屋敷を買お……建てちゃう?
「わっ、喋った!」
喋るなんて思っていなかったから、そのまま言葉にしてしまう。
えー、もふもふさんダメかあ……。
といっても、私ネーミングセンスないわよ……。
んー……。
この生き物はもふもふしてるし……。
「もふりんはどう?」
「さいよう」
やったー!
やっぱりかわいい!
「さて、不動産屋に……」
「ちかくにあきちがあるから、まほうでたてればいい」
私の考えは、あっさりもふりんに否定された。
まあ、それもいいけど……。
その方が楽ね。
「土地を購入……ですね。1000万円になります」
(なぜか)土地の前に丁度いた女性が、そう言う。
さて、お金を出さなきゃ。
「サンタドンナ・マジヤ・ソットスパークシオ」
私は呪文で私だけの空間を呼び出す。
一部分だけ空間に穴が開く。私はそこに手を突っ込み――1000万円を取り出した。
女性が、目を大きく見開いた。
そうよね、この呪文は聖女にしか使えないから。
目の前に初見の聖女がいたら……驚くわよね。
「あ、はい、1000万円受け取りました。ど、どうぞ……」
そう言って、女性は足早に立ち去る。
そんなに、聖女って怖いかしら?
「さて――屋敷を建てないと」
改めて土地のほうに向いた私は、そう宣言……というか独り言を言う。
「エボカ・マジヤ・コストンチオデリパラッチ」
呪文を詠唱すると、土地が光り出す。
魔法はかかったようね。
そうね……屋敷の大きさは――大きくしようかしら?
一番大きい部屋がリビングダイニング、次に大きいのが研究室……。
研究室の三分の二くらいが私の部屋、衣装室は……いらないわね。
あとは研究室の横に薬草を育てられる畑を設置。
……内装はこんな感じね。
外装は……よくわからないけど私の好みで……。
一通り考え終わって、土地を見ると――私のイメージ通りで少しレトロな屋敷が出来ていた。
私、レトロが好きなのかしら……?
相変わらず、この魔法はすごいわね。
イメージ通りの物が出来ちゃう。
さて、内装を仕上げなきゃ。