表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/231

33『ゆるキャン△とツインテールの戒め』

RE・かの世界この世界


033『ゆるキャン△とツインテールの戒め』  





 無辺街道の真ん中に至り、五十坪ほどの草原でキャンプを張った。



 ブリが魔法でテントを出してくれた。


「キャンピングカーがいいのにぃ」


 ケイトが口を尖らせる。


「もんく言うなあヽ(`Д´)ノ!」


「いいじゃないか『ゆるキャン△』の雰囲気で、わたしは好きだぞ」


「あ……そう言えばそんな感じ」


 ケイトは暗示に弱い。



『ゆるキャン△』の雰囲気に納得させてキャンプ飯。食べ終わると、とても『ゆるキャン△』的な境遇ではないことが夜露と共に沁みてくるので、そそくさと寝ることにする。


 少しは微睡んだが、なんせ一人用のテントに三人。体が痛くなってくる。それでも露天よりはましと膝を抱えると、テントの隙間からこぼれ入る月光が頬をくすぐって目が覚めてしまう。


 傍らではケイトが女を捨てたような姿で寝息を立てている。


「あられもない……」


 おっぴらげた脚を閉じてやり、右を下にした姿勢に変えてやる。これなら多少はましになるだろう。


 キリ キリキリ キリ……


「ひどい歯ぎしりだなあ」


 顎をグリグリして歯ぎしりを止めてやる。


 PU~~~~~~~


 こんどはオナラだ。


「ほんと、まるで男だ……って、本来は男だったよな……なんだか忘れかけてる……名前は? ケイト……いや、ケントだったか……字は? 思い出せない……記録しておいた方がいいな」


 右手を目の高さにもってきてウィンドを開く。


「ケイトは……」


 記録しようとしたら、テントの外でカサリと音がする。


「なんだ?」


 後ろで寝ているはずのブリに目をやると、姿がない。


 起きたのか?


 テントの外に出ると、月を仰いでシルエットになっているブリ。




「ブリも眠れないのか?」




 声を掛けると、小さな肩がピクリとした。


「テル(てりゅ)か……ケイトは?」


「ああ、素敵な寝相で眠って……」


 たったいま、ケイトについて大事なことをメモしようとしていた……だが思い出せない。


 まあいい、いまはブリだ。


「テル(てりゅ)にだけは伝えておきたいことがありゅのだ」


「なんだ、改まって?」


「ツインテールを解いてくれにゃいか」


「じぶんで解けばいいだろ、リボンの端を引っ張ればいいだけのことだ」


「バトル以外自分では解けない、ツインテールは主神オーディンの戒めらのりゃ」


「そか、分かった」


 ブリの後ろに迫り、胸の高さにある頭のリボンを解いてやる。



 ガキ!! 


 イテ!!



 いきなり顎に衝撃が来て目から星が出る。


「お、おまえ……!?」


 後姿のブリは、わたしと背丈が変わらなくなっていた。急に伸びた勢いでブリの頭がわたしの顎を直撃したのだ。


 ブロンドのロンゲをサワサワとなびかせつつ振り向いたブリ。


「な、なんちゅう美少女……」


「これが本来の姿だ。主神オーディンはツィンテールの戒めで、わたしを無辺街道に閉じ込めたのだ」


「オーディンの怒りに触れるようなことをしたのか?」


「詳しくは申せぬが、まあ、そういうことだ。ここまでの無辺街道は、わたしのための牢獄。これから先の無辺街道は、そのわたしを見張る獄卒たちのテリトリー。ここから先、わたしの力は限定的になる。それを承知で旅立ってほしいのだ」


「それは、遠まわしに――自分のことは自分でやれ――ということだな」


「むろん、わたしも力は尽くす。ただ、ここを超えればお尋ね者の脱獄囚であるから」


「……その脱獄の手伝いをする覚悟も持てということか」


「いやなら、わたしを置いて二人だけで旅立て。そのことを、テルにだけは伝えておきたかったのでな」


「わかった。これもなにかの縁だ、よろしく頼むよ」


 握手しようと手を出すと、ブリは一瞬ためらった。


「どうした?」


「もう一つ……とりあえずの目的地をヴァルハラに定めてはもらえぬだろうか」


「ブァルハラ……主神オーディンの居城だな」


「ああ、そうだ」


「……わかった、いいだろう」


 詳しくは聞かなかった、言える範囲なのだろうが、ブリは正直に話してくれた。それを持って了として、あらためて握手した。


「かたじけない、それでは、改めてツインテールにしてくれ、オーディーンの戒めを解いては旅ができぬからな」


「わかった、後ろを向け」


 艶やかなブロンドを愛しむように櫛けずってやって二つのリボンを結んでやる。


 音もなく背が縮んでいく……が、元の四五歳の背丈ではなかった。十二三歳の中一くらいの少女になった。


「オーディンほどではないが、どうやら、テルにも立派な魔力があるようだな」


「そうなのか?」


「この背丈に縮んだだけで済んでおる」


「わたしの力なのか?」


「ああ、なんというか……前に進む力とでも言おうか」


「そ、そうか……」


 ケイトと三人並んだら、いい組み合わせになりそうだ……そう感じて月を見上げた。




☆ ステータス


 HP:200 MP:100 属性:剣士テルキ 弓兵ケイト

 持ち物:ポーション・5 マップ:1 金の針:2 所持金:1000ギル

 装備:剣士の装備レベル1 弓兵の装備レベル1


☆ 主な登場人物


 テル(寺井光子)   二年生 今度の世界では小早川照姫


 ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトと変えられる

 ブリ         ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘

 ペギー        峠の万屋

 二宮冴子       二年生、不幸な事故で光子に殺される

 中臣美空       三年生、セミロングの『かの世部』部長

 志村時美       三年生、ポニテの『かの世部』副部長 

   

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ