12-3 After days その3
「「ハァハァ……」」
全力で走ったおかげで、僕らは息が荒いでいた。
けど、何とかあの謎の外国人を追い払うことには成功した。
「け、健太君……」
「何?かなえさん」
「もうそろそろいい時間だと思うんだ。旅館に行ってみない?」
「……だね」
かなえさんの提案により、僕達はちょっと早いかもしれないけど、旅館に向かうことにした。
確か僕達が泊まる予定の旅館は、ここからだと数分の距離だったと思う。
「何だか……楽しみだよね。どんな旅館なのか」
「そうだね」
僕はかなえさんにそう尋ねてみると、かなえさんは笑顔でそう答えてくれた。
……実を言うと、僕はかなえさんと一緒ならどこでも楽しくなるだろうなと考えていた。
これが好きって気持ちなのかな……恋人同士になった今でも、それだけはどうしても分からないでいた。
「どうしたの?健太君。ボーっとしちゃって」
「な、なんでもないよ、かなえさん!」
考え事をしていたせいか、いつの間にか目の前にかなえさんの顔が迫って来ているのにも関わらず、僕は気付かないでいた。
慌てて顔を引いてみれば……かなえさんは少し残念そうな表情を浮かべていた。
「……さて、旅館に行ってみようか!」
「……せっかくキスしようと思ったのに」
「……ん?何か言った?」
「う、ううん!何でもないよ!」
顔を赤くして、かなえさんは否定の言葉を述べる。
どうしたんだろう……まぁ、こういう場合は無理に追及しない方がいいっていうことは分かってるし、敢えて深くは突っ込まないでおこう。
そんな感じで、僕達は旅館に向かった。
「いらっしゃいませ」
「予約していた、木村です」
「木村様ですね?少々お待ちください」
僕達は、旅館にやって来ていた。
そこに来て、まず始めに僕達は、女将さんに話しかける。
そして、予約していた旨を伝えると、女将さんは受付のところに置いてあった台帳と照らし合わせているみたいだ。
しばらくした後で、
「今確認をとれました。木村健太様と相沢かなえ様ですね?」
女将さんは見た目40代前半だと思われる。
着物を着ていて、なんというか……見たまんまの女将さんって感じがする。
「お二人はカップルですか?」
「え、えっと……」
「その……」
改めて聞かれると、なんだか恥ずかしくなってくる。
自然と顔が赤くなっていくのが感じられた。
「「は、はい……」」
そして僕達は、二人同時にそう答えた。
すると、女将さんは何やら途端に笑顔になり、
「あらあら。中のいい、息の合ってるカップルですね♪」
「「……///」」
僕達は、ただ顔を赤くすること意外に、出来ることが何もなかった。
「それではお部屋の方にご案内します。お荷物をお持ち致しますよ」
「あ、大丈夫です。軽いので自分で持てますから」
「……そうですか?なら、荷物の方は各自で持って頂くことにしまして……お部屋の方にご案内します」
僕達は女将さんに誘導してもらって、部屋にやって来た。