表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/106

4-1 彼女の選択 その1

私は、選択を迫られていました。

月宮家に帰るか、木村家に残るか。

……どっちにしても、あるのは別れ。

私はどっちにするべきかに散々悩み。

その結果、私は……月宮家に戻ることにした。















第四のカケラ 彼女の選択















「……」


朝起きた僕は、いつもの朝とは違うことを感じた。

まず……僕以外の人の気配がない。

いつもなら、絶対に美咲がいるので、そんなことはないからだ。

次に、荷物がない。

美咲と一緒に暮らしている以上、美咲の荷物があるはずだからだ。

あるはずの荷物がなくて、僕以外の人の気配が感じられない。

つまり……美咲はこの家にいないということだ。


「……ああ、ここまで寂しいものだったとはな」


美咲はあの日、月宮家に行くという選択肢を選らんだ。

だから、この家にはもう、『木村美咲』は存在しない。

次に会う時には、『月宮美咲』として僕の目の前に現れることとなる。

……なんだか、少し変な気分だ。


「……ご飯食べるか」


今日は軽めにしよう。

パンをトースターの中に入れ、コップの中に牛乳を入れる。

いつもなら目玉焼きも作る所だけど、今日はいっか。


「……頂きます」


なんかやっぱり、静かだ。

美咲がいた時は、いつも何かしらの会話をしながら、朝食を食べてたものな。

……けれど、これは四月までの僕の暮らしだった。

結局は、元の状態に戻っただけじゃないか。


「それでも……どうしてだろう」


美咲が選んだ道だから、僕はそれを甘んじて受け入れるはずだった。

なのに、今の僕はそれを受け入れることが出来ないでいる。

素直に、その事実を受け入れきれていない自分がいる。


「……」


僕は、美咲のことが好きだった。

もちろん……兄妹としての話だけど。

義理の兄妹ながら、僕と美咲は本当の家族同然の暮らしをしていたからだ。

まぁ……美咲のブラコンぶりにもちょっと困った節もあったけど。

それでも、嫌ではなかった。

けれど……やっぱり家族は本当の家族でなければならないものだと僕は思ってる。

最初僕は、美咲の父親が現れた時に、なんて無責任な父親なんだって考えた。

けど、よくよく考えてみれば……美咲の父親も、いろんな決意をしてここまで来たんだろうなと考えた。

もしそのまま逃げているだけならば、恐らくここまで来なかっただろうし。


「……」


前に進んでいないのは、僕の方なのだろうか?

美咲は、自分で月宮家に帰ることを決意したのだ。

それを喜ばないで……『兄』としてどうするのだ?

せめて『木村美咲の兄』としての最後の役目を果たさなくてはならないのではないか?

そして、決別した後に、『月宮美咲』と対面しなくてはならない。

そう……これは僕に与えられた、ある意味で重大な仕事なのだ。


「だから僕は、今度美咲に会いに行こうと思う……けど、家がどこなのかが分からないんだよなぁ」


あいにく僕は、美咲の新しい住所を知らないので、こちらから出向くことは難しい。

……街とかで偶然会えればいいんだけどな。


「おっと。早く行かないと学校に遅れちゃう」


いつの間にか時間は結構経っていて、早く家を出ないと学校に間に合わなくなるという所まで来ていた。

なので、慌ててパンを食べ切り、牛乳を流し込む。

そして、皿とコップを軽く洗った後に、カバンを持って、僕は学校に向かった。
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ