表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リミックスライフ  作者: SPECIAL BAY
9/12

鮫郎、ライブレポート!

ここからはオレ、鮫郎(さめろう)が記事を担当するぜ! よろしく!



オレはとある街のライブハウスで、ガールズバンドの『YOUR-WINGS! (ユア・ウイングス!) 』が出演するロックなライブがあるという情報をゲットした。どうやら、4組のアーティストが出演するらしい。これは楽しみである。オレはポテトチップスを片手にその現場へと向かった!



ライブハウスの中は人で溢れていた。その様子を魚の水槽で喩えよう。そうだな、それはドリンクを受け取るカウンターは撒き餌。カウンターの撒き餌の方へ泳いで、エサを受け取る。その後、ステージという網の方へ泳いでいく。導かれるように。そして、そこで僕らはアーティストの音楽に群がって捕まえられるのだ!


オレも音楽に釣られる魚になるのか!?



ライブが始まった。ライブの始まりというのは日常から解放される感覚がある。まるでクレーンゲームで景品が獲れた時のよう。その時を待っている人々の固唾を呑む空気を切り裂いて歓喜の音が溢れ出すんだ。

会場は大盛り上がり!




一組目、『サウナ・サウンド』



一組目に登場したバンドは『サウナ・サウンド』。男性3人組のバンド。キャッチコピーは「音楽で整え!」。サウナのような熱い音楽なのだろうか。オレは楽しみに思ってドリンクを一口飲んだ。口に残るさっき食べたポテトチップスの塩味にサイダーの甘さが染みわたった。



『サウナ・サウンド』の一曲目は、「リゾートメロディー」。


オレは音楽に詳しくないので音楽的には分からないが、ハワイアンな感じの音楽だった。フラダンスを踊ろうぜって感じになる。ライブハウスに南国の島の景色が浮かぶ感じだった。


次は「熱波歌」、「タオルソング」と続いた。オレはサウナにめったに入ることがないが、会場はサウナのように熱気で溢れて熱くなっていた。その熱で蒸されて会場の魚たちは塩釜焼きのようになってしまっていた。しかし、魚が尾びれをバタつかせるようにタオルをまわして元気そうでもある。


最後には涼しい風が吹くような爽やかな歌もあり、気持ちよかったぜ。




二組目、『キャラメール with ミラクルバンド』



二組目にポップな音とともに登場したのはギターを持っている女子。『キャラメール』。今日はバンドを引き連れての登場らしく、「ロックに行こうね~~!」と宣言。その合図とともにライブが始まった。



『キャラメール』の一曲目は「ツリー! サムネイル」。


この曲はキャッチーだ。


「ツリー♪ ツリー♪ 釣りサムネ~♪」


のところが初めて聞いても覚えやすいメロディーだった。会場の魚たちはそれに釣られて一緒に踊っているという状態だった。


数曲後、キャラメールちゃんは真剣に話した。


「私ね。アイドルに憧れたんだけど。アイドルにはなれないと思った。それでもアイドルになりたくて・・。でももうアイドルになりたいって思っていません。私は『キャラメール』というスーパーシンガーになりたいんです!」


そう言って最後に披露した曲は「かわいいけどどこか怖い」。キャラメールちゃんらしさが全開のポップでどこか怪しげな音楽だった。




三組目、『チャラカレ』。



三組目に「お前ら! オレらの音楽に抱かれろ!」と叫びながら登場したのは、『チャラカレ』。男性四人組のロックバンド。かっこいいバンドサウンドで手が滑ったら楽器を投げ飛ばしてしまいそうなくらい激しい演奏をしていた。


ライブの中では、浮気がバレそうなときのことを歌った歌、「ヤバかった日のこと」、酒に酔って記憶がなくなった日のことを歌った歌、「あの後、どうなった?ww」、かわいかった彼女のことを歌った歌、「寝顔」と、『チャラカレ』の真骨頂と呼べるアダルトで激しい恋愛ソングが続いた。会場の魚たちは艶やかなライトに包まれた水槽で泳がされているようだった。


最後に披露した歌についての解説は控えておく。なぜなら、放送禁止用語ばっかり。コンプライアンスの都合だ。でも、すごく盛り上がった。爆音の演奏のため、歌詞は聞き取れなかったが、オレには刺激が強かったぜ~。




四組目、『YOUR-WINGS! (ユア・ウイングス!) 』。



最後はオレの大事な友達のスペシャルバンド、『YOUR-WINGS! 』。

ここでバンドのメンバーを紹介するぜ!


ボーカル、ギター、作詞作曲の陽呼子(ひよこ)

陽呼子ちゃんは柔らかくて芸術性が爆発しているバンドのリーダー。陽呼子ちゃんが他のバンドメンバーを誘ってバンド活動が始まったのだ!


ベースの佳夏(かなつ)

佳夏ちゃんは元気いっぱいで明るいバンドのアイドル的存在。テクニカルなベースの魔術師だ。よくオレの話を聞いてくれる最高な友達でもある!


ドラムの希菜子(きなこ)

希菜子ちゃんはたくましくておもしろいイチゴ大福が大好きなドラマーだ。希菜子ちゃんの前でイチゴ大福を食べていたら怒られた。なぜか、きなこもちだと怒られないのに! ライブの時の演奏はクジラがジャンプして大きな波しぶきがあがるみたいな力強いドラムだ!


キーボードの瑠々(るるか)

瑠々華ちゃんはリボンがトレードマーク。心を込めた繊細な演奏が涙を誘うキーボード担当! イルカが大好きでイルカのぬいぐるみを集めているらしい! クレーンゲームで獲れたイルカのぬいぐるみ、あげようかな?


そんな愉快な仲間たちのバンドである!!



一曲目は『小鳥のさえずり』。


希菜子ちゃんの合図から始まった。スピード感のあるロックチューンで恋人の言葉を鳥のさえずりに喩えている歌だ! 陽呼子ちゃんが作詞作曲! バンドメンバーの息があった演奏で会場は大盛り上がり! いつも笑い合っている仲間がこんな天才だったなんて! 感激だ!



オレが注目した歌はこれだ!


『藁人形と釘』


陽呼子ちゃんがつくった歌の中でも怖い雰囲気の歌!


歌詞はこんな感じだ。



「私の心を嘲笑う どれだけ苦しんだと思う?

あなたの心は藁人形 笑う顔に釘を刺す」



初めて聞いたとき、びっくりした。怖い感じのメロディーにのせて、いつも話している陽呼子ちゃんとは違う感じの皮肉を込めた声で叫ぶように歌う呪いの歌である! この歌を歌う時は空気が変わる。言葉では表せないような空気になるのだ。


その空気こそ、このバンドのメッセージ性だと思う。陽呼子ちゃんの中にある暴れる巨大な鮫のような心をバンドメンバーとの力で音楽にして、会場にいる魚たちを飲み込んでいるんだ! 飲み込まれたオレらはその音楽の世界から離れることはできない!



その他にもストーリー性がある『歩道橋の星』、新曲の夏っぽい歌『夏のサンダル』などが披露された。


陽呼子ちゃんは夢について話し、佳夏ちゃんは楽しそうに会場のファンに手拍子を煽る。希菜子ちゃんは会場全体を振動させるようなリズムを奏でて、瑠々華ちゃんはまるで歌っているようにキーボードを奏でる。


4人の息が揃った演奏はまるで海流のようで、オレの心の海流と激しくぶつかった。その海流と海流がぶつかるところでは感動という名のプランクトンが育ち、希望や幸福感、応援したい気持ち、負けたくない気持ちなどのいろんな感情の魚を集めた。その魚たちが成長しオレの人生の大海を泳いでいく。そしてオレの未来を変えるかもしれないとまで思わせた! そんな演奏だった!



そうしてライブは終了した。みんな、素晴らしかった!オレは満足した。会場の魚たちは耳に残った音楽の波に乗ってそれぞれの海へ帰っていた。オレも会場を出た。空には月がポテトチップスのようにおいしそうに輝いていた。


ありがとう。

最高にロックだったぜ!




後日―


オレはとある場所を訪ねた。それは先日、ライブをしていたバンドの『YOUR-WINGS!』のメンバーが練習を行うスタジオだ。そこにはメンバーがいる。今日は特別な許可を得て、インタビューに来たというわけだ!


(サメサメインタビュー)


オレ:こんにちは~! 『YOUR-WINGS! 』の皆さん、あの日のライブの裏側を取材に来たよ~。よろしく~。


佳夏:

サメくん、こんにちは!


陽呼子:

こんにちは!


希菜子:

こんちゃ!


瑠々華:

こんにちは・・。


オレ:

では、さっそく質問にうつるぞ。えっと。あの日のライブの前に食べたものは?


希菜子:

は~。それが最初の質問? 食べ物かい! 他に聞くことはなかったんかい! 別にいいけどね。そうね~。あの日は・・。そうだ! フルーツサンドを食べた。共演者のキャラメールちゃんが差し入れしてくれたから! 三番町の商店街のケーキ屋さんで売っているやつ。あれはおいしかったなぁ! また食べたい!


オレ:

へぇ~。フルーツサンドか~! それはおいしそうだね~! オレも食べてぇ~。


希菜子:

うん、あれはサメも一度食べた方がいいよ。


オレ:

今度、買うよ~!


オレ:

それじゃ~、次の質問! あの日のライブのテーマは?


陽呼子:

テーマね・・。そうね~。『藁人形と釘』っていう少し過激?な歌があるんだけど、それを取り囲むようにアッパーチューンと物語っぽい歌を並べました! 夏っぽい新曲もできたので比較的、いつもより明るく楽しい感じにしたいと思いました!


オレ:

なるほど! それは会場でもばちばちと感じたよ! 『藁人形と釘』の鋭い牙をむき出しのサメのようなスリリングさ。新曲『夏のサンダル』の南国の色鮮やかな熱帯魚みたいな感じ。その他の歌の物語が合わさって海で繰り広げられるひと夏の映画のようなライブだったよ~。


佳夏:

お~~。サメくん、ありがとう! なんか、おもしろい解釈! 嬉しい~。


オレ:

そうでしょ! そうでしょ!


陽呼子:

確かに! ふふふ。


オレ:

では、次の質問にうつるぜ。4人での演奏で心がけていることは?


希菜子:

そうね、お互いの方向性を合わせるタイミングをつくることかな? 同じ曲でもライブによってどういう風に見せたいか、メンバー内で違っていることがある。でも、バンドとして同じ方向性にしたい。そのため、事前の話し合いだけでなく、ライブの現場でお互いを見て方向性を合わせるタイミングをつくっている。ほとんど、自然にできるんだけどね。私は結構、陽呼子ちゃんの表情を見ている。


オレ:

おう! それはすごいな! これぞ、以心伝心。イルカの超音波みたいだ!


瑠々華:

イルカたちは・・音で・・つながっているの・・。


オレ:

へぇ~! イルカは音でつながっているのか~! イルカは海の中で音楽をしているってことだな! つまり、瑠々華ちゃんもほぼイルカってことだな!


瑠々華:

うん・・。サメくん・・。いい表現・・。


オレ:

次の質問にうつるぜ! あの日、対バンしたバンドについて教えて!


陽呼子:

はい! 私が答えるね。『サウナ・サウンド』さんの音楽は情景が浮かんできてすごいなぁ~って思いました。会場が『サウナ・サウンド』さんの世界に完全になっていて・・、負けられないな! って思ったかな~。『キャラメール』ちゃんはかわいかった。『キャラメール』ちゃんとは、結構話したことがあるんだけど素敵な人なんだよね~。音楽もポップで踊りたくなるような音楽なの。また一緒にライブしたいなぁ。


希菜子:

そ・れ・で。問題があの『チャラカレ』。ライブはかっこよくて、すごいなぁって思ったんだけど。あのバンドのメンバーがライブ終わりに、こそこそとうちの佳夏を口説いていたの! 遊びに行こうって! 信じられない! うちらは音楽をしに来たのに。夜の遊びの誘いをするなんて! めっちゃ、誘っていた! それも私じゃなくて佳夏ちゃんに!


陽呼子:

それでね。佳夏ちゃんは優しくて断るのが苦手だから。すごく困っていた。だから、なんとしても私たちで佳夏ちゃんを守ろうとしたの!


佳夏:

あの時はありがとう~。本当。いや、別に悪い人たちじゃないと思うんだけどね・・。ちょっとね・・。


希菜子:

たぶん、あいつ彼女いるし。


鮫郎:

そうかぁ~。佳夏ちゃんが無事でよかったよ~。頼りになるバンドメンバーだ! でも、向こうのバンドもさすがだな~! 『チャラカレ』。「チャラい彼氏」って意味らしいけど。そう考えると説得力がある。ちょっと気にもなるな~。若い女性にファンが結構いるみたいだし、モテる彼らには彼らなりの良さがあるんだろうな。でも、佳夏ちゃんを口説くのは失敗したんだね! オレもちょっとモテたくなってきたな~。かっこいいサメになりたいぜ!


佳夏:

サメくんはサメくんのままでいた方がいいよ~。ポテトチップスを食べて、クレーンゲームしている姿がサメくんらしくてかっこいいよ~。


オレ:

そうなの~! 今のままでもいいのか! 佳夏ちゃん! ありがとう! 自信が出てきたぜ!! よっしゃー! これからもポテトチップスを食べ続けて、クレーンゲームをし続けるよ~!


希菜子:

お~い。サメ、サメ、お前は何を言っているんだ~。なんか間違ってないか~。


オレ:

おうっ! ちょっと、ここらで取材はお開きにしようかな・・。(希菜子ちゃんが怖いよ~。) じゃ~みんな、ありがとうね~~。


メンバー全員:

ふふふ。ありがとう!



こうして、オレはバンド『YOUR-WINGS!』への取材を終えた。今後、また宿敵のバンドである『チャラカレ』との対バンが楽しみである。




ここまで記事を読んでくれて本当にありがとう!


こうして筆を手にしたオレはもう片方の手でポテトチップスを食べている。油で文字が滲む。ポテトチップスはおいしいが、これ以上汚れるとまずい。親友の流湾るわんに怒られるのだ。ということで、これでおしまいにする。



皆さんが元気に過ごせますように!

最後に祈りを込めて一緒に体を動かそうぜ!



いくぞ!



サメサメスペシャルラジオ体操!!



(おわり)


読んでくださってありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ