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天国  作者: 遠藤 敦子
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 時が過ぎ、私は中学生になる。その頃、実母から私宛に手紙が来ていた。「和華へ」という言葉から始まる手紙にはこのようなことが書かれている。中身は


和華へ

この手紙を読んだ頃、あなたは中学生になっていることでしょう。

元気にしていますか?

あなたを産んだ時、私はまだ16歳でした。

実の父親にも逃げられてしまい、私はどうしてもあなたを育ててあげることができませんでした。


 といった文章だった。私を育ててあげられなかったことへの謝罪、今は別の男性と結婚して派遣社員として働いていること、私さえ良ければまた親子として暮らしたいということが書かれている。この手紙をきっかけに私は実母が私を乳児院に預けることになった理由を知ってしまう。それは友達が高校生として青春している姿を見て羨ましくなったこと、新しい彼氏ができて彼氏優先になっていたことだ。

「……綺麗事言ってるけど結局、男ができて私が邪魔になったってことじゃん」

 私はそう呟き、実母からの手紙をくしゃくしゃにしてしまった。何を今更というのが正直な気持ちだ。結局は男を優先したのかと軽蔑した。私はこうはならないぞと実母を反面教師にし、里親さんのように誰かを守れる人になりたいと決意する。それがきっかけで私は警察官を志すようになった。



 公立高校に進学し、周りの友達は大学進学を目指す人が多い。というのは進学校だからだ。けれど私は里親さんに金銭的負担をかけたくないことや早く社会人になりたいという気持ちから、高卒で警察官になると決めた。念願叶い、私は大阪府警への就職が決まる。

 警察学校に10ヶ月間通い、それから交番に配属された。最初はわからないことだらけだったけれど、先輩警察官と行動を共にしていたのもあり心強さを感じる。市民を守りサポートできる警察官になりたいという気持ちを抱いていたのだ。


 交番に配属されて3ヶ月が絶った頃、育ての父の体調が急変し、75歳で亡くなった。私は葬儀が終わるまでなるべく気丈に振る舞っていたけれど、葬儀を終えてから強い喪失感に襲われる。育ての母も同じ気持ちだったことがあり、急に体調を崩してしまう。そして彼女も育ての父の後を追うようにして亡くなった。

 私にはもう頼れるひとがいない状態となる。19歳で天涯孤独になった。けれど大阪の1人暮らしの家には育ての両親と撮った写真やそれぞれからもらった手紙が飾ってある。空の上から彼らが見守ってくれている気がした。大阪府警への入社試験を受ける際に育ての母からもらったお守りを、私は今でも持ち歩いている。育ての両親は亡くなってしまったけれど、今でも私の心の中で生き続けているのだ。

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