38『ムヘンブルグ城塞都市』
RE・かの世界この世界
038『ムヘンブルグ城塞都市』
ムヘンブルグ城塞都市の正門はダムに似ている。
頂部のムヘンブルグの亀の子文字が無ければ、下から見上げた黒四ダムに間違えたかもしれない。
正門の下半分は重厚な額縁のように段々になっていて、一番奥の下方は学校の昇降口ほどの大きさで、宅配便の車が通れるほどでしかない。
ガクン ガクン ガクン ガクン ガクン ガックン
超重戦車ラーテが近づくと、二層目、三層目、四層目、五層目と広がっていき、最後に一番外側の六層目ゲートまで開いて、小学校の講堂程のラーテは微速で入っていく。入った直後から六層のゲートが閉じていき、ラーテの尻が入ると同時に全てが閉じられた。
「わたしはラーテを格納しますので、タングニョーストが鎮守府までご案内します」
タングリスに先導されてラーテを降り、中央通りに足を踏み入れる。
背後でゴーーッと音がしてラーテが沈んでいく。どうやら格納庫は地下になっているようだ。
「さ、続いてください」
「正体丸出しでいいの?」
わたしたち三人は、出発した時のままだ。これがスターウォーズかなんかだったら、そこらへんを歩いている兵士のコスを剥ぎ取って搭乗員の交代とか脱走囚人の護送とかを装うところだ。
「城塞の中はトール元帥の支配が行き届いています」
「ということは、相変わらずの頑固おやじなのか……」
ブリが肩を落とす、どうやらトール元帥は苦手なようだ。
うる憶えなんだけど、トール元帥が北欧神話に出てくるトールならば、進撃の巨人ほどの身の丈がある。対面して喋るだけで首が痛くなりそうだし、そんな巨人の気むつかしいお説教、説教されるのはブリなんだろうけど、傍で聞いていると、台風のさ中に実況中継をさせられている新人アナウンサーのようで、立っているだけで精いっぱいになるんじゃないかと心配した。
あ、ブリねえさん! ブリねえ! ひさしブリねえ! ブリブリ!
声がしたか思ったら、街のあちこちから子どもたちが出てきて、たちまちのうちにブリとわたしたちを取り囲んだ。
「オー、みんな元気か!」
元気元気! あそぼあそぼ! タングねえちゃんも! この二人は家来? ブリケンパしよ! ブリオニやろ! 新しい家来? だったらブリボールとか! ブリボールブリボール!
子どもには絶大な人気があるようだ。
「悪いな、ブリも嬉しいんだが、この者たちを連れて元帥に会わなくてはならぬのでな、遊ぶのは用事すんでからだ。さ、通してくれ」
えーーあとー!? ブリブリ! ブリー!
ブリブリ不満を言いながらも、子どもたちは道を開ける。
寄ってきた子どもたちには、握手したり、頭を撫でたり、ホッペに手をやったり、スキンシップを欠かさないブリ。
ケイトは苦手なようで、できるだけ輪の外側に出ようとするが、どうも無駄な努力なようだ。ブリに対するほどではないがもみくちゃにされる。
「ブリ、子どもたちにはブリブリ言われて平気なのな」
「子どもに悪意は無いからな」
「わたしも悪意はないぞ」
「リスペクトもないがな」
「ウ……」
「さ、ここからは本営だ。また遊んでやるから、ここまでだーー!」
本営を示すのだろうか、道に白線が引かれたところでブリが手を上げると、子どもたちはブリブリ言いながらも離れて行った。
「ここからは、この輪の中に入って離れないようにしてください」
タングニョーストは輪になった縄を出し、四人とも輪の中に収まって、まるで電車ごっこのようになって本営の中に入っていった。
☆ ステータス
HP:200 MP:100 属性:剣士 弓兵
持ち物:ポーション・5 マップ:1 金の針:2 所持金:1000ギル
装備:剣士の装備レベル1 弓兵の装備レベル1
☆ 主な登場人物
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトと変えられる
ブリ ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘
タングリス トール元帥の副官 タングニョーストと共にブリの世話係
タングニョ-スト トール元帥の副官 タングリスと共にブリの世話係
ペギー 峠の万屋
二宮冴子 二年生、不幸な事故で光子に殺される
中臣美空 三年生、セミロングの『かの世部』部長
志村時美 三年生、ポニテの『かの世部』副部長




