赤いコンビニ
こちらは意識して作品として何か伝えようと思って書いたものではありません。実際にあったこと、僕が常日頃考えていることを、家路という一つの場面の中に収めて書いた私小説です。しかし、改めて読むと、一貫性のある文章としても考えることができます。
まず他人に見られる自分を描き、それに対して街を見る自分を描いています。
僕は所謂コミュ障です。必要なら、全く知らない人と話すのは比較的容易にできますが、親密な関係になることに強い恐れを持っています。いつからか友人を作ることを諦めました。人通りの多い場所を歩くのは僕には苦しくて堪りません。変な目で見られているかも知れないと常に考えてしまいます。そんな自分を書きました。自虐というのは一種の防衛本能なのかも知れません。
そして、このコンビニというのは、後で調べると確かに系列会社が変わったみたいでした。そんなことがあったなぁ......とふと思い出して、どうしてもこの話を書きたくなりました。誰もコンビニの系列が変わったことを気にしません。それは当たり前のことで、その無関心に一抹の寂しさを感じるかも知れない。でも、無いものは存在しない、諸行は無常であるという姿勢を取れば、そんな寂しさも、はなから存在しないのかもしれません。