1-2 ~if~あの時告白が出来ていたとしたら その2
僕はいつものように、『1-B』の教室へ向かう。
……『1-B』?
なんか少し違和感を感じるけど……ま、いっか。
「おはよう」
「ああおはよう、健太」
学校に着くと、すでに吉行と大貴の二人がいた。
何やら二人で話をしている様子だった。
「何の話をしてたの?」
「いやな、コイツと俺で、今後のお前達の進展がどうなるかを考えてたんだよ」
「……は?」
僕達の進展?
僕はともかくとして……他に誰が?
「お前と愛のことだよ」
「ど、どうして愛のことが今話題に上るのさ?」
「いや、だってお前ら……付き合ってるんだろ?」
……あれ?
僕、この二人にそんなこと言ったっけ?
「ああ。だいぶ前に……てか、随分前に愛本人から聞いた」
……愛ったら、そんなことをいつの間に。
……って、あれ?
なんか少しそのことに違和感を感じるような……ま、いっか。
「お前ら、結ばれてから数カ月も経ってるってのに、進展が全然ないじゃないか。デートも行かない、二人きりで会ったりもしない」
「そりゃあ……僕も愛も、部活とかで忙しいし……」
「愛の力さえあれば、部活だってさぼれるはずだ!!」
いや、その理論は無茶苦茶すぎるから、吉行。
「それじゃあ僕が、部活をやめさせられちゃうよ」
「なおさらいいじゃないか!二人きりになるチャンスが増えるぞ!!」
「だな。いっそのことやめてくればいいんじゃないか?」
「さり気に二人ともひどいこと言ってない!?」
「ハハハハハ!冗談だよ……多分」
「多分!?」
なんかいつにもまして、疲れる……。
「思い切って、今度の日曜日にデートの誘いでもすればいいんじゃないか?」
「え?」
いきなり大貴がそんな提案をしてくる。
……いきなりそんなこと言われても、僕としてはどうするべきか困るだけだ。
「電話番号とメルアドくらい持ってるんだろ?」
「電話が恥ずかしいのならメールでデートに誘えばいいだろ」
う、う~ん……。
確かにそうすればいいと思うけど。
「……なら、後でそうしてみるよ」
「出来れば昼休みとかにして欲しいな。んで、どうだったかの結果報告をよろしく」
吉行、最早半分面白がってるだろ。
そう思いながらも、僕はその言葉を心の中に閉じ込めた。
「にしても、健太も罪作りな男だよな」
「だな。彼女がいるというのに、何人もの女子を落としているんだもんな」
「え?何の話?」
二人が何を言っているのかがよく分からない。
僕は別に、他の女の子を落としたつもりはないけど。
「自覚がないのは自分だけ、ね。さすがは天然女殺しと言ったところかしら?」
「その声は……美奈さん?」
背後から聞こえてきたこの声。
まさしく美奈さんのものだろうと思い後ろを振り向くと、予想通り、美奈さんがいた。
隣には、かなえさんもいた。
「おはよう、かなえさん、美奈さん」
「ええ、おはよう」
「おはよう、健太君」
相変わらずの笑顔でかなえさんは答えてくれる。
こんな感じで、今日の1―Bでの生活が始まった。
ちなみにあの後愛にメールを入れてみたら、速攻でOKの返事がきた。
なので、日曜日は愛と久々のデートをすることとなった。
今回の愛の話では、健太と愛はすでに結ばれている設定となっております。
何故そういう設定になっているかと言うと……。