3-8 初恋は実らない……では二回目の恋は? その8
放送で呼び出されて、私は職員室に来ました。
けれど、私には呼び出された理由がさっぱり分かりませんでした。
どうして私は呼び出されたのでしょうか。
「あ、二ノ宮か?こっちこっち!」
「外川先生?」
すると、外川先生が私のことを呼んでいるみたいでした。
その声のする方へ、私は歩いて行きます。
「あの……外川先生、どうして私は呼び出されたのでしょう?」
「その話なんだがな……」
私は呼び出されるようなことをした覚えはありません。
ですから、他に私のことを呼び出した理由があるのでしょう。
部活のこととか、委員会のこととか……。
「実は、『二ノ宮夏美に会わせて欲しい』って人がいてな……」
「私に……ですか?」
「ああ、そうだ」
私に会いたがっている人、ですか……。
その人は、一体どういう人なのでしょう……?
「見たところ部活関係者ではなさそうだしな。この学校のOBってわけじゃないから、どうしようか考えてるんだが……二ノ宮、お前はその人に会ってみたいか?」
「……」
どうしましょう……。
けど、何となく私は、その人に会わないと後悔するような、そんな気がしました。
だから、私は……。
「……はい。是非お会いしたいです」
折角私に会いに来てくれたのに、そのまま帰してしまうなんて私には出来ません。
だから私は、その人に会うことにしました。
「……そうか。なら、今その人を呼んでくるから、少しそこに座って待っていてくれ」
先生は私にそういうと、何処かに行ってしまいました。
私は、その人が来るまで、外川先生に言われた通り、椅子に座って待つことにしました。
私に会いたい人、ですか……。
本当に、一体誰なんでしょうか?
「お待たせ!連れて来たぞ」
外川先生の声が聞こえてきたので、私はその方向を向きました。
すると、外川先生の隣に、背の高い男の人が立っていました。
……私は、その男の人に見覚えがありました。
「先生……もしかして……この人は」
「紹介しとくよ。先週アメリカから一回日本に帰国したっていう……」
「広瀬光、だ……久しぶりだね、二ノ宮さん」
「ひ、広瀬先輩……」
私の目の前に立っているのは、広瀬先輩で間違いなかった。
「おい木村。あの男、誰だよ」
「さ、さぁ……僕も見覚えないよ」
僕と大貴は、職員室の扉から、中の様子を窺っていた。
なんというか……絶対怪しいよね、僕達。
「一体誰なんだよ、アイツ……」
「……」
尚も大貴は、二ノ宮さんの前に立っている男の人に疑問を持っていた。
僕も少し気になったけど……同時に僕達は、とあることに気付いた。
多分あの人が、二ノ宮さんが会いたいって強く『願って』いた、広瀬光って人なのだろう。
「……このままここで張り込む。木村もいるか?」
「……うん」
二ノ宮さんのことが気になるし。
僕も大貴と一緒に職員室の扉の前で張り込みを続けることにした。




