表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/27

深夜の創作ネタ【製紙法】について語るぜッ、ヒャッハー!!

ども、へっぽこ筆者の駄コボルトです、がぅ(*º▿º*)


今回は真夜中のtwitterで呟いた中世舞台の異世界で紙を普及させる事の困難さについてです。何故、“普及”なのかと言えば…… 元々、紙は紀元前からあります。


古代エジプトのパピルス紙で分かる通り、実は羊皮紙よりも先に紙があったのです。当初のエジプト人は動物の皮を剥いで文字を書くのは蛮族のやる事だと考えていたようですね。


ただし、パピルス紙は破れやすく、記録媒体としては問題があったので、徐々に重要な記録は羊皮紙を用いる様になります。


因みに理系極振り小説しか書いてないので、色々と調べたのですが…… 羊皮紙は一頭の羊からA4サイズが6枚ほどしか取れないと言われています。


羊皮紙の聖書は現在の価格に換算して一冊数百万と言われますね(*’▽’)


751年のタラス河畔の戦いを経て中国式の蔡倫による製紙法が中東経由で伝わるのですけど、遥か東からの輸入品なので羊皮紙よりも圧倒的に高いのです……


約500年程、西欧諸国で紙が普及しなかった理由です。


やがて布教の為にも聖書を増産しなければならない教皇の座すイタリアが西側で初めての製紙工場を造り、ヨーロッパの他国にも普及していく訳ですが、手作業で作られるので紙が高級品なのには変わりありません。


カリフォルニア大学のロビン・ケディ氏によれば、紙が普及したと思われる15世紀後半に本7冊が5ポンドだったとあります。一冊あたり0.7ポンドですね、当時の商人の家が2ポンドで建つことから、民家一軒くらいの価値があったと思われます。


書籍の価格を破壊するのはグーテンベルクの活版印刷ですけど、紙自体の値段は変らないのです。


そして来る1840年、ドイツ人のケラーが機械パルプを発明します。これは蒸気機関を動力とした旋盤機に砥石を付け、水に濡らしながら針葉樹を削って繊維状にしていったものです。


当然、樹液であるリグニンなどが除去出来てないので、破れやすく色も茶色っぽい新聞紙のような紙ですけど、パルプ紙は人類が初めて大量生産を可能とした記録媒体になるのです(≧▽≦)


この機械パルプは多大な機械的エネルギーを必要とするので、さらに改良されたのが現在の化学パルプです。


この化学パルプ、実現するには大きな壁がひとつあります。


木材を細切れのウッドチップに加工するのは比較的簡単で、蒸気機関式の旋盤機に数十枚ほど圧着させた円形ナイフを取り付けたウッドチッパーを製造すれば良いのですが……


木片から繊維を溶出させる薬品が問題なのです(-_-;)

硫化ナトリウムは生半可な事では造れません。


硫化ナトリウムの材料=硫酸ナトリウム + コークス

上記の内、【コークスは石炭の乾留】で精製できますけど、硫酸ナトリウムはかなり厄介です。


硫酸ナトリウムには硫酸と水酸化ナトリウムが必要で、【硫酸は硫黄と硝石を機密性の高い鉛釜に収めて焙焼】すればGetできるものの、後者は精製過程に電気が必要となります。


そも、発電可能なほど優れた磁石は人為的に作る必要があるので、歴史的に発電は電池より始まり、それを利用して生産した強力な磁石による方式に進化しますから、此処ではダニエル電池を想定しますね。


硫酸が作れたので、【亜鉛粉末を溶かした硫酸亜鉛水溶液】(マイナス極)と【銅粉末を溶かした硫酸銅水溶液】(プラス極)を造り、【別々の陶器に入れて負極には亜鉛棒、陽極には銅棒を差し入れて二つの心棒を結線】すれば1.1vの電流が流れ…… 食塩水の電気分解に於ける最低電圧の1.7vを満たして無いやん!!


仕方ないのでダニエル電池を更に作って直列で2.2vにします。

あ、銅線とかは中世なら既にありますでそれを配線に使ってください。


で、食塩水を作って入れた容器を石綿で仕切り、黒鉛を練り込むかコーティングした物質(炭素棒)を陽極、鉄かニッケルなどを陰極にして電気分解すると、やっとこさ水酸化ナトリウムが手に入ります。


この際に塩素も発生するので、繊維を漂泊して白い紙を作るために収集しておきましょう(*’▽’)


こうしてGetした水酸化ナトリウムと硫酸を反応させて硫酸ナトリウムを精製し、これを1000℃近い温度が出せる炉でコークスを触媒に還元させれば【硫化ナトリウム】が錬成されます。


もはや何の話をしていたか、分からなくなるレベル(;’∀’)


紆余曲折あって得た硫化ナトリウムをウッドチップが入った気密性の高い鉄釜に流し込みつつ、釜に繋げたボイラーから蒸気を流し込み続ければ、高温高圧化した内部の底面に溶け出した繊維(白液)が溜まります。


釜底の栓を抜いて回収し、十分に洗って不純物も取り除けば化学パルプの完成です…………… はっきり言って、現在のパルプ紙を作る工程の最難関は硫化ナトリウムを確保する事でしょうね、きっと。


それさえあれば、後はとんとん拍子に進むのです。


あと、事前に確保していた塩素ガスを消石灰に吸わせて次亜塩素酸カルシウム(カルキ)を作って、漂白するのが仕上げとなって、白い紙ができるのです(*º▿º*)

病的なまでの微に入り細を穿つ資料分析や、膨大な時間を投じて書かれている物語(੭ु ›ω‹)੭ु

興味が御座いましたら下記リンクからどうぞ♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いやー、白い紙を作るのって大変なんですね! うちの作中に出さなくてよかったです!
[一言] コピー用紙程度の白い紙でも薬品が何種類も必要になるらしいので、硫酸?硫化?ナトリウムよりも色々と煩雑になると思います。 ちなみに、薬品が多量に使われていて一部残留しているかもしれないので、現…
[一言] セルロースナノファイバー重ねるのはさすがにコスパわるいっすかね? 小学生の自由研究でできるくらいだから、案外作れるかと思ったのですが。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ