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52『ポンプ小屋』


かの世界この世界


52『ポンプ小屋』    





 ポルシェティーガーだな……


 ポンプ小屋の残骸を取り払い、ポンプとパワーパックを露出させるとタングリスが結論付けた。屋根やら壁の焼け残りを取り除いた下には孤児院の水汲みポンプとしては大げさすぎるメカが出現した。


「ポルシェのトラ?」


 付き添ってくれているフリッグ先生がランプを差し出しながら質問する。


 トラが居るの? こわ~い! かっこいい! 食べられる~!


 子どもたちもティーガーという言葉に触発されてふざけている。本来なら就寝時間が迫って来る時間らしいのだが、作業が面白く、夕食後みんなで見学しているのである。


「試作で不採用になった戦車です。ガソリンエンジンで電気を起こして、その電気でモーターを回す仕組みです。ガスエレクトリックと言うんですが、不採用になったんでシステムが宙に浮いて、それを利用したものですね」


「複雑なんですね!」


「先生は、こういうのお好きですか?」


「わたしは分かりません、でも、こういうことに目を輝かせている子どもたちを見るのは好きです」


 確かに、子どもたちは目を輝かせている。ブリとケイトが子どもたちが近寄り過ぎないように見張ってくれている。


「もう少し調べなくちゃ分からないけど、たぶんモーターは大丈夫でエンジンがやられている」


 素人目にも、エンジンの痛みの方がひどいように見える。配線があちこちで切れて、半分くらいのプラグヘッドが折れたりへし曲がっている。


「じゃ、あっちの戦車のエンジンと交換したら生き返るかも(^▽^)」


 ロキが無邪気なことを言う。


「ダメだよ、そんなことしたら、戦車が動かなくなる」


「だったら、いっしょに暮せばいいじゃん」


「そーだそーだ(^▽^)/」


 子どもたちは無邪気だ。


「ま、今日はここまでだ。もう、みんな寝る時間だろう」


 もう少しやってもいいのだが、放っておけば、朝まででも起きていそうなので、打ち切りを宣言する。


「さあさあ、起きる時間はいつもの通りなんだから、さっさと寝なさい!」


 追い込む先生の言葉に力がこもる。就寝時間はとうに過ぎているんだろう。


 わたしたちは、空き部屋を寝室にあてがわれているが、ブリとケイトは子どもたちに本を読んでほしいとせがまれ、寝付くまで付き合うことになっている。ま、あの二人なら子供と一緒に寝てしまうのもありだろう。



「ちょっと、お話があるのですが……」



 ゲペックカステンに用具を収めていると院長先生がやってきた。


 にこやかにはされているが、どうやら真剣な話がある様子で、タングリスとわたしは居住まいをただした。




☆ 主な登場人物


―― かの世界 ――


 テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 

 ブリ(ブリュンヒルデ) 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘

 グリ(タングリス)   トール元帥の副官 タングニョーストと共にブリの世話係


―― この世界 ――


 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

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