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12-7 After days その7

露天風呂での一件の後、部屋に戻ってきても僕達はしばらくの間は無言だった。

何と言うか……たまにかなえさんと顔を合わせると、さっきの出来事が思い出されて顔が赤くなってくるんだよなぁ。

それにしても……かなえさんのスタイルって、やっぱりいい……。

って、何を考えてるんだ僕は!?

これじゃあまるで変態じゃないか!


「ど、どうしたの?健太君……いきなり頭を抱えたりなんかして」

「……いや、ごめん。何でもないよ」


今の僕達は、旅館によって支給された浴衣を着ている。

つまり僕は……かなえさんの浴衣姿を眺めているということだ。

浴衣姿のかなえさんも、やっぱり綺麗なんだよね……。


「本当に、綺麗だね……」

「え?……ふぇ!?」


ボン!と音を立てて顔を真っ赤にさせるかなえさん。

……しまった、心の中の言葉が口に出てしまったようだ。


「健太君……それは卑怯だよ」

「ご、ごめん……」

「ううん、謝ることじゃないよ。だって私のこと、褒めてくれたんだもんね」


笑顔でかなえさんがそう言う。

……やばい、その笑顔は反則だよ、かなえさん。


「それにしても、今日はいろいろあったよね」

「そうだねぇ……まさか旅館に来てもこんなことが起きるとは思ってなかったよ」

「アハハ……そうだね。ひょっとしたら僕達には、静かな旅行というのは似合わないのかもしれないね」

「そうかもしれないね……こんな感じの旅行の方が、私達にとってはちょうどいいのかもね」

「……二人きりもいいけど、やっぱりみんなで行くのもいいのかなぁ」

「……けど、私としては二人きりの方がいいかな」

「どうして?」

「だって……健太君にいっぱい甘えることが出来るから」

「……うん、僕も二人きりの方が……いや、二人きりは二人きりでいいかもしれないね」


みんなで行くなら、大騒ぎが出来てとても楽しい旅行になるだろう。

けど、二人きりだと……思い切り相手に甘えることが出来る。

そう言う意味では、今回はかなえさんと二人だけでこの旅行に来て本当によかったと思ってる。

だって……かなえさんの一面を、いっぱい知ることが出来たのだから。


「それにしても、もうこんな時間なんだね……そろそろ寝る時間だね」


気づけばもう時間は11時。

いつもの僕ならば……もうすぐ寝る時間だ。


「ありがとうね、健太君」

「ん?何が?」

「……二人で旅行に行こうって言ってくれて」

「い、いや、お礼を言われるようなことでもないよ……僕もかなえさんと一緒に旅行に行きたかっただけなんだから」

「それでも、いいの。私にとってはかなり嬉しいことだったから」


そう。

この旅行は僕が提案したものだ。

理由は……かなえさんと二人で行きたかったから。

なんとも単純な理由かつ、自己中心的な理由なのかと思った。

それでも、かなえさんにとってはとても嬉しいことだったらしい。

なんだかそれだけで……僕は救われた気分だ。


「楽しかったよ、健太君……そして、ありがとう」


そう言いながら、かなえさんは。












(チュッ)












僕の唇に、優しくキスをしてきた。


「「///」」


互いに顔を赤くする。

そんな顔を隠すように、


「きょ、今日はもう寝ようか?」

「そ、そうだね……」


僕達はそれぞれの布団の中に入る。

そして、


「おやすみなさい、健太君」

「うん、おやすみ、かなえさん」












そしてそのまま、僕の意識は、この世界から遠のいて行ったのだった。













次回、本編最終話となります。

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