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0-12 Last piece

「いよいよ最後のカケラだな……木村健太」


ん……。

目が覚める。

するとそこは、いつもの通りのカケラの世界だった。

もっとも、カケラというカケラは、もうほとんどないに等しい。

後二つ……内、人の姿が写っているのは一つのみ。

つまり、多分これで最後のカケラ。


「よくぞここまで頑張ってくれた……じゃがあともう一息じゃ。最後まで気を緩めることなく頑張って欲しい」


―――マリアさんは、この世界のカケラがすべてなくなったとき、どうなっちゃうの?


「……恐らくは、我はこの世界と共に消滅する運命にあるのだろう」


―――え!?


驚いた。

僕はただひたすら、驚いた。

マリアさんが消えてしまうなんて……そんなのって、ありなの?


「我はもとより人間ではないからのう。消えてしまうのも必然じゃ」


―――寂しくは、ないんですか?


「む?」


―――僕以外の人とまともに会話できないまま消えてしまうのって、寂しくないんですか?


僕は、マリアさんにそう尋ねる。

すると、マリアさんはほとんど考える間もなく。


「……うむ。特に未練という未練はない。何故なら、そなたと会話できるだけでも楽しかったからじゃ、健太」


―――え?


何だろう、この気持ちは。

……何と表現したらいいのか、僕にも分からない。


「とにかく、最後のカケラを手にとるのだ。そして、その者の願いを叶えるがよい」


―――その前に、一つだけ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?


「む?なんだ?」


―――最後のカケラ……何も写ってないカケラが一つあるけど、あれは何か分かったの?


未だに誰の姿も写っていないカケラが一つだけ存在していた。

そのカケラが持っている意味を、僕はまだ解明できていなかったのだ。


「うむ。あのカケラは……そなたが元の世界に戻る為に使うものだ」


―――僕が元の世界に戻る時に使うもの?


「そうだ。あれは今までの世界のカケラが合わさって出来たもの……所謂、この世界からの出口という奴だ。叶えられた願いのカケラが集結し、出口を作っていたのだよ。そして、最後の世界のカケラが消え去った時、そのカケラが出来上がるのだよ」


―――なる程……。


そういうことだったのか。

それなら、僕はなおさらこの世界に立ち寄らなければならない。

かなえさんの、願いが込められたカケラの世界に……。


「では、最後のカケラ旅行に行ってくると良い」


―――うん。行ってきます。


僕はマリアさんに一言そう告げると、そのままカケラの世界の中に、意識を滑り込ませたのだった。













いよいよ最終章です。

残りあとわずかとなりましたが、どうか最後まで応援よろしくお願いいたします。

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