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11-2 迷いの迷宮 その2

そして次の日。

昨日は結局、一日中真鍋先輩の変化について考えていた。

でも、分からなかった。

僕の頭の中で考えるには、要素が少なすぎたのだ。


「……」


何の考えも思い浮かばないまま、放課後がやってきてしまい。

僕は生徒会室の扉の前まで歩いて来ていた。


「あ……」


何でだろう。

ただ扉を開くだけなのに。

何だかいつもとは違うようなプレッシャーが、僕にのしかかってくるのは。

そう……まるで初めて生徒会にやってきた時と同じような、そんなプレッシャーだった。


「うう……」


呼吸が乱れるのを感じる。

いつもより緊張している為なのか、自分が考えていることの整理をすることが出来ずにいた。


「……よし」


呼吸を整えて、僕は扉を開ける。

せめて真鍋先輩がここにまだ来ていないことを祈りながら。


「……あ」

「……えっと、こんにちは、真鍋先輩」


いた。

真鍋先輩は目の前にいた。

今来たばかりなのか、カバンを持ったままだった。


「……」


真鍋先輩は、顔を赤くして僕の顔から目を逸らす。

……まただ。

また僕は、目を逸らされた。

一体、なんで真鍋先輩は僕に目を合わせようとしないのか。

僕が真鍋先輩の気に障るような発言をしたのだろうか。

けれど……思い当たる節などなかった。

特別真鍋先輩に何かをしてしまったとかはないはず。

なら……一体何が原因だと言うのだろう。

例えば……何の前触れもなく、僕は真鍋先輩に嫌われたとか?


「……あの、真鍋先輩」

「……何よ?」


若干緊張した感じで、僕は真鍋先輩に尋ねる。

答えてはくれると言うことは、少なくとも僕は嫌われているわけではないということなのだろうか。

だとしたら……余計に分からない。

真鍋先輩がこんな態度をとる理由がこんな態度をとる理由が、僕にはさっぱり分からない。


「あの……失礼でないのなら聞いてもいいでしょうか?」

「な、何よ……早く言いなさい」


少々きつめながらも、どうやら取り計らってはくれるみたいだ。

なら、思い切ってそのまま尋ねてしまおう。


「あの……ここ最近、真鍋先輩は僕のことを避けていませんか?」

「!!」


明らかなる動揺の素振り。

……何も思っていないのなら、そんな行動を見せることはないはずだ。

と言うことは……やっぱり真鍋先輩は、僕に対して何らかのことを隠している。

多分、そうなんだと思う。


「……別に、そこまで避けてないわよ」

「嘘は言わないでください……さっきだって、僕のことを見たら目線を逸らしたじゃないですか」

「そ、それは……」


明らかに何かを隠している。

真鍋先輩の様子が、いつもよりもおかしいことから、そのことが存外容易に理解することが出来た。


「……なにかあったんですか、真鍋先輩。僕に対して、何を隠しているんですか?」


僕は真鍋先輩にそう尋ねる。

しかし真鍋先輩は、


「……別に何も隠していないわよ」


そう否定するだけだった。

僕は更に追及した……すると真鍋先輩は、


「何も隠していないって言ってるでしょ!!」

「!?」


……静寂の時間が訪れる。

まさか真鍋先輩が、ここまで怒るとは想像もしていなかったからだ。

……結局、会長がこの部屋に入ってくるまで、僕と真鍋先輩は、会話をすることはなかった。

部屋の中は、無意味な静寂感に襲われていた。
















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