表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/106

7-1 貴方にささげるLove song その1

伝えたい。

いや、ボクはこの想いを伝えているはずだ。

けど、あの人にはボクの想いが届かない。

鈍感なあの人には、ボクの想いが伝わりにくいのだ。

どうすればボクは、あの人にボクの想いを伝えることが出来るのだろう?

どうすれば……どうすれば……。












第七のカケラ 貴方にささげるLove song












ボクの名前は雛森マコ。

数年前に売り出したばかりの、新人歌手だ。

けれど、今では安定した人気を得ている……らしい。

詳しくはよく分からないけど。

けどボクは、売れているとか売れていないとか、そんなことは関係ないと思っている。

楽しく歌い、ボクのファンでいてくれる人達に歌を歌う。

それだけで、十分ボクは幸せなんだから。

歌手というのは、売上を気にするものではないと思うんだ……給料が入らないと生活できないのも事実だけど。

そんなボクには、ある一つの悩みがあった。

それは……。


「自分の想いを伝えているはずなのに、伝わらない、か」

「……はい」


マネージャーである水島来栖さんに、ボクは相談をした。

それは、ボクが健太君に想いを伝えているはずなのに、なかなか伝わらないことだ。

……もう何年も前から、ボクはこの想いを胸に秘めている。

歌手になったのも、歌手になって有名になれば、健太君に会えるかもしれないという期待が、最大のきっかけだったから。

もちろん、ボクだって歌手になりたいって夢を小さい時から持っていた。

あの日、沖縄の海で健太君と『約束』を交わした時は、心から歌手になりたいって思ってたからだ。

けど、ボクが沖縄から帰ろうとした時に……飛行機の墜落事故にあった。

ボクは、お父さんとお母さんに守られて何とか命を救われたけど、代わりにボクは、大切な存在をなくしてしまった。

後悔の念よりも……悲しい想いしか残らなかったあの日。

健太君に再会できたことにより、少しは悲しみを和らげることができたのも、また事実だった。

だからボクは……健太君のことが余計に好きになってしまった。


「けど、マコちゃんの想いは、なかなかその彼には伝わらないと」

「……その通りなんです」


全部話し終えた後で、水島さんはそうまとめてくれた。

まとめてみると結構簡単なように聞こえるけど、実際はそう簡単に片付く問題ではない。


「……困ったわねぇ、といいたいところだけど……」

「何か方法があるんですか?」


何かを思いついたような表情をして、ボクのことを見る水島さん。

……けど、一体何を思いついたのだろうか?



「マコちゃん、歌詞を書いたことはある?」

「え?す、少しだけなら……」

「作曲は?」

「出来ないことはないですけど……」


一体何を思いついたのだろう?

ボクはこの時点では、水島さんが何を言っているのか分からなかった。

……けれど、次の水島さんの言葉で、ボクは完全に分かったのだった。


「マコちゃんが、次の新曲を作成すればいいのよ。その男の子の為にも」


ボクは多分、人生の中で二番目の驚きの声をあげたと思う。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ