ジョーク生活
20XX年。時の内閣総理大臣が「これから国民の皆様には寒いジョークに従って生きていただきます。そんな風に生きていきてぇ」などと言い出した。本当に何を言っているのかわからないが、とある中学校の生徒の一日をのぞくとしよう。
起床。彼の一日は羊羹から始まる。「おはようかん」などと寝ぼけながらも枕もとの羊羹を口に運ぶ。階段を降りていく。リビングのある下の階に行くことにしたのかい?
母親が朝ご飯を運んでくる。「うわっ、朝食にピーマン、超ショック」哀れ日本国民、彼らは毎朝自分の嫌いなものを食べることを強制されているのだ。強要するのは今日よ。
彼は学校へと出発する。学校に着くと唐突にスマホを取り出し、「登校なう」ネットに投稿する。この執念深さには投降せざるを得ない。
授業が始まり、彼は腹痛を感じた。「先生、トイレ行ってもいいですか?」「行っトイレ」足早にトイレに向かう。先生の先制攻撃と言っていいだろう。
また別の授業、教師は板書で誤字をした。気づいた彼は「そこ、速攻で直してください」教師は誤りに気づき、直す。先ほどの先制攻撃に対する生徒の正当防衛と言えるだろう。
昼休み、彼は食堂へと向かう。職員が何故か呼び込みをかけている。「食堂でおいしい学食、どう?」彼は辛いれぇ辛ぇカレーを食べた。
午後の授業を終え、彼は部活へと向かう。途中野球部が練習試合をしているグラウンドを通った。審判の判定に文句があったのだろうか、部長が叫んでいる。「部員総出でブーイングだ!」彼はサッカー部だ。明日は朝っかーら練習だろう。
部活を終え、彼は帰宅し、風呂に入る。自宅の浴室には自由の女神の置物がある。「ニューヨークで入浴の気分になれる」そういう触れ込みだ。風呂がフロントにあってもいいかもしれない。
彼は家族で夕食をとる。野菜が山のように積まれている。「頂、いただきまーす」てっぺんの大根をとる。この大根で遺恨が残らなければいいが。
彼はリビングでテレビを見る。どうやらアニメの登場人物が死んでしまったようだ。「この遺影、もうちょっとイエイ! って感じにしてほしかったなぁ」鑑賞を続ける彼は、感傷に浸っているようだった。
眠気を感じた彼は、寝室へと向かう。「おやすみ」ついてきた両親はすかさず動く。部屋の隅に動き「親、隅にいるよ」しゃれなどと歌いながら、布団は吹っ飛ばさないのだろうか。
これが彼の一日である。どれだけ過酷で、なんと面倒な生活だろうか。この意味のない政策は、1年で取りやめになった。
余談だが、この年は全国的に例年より平均気温が低かったそうだ。
少し前に趣味で書いた短編小説です
とあるところに寄稿したので全く同じ小説を見つけることがある…かもしれません(恐らくない)
魔導文明復興記の方も気が向いたら(不確実)更新します。