方不明者まで出始めており、早急な、指揮統制の回復が必要です。
更に、未確認情報ではありますが、前線では、第三等級と思しき魔物の目撃情報や、痕跡が多く寄せられております。
しかし、敵が、予想以上に素早く、見つかる気配がありません。
説明は以上です。」
フリーフェンは、説明を終えると、口を閉ざす。
フリードリヒ大公は、頷き、口を開く。
「説明ご苦労。では、作戦を説明する。
先ず、斥候部隊を派遣し、第三等級魔物の位置を特定、
囮部隊により所定のキルゾーンに誘導し、
10門の長10.5cm魔導砲による全力砲撃と、
機関銃兵による一斉射撃により魔物を撃滅する。
囮部隊は、150名程度を予定している。
何か質問はあるか?」
レイエンスが、手を挙げ、口を開く。
「質問よろしいでしょうか?」
大公は頷く。
「ありがとうございます。
先ほど、囮部隊、と申しましたが、それは本当に必要なのですか?
何も、囮部隊を編成せずとも、長10.5cm魔導砲の射程と威力であれば、敵の存在が予想される地域を、丸ごと吹き飛ばすことが出来ると思うのですが。」
大公は、答える。
「疑問は最もだ、少佐。
理由は単純だ。魔導弾が弾着した地域には、魔力が残留する。
その量は微々たるものではあるが、何千、何万と砲撃されれば、それは高濃度の魔力溜まりへと変化する。
そうなれば、スタンピードの発生、最悪の場合、第2等級魔物の出現もありうる。
以上の理由から、囮部隊を編成し、的確に砲撃することで、魔力濃度の上昇を最低限に抑える。
説明は以上だ。」
レイエンス、納得したように頷くと、口を開く。
「分かりました。元帥閣下。」
大公は、頷き、再び辺りを見廻すと、口を開く。
「他に、何か質問があるものは?」
「質問よろしいでしょうか?」
ハインツが、口を開く。
大公が、促すように頷くと、ハインツは、質問する。
「閣下、作戦に関しては了解したのですが、肝心の囮部隊の選定はどうするのでしょうか?
生半可な者を選ぶと、役目を果たす前に壊滅する危険性が高いと思うのですが。」
大公は、頷くと、口を開く。
「その通りだ、ハインツ大尉。だからこそ、志願制の形を取ろうと思う。
だが、現状の士気では、恐らくは、志願は集まらない。
そこで、私が演説を行う。これにより、士気向上が叶えば、もはや、この作戦の成功は約束されたもの同然だ。」
ハインツは頷くと、感心しながら答える。
「分かりました。閣下、私からの質問は、以上です。」
「分かった。他に質問があるものは?
…居ないか、では、本作戦を、『フォイアー作戦』も命名する。
各員、作戦準備を開始せよ。
奴等を、我がロイエンベルクの地から叩き出すぞ!」
「「「「「ラボール!!!」」」」」
この作戦会議まで、ハインツの心には、王国に対する不信感と、虚無感が広がっていた。
だが、大公の、その鮮やかな手際を見ていると、あの時、特別軍事作戦を実行しなかった事に、心から安堵すると共に、大公への、尊敬の念が湧き起こり、ウォルフガングの戦死以来、乾ききっていたその心に、潤いが生まれつつあった。
戦場の中でも、希望の灯火は、決して消えることは無い。
例え、それが、誰かの作為によるモノだとしても…
本日も、ご読了頂きありがとうございます。初めましての方は初めまして。チャデンシスと申します。現在、毎日投稿キャンペーン中なので、本作だけでなく、ほかの作品もよろしくお願いします!
オススメ∶境界戦線




