私達は【酸素が混じった窒素】に包まれて生きてるのさ~ ヒャッハー!
私達が日々吸っている空気ですが、僅か1立方センチメートルあたり(10の19乗)×3個もの分子が含まれてます。実はメタン、六フッ化硫黄、クリプトンなど30種類以上の物質が含まれている訳ですね~
ただし、どれも微量なので大まかには窒素78%、酸素21%、アルゴン0.9%で99.9%、残りの全物質が0.1%に含まれる訳です。ここら辺は義務教育で皆さんばっちりですね!
で、本題ですけど空気の大半は窒素なので地球上の動植物は窒素に包まれて生きてます。これだけ世界に満ちている物資だと思えば、その重要性は直感的に理解できると思います(*'▽')
窒素を発見した人物は諸説ありますが、1722年のダニエル・ラザフォードですね。当時は “気体” という概念が無いので「〇〇空気」と呼んでいました。
因みに窒素は「有毒空気」と名付けられ、有害極まりない物質だと誤認される訳です。
では気体科学の歴史を辿りましょう。すべての始まりはジョセフ・ブラックが「固定空気(二酸化炭素)」を発見した事から始まります。
当時から科学者に知られていた事実として【石灰石を焼くと軽くなる謎】というのがありました。それが気になってしょうがないブラックはある日、天啓を得ます。
“焼かれた石灰石の一部が空気になっているのでは……”
この発想に凄まじい科学者としてのセンスを感じますよね!!気体という概念すらない時代に空気に変性するなんて思いつくのは神懸っています。
そして時流も彼に味方します。
当時から存在した水上置換法と彼が人類史上初めて発見する二酸化炭素の組合せです。水に溶けない二酸化炭素は手頃な方法で収集できたのです(;'∀')
そうして集めた空気にネズミを投入するブラック、当然死にます。
そしてロウソクの火を入れたところ直ぐに消えてしまいます。
この二つの事実から、石灰石を焼いて出てきた空気(二酸化炭素)は通常の空気では無いと気付いたのです。それらの経緯を経て新たな存在は「固定空気」と名付けられます。
その次に発見されたのが“窒素”ですね~
冒頭のラザフォードはアルカリ性の灰汁に「固定空気」を吸収させた後、それでも“正体不明の空気”が残る事に気付きました。で、やることはブラック氏と同じです。
第三の空気を集めてネズミを投入するラザフォード、当然窒息死します。
結果、「有毒空気」と名付けられ、ドイツ人科学者たちは「窒息する空気」と好んで呼びました。この辺りが窒素の語源ですね。
当初、百害あって一利なしと言われたこの窒素が人類に不可欠な物になっていく経緯は調べても情報が少な過ぎて不明ですが……
“ウイルス”の発見者である微生物学者マルティヌス・ウィレム・ベイエリンクが解明したマメ科植物と根粒菌の共生関係は大きく影響している筈です。
マメ科植物に潜む根粒菌が大気中の窒素を吸収し、アンモニアなどの窒素化合物を排出した後、それらを栄養にして植物が成長する関係を鑑みれば窒素の有用性も見えてきます。
大きな転機はウィリアム・クルックスの大演説でしょう。
近代化で急激に増加する人口を支えるため、将来的な飢餓を予測した彼は科学的な肥料の裏付けが明瞭でなかった時期に以下の言葉を科学者たちに投げ掛けます。
「肥料の正体は窒素と燐酸とカリウムであり、作物の生育には窒素が鍵を握ってる。大気中には78%もの窒素があり、この大気中の窒素を取り出せば無尽蔵に肥料が手に入る」
つまり、“空気からパンを作る”と揶揄されたあれです。実際に空気から窒素化合物を精製するハーバーボッシュ法が実用化され、今も人類の食糧事情を支えてます。
もっとも素晴らしい発明を聞かれた時にこの人工的な窒素固定法を挙げる人も多いと思います('ω')ノ




