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第10話「残骸」

滑り込みセーフ!

前回からの、あらすじ。

転生バーン!、周囲との軋轢ドーン!、家出バーン!、試験ドーン!、合格バーン!、再会ドーン!、

衝撃ドーン!、辞令バーン!、初陣ドーン!!、

親友戦死!!!

以上!

 ロイエンベルク城内、ブラウアー・ガルテンにて。

荘厳な響きを持って、ロイエン防衛隊が流れる中、勲労者の名前が読み上げられる。


 「ホーエンディルゲン家が当主、ミハイル・ホーエンディルゲン子爵、前へ。」


 「はい。」


 革靴が芝生に沈み込み、悠然と、煌びやかな第一種軍装を着込んだ、ミハイルが壇上に向けて歩く。

その先には、壇上に立つ、国王オットー・フォン・ロイエンベルク・ホーエンランデと共に、

宰相たる、ルートヴィヒ・フォン・ロイエンベルク・ファーターランデが、詔書と勲章を手に待っていた。


 ミハイルは、壇上に上がると、玉座に向かって跪き、臣下の礼を摂る。

 オットー6世は、厳かに口を開く。


 「頭を上げよ、ミハイル。」


 「ハッ、了解いたしました。陛下。」


 ミハイルは、頭を上げると、立ち上がり、宰相に向かい最敬礼を行う。

 ルートヴィヒ宰相は、文官式の最敬礼を返すと、口を開く。


 「第2等級魔境『ブラウアー・シュラム』にて、霊亀の討伐を行った事を称し、貴官に、双剣翼突撃勲章、並びに、金一封を授与すると共に、少佐へ任命する。

受けてくれるな?」


 ミハイルは、儀礼通りに、一泊の間を空け、答える。


 「身に余る光栄です。謹んで、拝命させて頂きます。」


 ルートヴィヒ宰相は、先ず、両手に詔書を持つと、ミハイルに手渡す。

 ミハイルは、両手で、しかと受け取ると、それを見届けたルートヴィヒ宰相は、勲章を持つと、自ら、直立するミハイルの軍装へ、勲章を着ける。


 ミハイルは、誇らしげに胸を張ると、オットー6世と、ルートヴィヒ宰相に対して、最敬礼を行い、右手に位置する、勲功者用観覧席の先頭に座る。

 それは、ミハイルが、今回の勲章授与式に於いて、一番の勲功者である事を意味していた。


 それを見届けたルートヴィヒ宰相は、次の勲功者の名前を読み上げる。


 「ロイエンベルク王国王国軍所属、第186小隊が小隊長、ハインツ少尉、前へ。」


 「…はい。」


 ハインツは、他人から見たら分からない程度だが、一泊の間を空け、答える。

 ハインツは、背筋を伸ばし、毅然と歩き、壇上に上がると、ミハイルが行ったのと同じ動作を行う。


 「第2等級魔境『ブラウアー・シュラム』にて、霊亀の出現に際し、迅速に対応を行い、戦線の崩壊を阻止した事を称し、長剣翼砲撃勲章、並びに、金一封を授与すると共に、大尉に任命する。

受けてくれるな?」


 ハインツは、儀礼通りに、一泊の間を空け、答える。


 「身に余る光栄です。謹んで、拝命させて頂きます。」


 その後、勲章および、詔書を受け取ると、最敬礼を行い、同じく右手に位置する、勲功者用観覧席に座る。

 親しい間柄であれば、分かることではあるが、ハインツの、一挙手一投足に、その顔に、覇気は、無かった。


 誰もが、ハインツ達を、ハインツを讃える。

長剣翼砲撃勲章とは、小隊長クラスの砲兵が貰える勲章としては、最高位と言っても良い勲章であり、単独の判断により、大隊規模の部隊を救った砲兵に対して与えられる。

非常に名誉な勲章であり、これがあれば、高額の年金も出るため、生涯安泰と言っても過言ではない。


 金一封として支給される金額も非常に高額だ。

大尉の年給1年分。税の対象外となる為、総額200万ロイエンマルク。日本円換算で、凡そ800万円。


 だが、ハインツにとって、そんな事は、どうでも良かった。

勲章、昇格、金一封、等しく無価値。

ウォルフガングが生きていてくれれば、それで良かった。

しかし、ウォルフガングは死んだ。

 彼の世界は、崩壊した。

何を食べても、戦友と談笑しても、心は晴れない。

穴の開いた器に、水を注ぐが如く、世界の残骸は、潤いを持つことは、無い。


 だが、ロイエンベルク王国には、優秀な人材を、心理的問題という、一つの要素だけで、放置するような余裕は無かった。


 ハインツ少尉、改め、ハインツ大尉は、第186砲兵小隊から、第36砲兵中隊へと異動となった。

 そして、ハインツは、第36砲兵中隊中隊長として、長10.5cm魔導砲10門と、観測班4つを含めた、総勢248名を率い、第2等級魔境「マギア・フォレスタル」へと、配属される事となる。


 領邦軍だけでの対処に失敗し、たかだか第3等級魔物の影に怯えて、崩壊寸前の前線。

これを解決するべく、大公…フリードリヒ・フォン・ロイエンベルク・ミッテルランデが派遣されたのである。


 そして、そんなフリードリヒ大公の隷下として、精鋭たる第36砲兵中隊が、先んじて派遣されることとなったのだ。

 ハインツは、無感動に、そして機械的に命令を受領し、共に歩んできた戦友達とも別れ、孤独な前線に向かっていくのであった。

本日も、ご読了頂きありがとうございます。初めましての方は初めまして。チャデンシスと申します。現在、毎日投稿キャンペーン中なので、本作だけでなく、ほかの作品もよろしくお願いします!

オススメ∶境界戦線

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