1-7 ~if~あの時告白が出来ていたとしたら その7
お昼ご飯は、雰囲気がいい感じのレストランに入って食べた。
お金の方はと言うと……入る前に、
「あ、お金は割り勘でどう?」
「え?僕が払うよ……」
「さっき洋服を買ってもらっちゃったから。これくらいはさせてよ」
と言う愛の言葉によって、割り勘となった。
「それにしても……いい雰囲気のお店だね」
「まだ早いのもあって、店内も静かだし……」
この店の開店時間は十二時と、少し遅めとなっていた。
なので、お昼の時間になってから来た僕達でも、結構余裕を持ってここに入ることが出来たのだった。
「えっと……どれにしようかな」
「う~ん……」
僕と愛は、結構迷っていた。
外に品物のレプリカが置かれていたが、あまりそれを見なかったのもある。
「じゃあ……私はこれにしようかな」
そう言いながら愛が指差したのは、様々な野菜が入ったカルボナーラ。
僕は……そうだな。
「これにしてみよう」
そう言いながら僕が決めたのは、ミートソースが掛かったような、海老ドリアだ。
「じゃあ……お店の人を呼ぼっか?」
「だね」
僕達の食べるものが決まった所で、僕はチャイムを鳴らして、店員を呼んだ。
注文を伝えると、店員は奥へと消えていった。
「……今日はありがとね。デートに誘ってくれたのと、服を買ってくれたこと」
「……デートも僕が行きたかっただけだし、服も僕が買いたいと思ったから、お礼を言われる程じゃ……」
「それでもいいの」
僕の発言を遮り、愛は言う。
更に愛は言葉を繋げた。
「私、今日こうして健太と一緒にデート出来たことが、とっても嬉しいの。それに、健太に選んでもらった服まで買ってもらっちゃって……」
「愛……」
「私はね、健太とこうして恋人同士になれて、本当によかったって思ってるんだ。なんだか、この時間が貴重なもののように感じてるし……」
愛が、何やら心に響く言葉を言ってくる。
……なんだろう、まただ。
また、あの違和感が、僕の頭の中を過って……。
「どうしたの?健太」
「……何でもないよ」
あまり大したことでもないので、僕は愛にそう言葉を返す。
愛も何か言葉を発しようとするが、その前に、
「お待たせしました。ミートソースドリアと、野菜たっぷりカルボナーラです」
コトッと、テーブルの上に僕らが注文した食事が運ばれてくる。
つまりは、この話は一旦ここで終わりとなることを意味していた。
「それでは、ごゆっくりどうぞ」
最後に店員がそう言葉を付け足して、奥に戻っていったのを確認すると、
「……それじゃあ、食べよっか?」
僕は愛に、そう提案をする。
すると愛は、
「……そうだね。折角の料理が冷めちゃう前に、食べちゃわないと」
「……だね」
愛がそう言ってきたので、僕はそう言葉を返す。
そして、料理を前にして、僕達は両手を合わせて、
「それじゃあ……」
愛がそう言った後に、
「「頂きます!!」」
お決まりの言葉を言ってから、僕達は昼食を食べ始めた。




