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昼寝をしながら待ち続ける
猫は亡くなると虹の橋を渡り
毛皮を替え大好きな人の元へ
何度も何度も会いに行く。
…がたっ、がたがたがた
「今日はどうもあかんわ。全く開きやらへん。」
1人の老女が呟く。
「建て替えてかれこれ400年は経つさかい、しゃーないわ。
あとで徹さんになおしてもらおか。」
ここは東山にある、豊臣秀吉公が眠る山のお膝元。
古くからある小さな商店だ。
なにやら平安時代からあるとか。
歩いて10分程の場所に黄泉の国へと繋がる井戸がある為か
そこらを彷徨っている秀吉公を見かける。
近くに某女子大があるから仕方がなかろう。
(英雄色を好むとはよく言ったものだ。)
語り部を務めている吾輩は猫である。
もちろん名はあるぞ。“今の名”はジェンヌ。
商店の老女の子が宝塚歌劇団をこよなく愛しているようで
宝ジェンヌからジェンヌがつけられた。
ハイカラな名前だ。いささかむず痒い。
それに吾輩は雄猫だ。
それはさておき吾輩がなぜここにいるか。
理由は言うまでもない
会いたい人がここに来るのをずっと待っているのだ。
ここの味の忘れられずきっとあの人はここへ来るはずなのだ。
…幾星霜流れても