表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/106

1-4 ~if~あの時告白が出来ていたとしたら その4

日曜日。

ついにこの日が来てしまった。

今日がなんの日かと問われると、愛と久しぶりに会う日だ。

最後に会った日からもう一ヶ月が経とうとしていた今日この頃。

互いに忙しくて、そんな時間をとる暇がなかったと言われると……言い訳に聞こえるが、それが実は本当の話なのである。


「……」


現在時刻は十時三十分前。

待ち合わせ場所と時刻は、ここ駅前に十時ジャストとのこと。

つまり僕は早くこの場所に来てしまったと言うことである。

ただ、駅前と言うと少し範囲が広すぎるので、誰の銅像かは知らないが、そこを待ち合わせ場所としている。


「早く来すぎたかな」


僕は一言、そう言葉を洩らす。

ああ……早くここに来ないかな、愛。

期待の念が込み上げてくる。

……けど、やはり訪れる違和感。

昨日からどうも調子がおかしい。

なんというか……僕の居場所がここではないような……そんな違和感。


「あっ!」


その時。

遠くの方からそんな声が聞こえてきた。

紛れもなく、僕が耳にしたことのある声が聞こえた。

……この声の主こそ、僕が今まで待っていた人の声。

胸に、心に響く声。


「……愛!」


ツインテールの髪を揺らし、明るい笑顔でこちらに近づいてくる。

その笑顔にぴったりな、白いワンピースを着ていて、化粧はどうやらあまりしていないようだ。

とにかく……愛しい人が来たことにより、僕の気分は最高潮になっていた。


「ごめんね……待った?」

「いやいや、僕が早く来すぎただけだから。まだ集合時間になってないし」


現在時刻は九時四十分。

約束の時間より二十分は早い時刻だった。


「いち早く愛に会いたくて、早くに来すぎちゃったよ」

「健太……その笑顔でその言葉は卑怯だよ」


顔を赤くして、愛は何やら呟いている様子であった。

……やっぱり愛は可愛いな、うん。


「それにしても、今日は誘ってくれてありがとう、健太」

「ううん。愛こそ、僕のワガママに付き合ってくれてありがとね」

「ワガママなんかじゃないよ!私も、健太にメールを送ろうと思ってたし……」

「……え?」


これは驚いた。

愛も同じことを考えていたとは。

それじゃあ……。


「こういうことまで考えが重なるなんて」

「私達……」

「「お似合いだね!!」」


自分で言うのもなんだか少し照れるけど。

けど僕達は、自然にそんなことを考えていた。

……けど、僕達のこの関係は、オリエンテーション旅行の時に愛が勇気を持って僕に告白してくれたから始まった関係だ。

あの時もし愛が告白していなかったら……僕達の関係はどうなっていたのだろうか。


「健太、どうかしたの?」

「……え?あ、いや、何でもないよ」


思考の世界に入っていたから、愛が僕を呼んでいることに気づいていなかった。

危ない危ない……このまま無駄に時間を過ごしてしまう所だった。


「それじゃあ……そろそろ行こうよ♪」

「だね……」


この場にずっといるのもあれだし。

僕達はとりあえず歩きだすことにした。


「……健太」

「何?」

「その……手、繋がないの?」

「手?……うん、繋ごう」



(パシッ)



愛に言われて手を繋ぐ。

すると、僕達の顔が自然と赤くなっていた。


「……行こうか」

「うん」


僕達は手を繋いだまま、歩き出した。















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ