ひきこもり恋をする
私は天性不憫な男であることは
ロンドンの時計塔ビックベンが世界一正鵠な時を刻んでるくらい正確なことである
なぜならば私はひきこもりでありながら恋をしたからである
私という人間がひきこもったのは
ネットやゲームがあまりもの楽しかったからである
現実世界で切磋琢磨生きるなど馬鹿らしいとひきこもっていたら
気づけばコミュニケーションの取り方を忘れてしまい
現実に住む人に会うことをためらうようになった
つまりミイラとりがミイラなったのだ
なんとも愚にもつかない全貌である
それはともかく私はツイタタというコミュニケーションサイトで運命を感じてしまったのだ
私は絶対に誰もフォローせず、ただつぶやいて、初めの一人が運命の人だとそんな賭け事をしていたのだ
そしてそれがまさしく形になってしまった
彼女は私のつぶやきにすべてにいいねをしてくれたのだ
これはもう運命だ気があるとかし思えない
そう私は恋をしたのだ
だが彼女とまだ会話したことはない
彼女はいいねはしてくれるがコメントは残さない
それがもどかしく
でも自分が話しかけるのも恥ずかしかった
それに彼女のいいね履歴をみると他の人にもいいねをしているのだ
これはもしかしたら運命ではない
いいね魔かもしれない
でも私は心身ともに彼女に惚れていた
なぜかそれは彼女は私しかフォローしていなかったからだ
互いは互いだけを見ているそれにひどく心うたれた
私は一世一代の勇気を出して
おはよーっと打った
するとどうだ
おはようございますと敬語で返ってきた
ドキッとした
私はいつもいいねありがとうと打とうとして
なぜかあなたが好きですと無意識にうって送信してしまった
私はあわてて返信消去を押したが
返信がかえってきた
私も好きですよ
え?
僕は止まった
ほおが赤くなった
これはまさか
いやまて俺のコミュ力は53万これはいわいるハニートラップではないか
そう女とはメールに関係なくハートをつけるというそれではないのか
いわいる
いわいる
いやそんなことはもういい俺は彼女と会う約束をすることにした
そして無事に会う約束をとりつけた
俺の設定はイケイケ大学生ということになっている
勉強運動共に堪能なイケイケ学生ということになっている
俺はまずクローゼットを開けた
そして服がないことに気づいた
しかし約束は今日の朝7時駅前
今は朝の5時服を買いにいくにも店はない
俺は窮地にいた
かれこれ持っている服といえばジャージと中学の制服だ
デートに制服が通用するのは高校まで
かといってジャージでデートにいくやつがどこにいる
俺は中学の制服をアレンジすることにした
そうである
作ればいいのだ
このジャージと制服を組み合わせ
ナウでヤングでトレンディーな服をつくってしまえばいい
レディーギギもいっていた
服は着るより作るほうが楽しいと
今楽しさが必要なのかどうかわからないが
でも面白きことはよきことなりと
どこかの偉人もいっていた
私は動いた
毎日パソコンをタイピングしている私の器用さをなめてもらっちゃこまる
俺はきゃりーかみゅかみゅ顔負けの
服を完成させた
そうモンスタードレスを完成させてしまった
もう後先引けない
俺はこのてるてる坊主そっくりの姿で外へいくことになった
扉をあける
旋律が走る
俺はかれこれ三年扉を開けていない
そう
外出は三年ぶりだ
扉をあけた
ぶおおおおおおお
なんだ死ぬううううううううううううう
風だった
俺はヘッドホンを装着して
原住民の音をシャットアウトし
いざ出陣
早速難関へとぶつかる
人だかりだ
俺はボリュームをあげ
選曲を鉄板のたいやき君にセットした
今なるわかるこのたい焼きの気持ちが俺は涙を浮かべ走った
そして無事ついた
駅前
俺はデートの鉄則である三十分前到着に成功した
いい滑り出しだ
だが視線が気になる
そして子供がよってきた
あの写真いいですか?
俺はマスコットキャラクターじゃないと言おうとしたが
その無垢な表情に写真をとってあげた
どうやら自分はぬいぐるみ扱いされているようだ
次から次へと子供がよってくるので
私は風船を買いくばりはじめた
まるで遊園地のように駅に行列ができる
気づくと約束の時間が過ぎていることに気づいた
でも彼女はいない
俺はやっぱりと顔をおとしたその時
風船ください海さん
え?どうして私の名前
私はミクです
それはツイッターのハンドルネームの彼女だった
まさか
いいや並んでるから並んじゃいました
そして二人のデートがはじまった
まずは服を買いに行った
彼女ではなく自分のである
実に男として情けないが
この格好でデートをしていたら
もれなく彼女の目以外も引いてしまう
私はそれらしいポロシャツとジーンズでフォーマルな姿になり
いよいよもってデートが始動する
映画を見て手が触れ
喫茶店で目が合い
とうとう大詰めのナイトディナーまできた
ここまでは順調だ
自分がイケイケ大学生でないこともバレていない
私はさんざん見た漫画のセリフでシャンパンを乾杯した
君の瞳に乾杯
彼女はクスっと笑って乾杯と言ってくれた
そしていよいよ話は二人の将来についての話になった
自分は雑誌に載っていた一番いけてる職業をいった
俺はパイロットになります
彼女はまたクスっと笑って私はケーキ屋さんですと答えた
そしてラストメニューが届いた
デザートをつっつきながら
互いの心を確かめ合う最後の告白タイムへときた
だが私はどもった
顔が赤くなり
急にいままであった冷静さが飛んで行ってしまった
いわばあのツイタタでの告白は気休めであろう
つまりここでの告白がすべての答えなのだ
私はてんてこまいになりながら
好きですといった
すると私もずっと好きでした返ってきた
僕は聞いて
以前にあったことがあったのですかと
すると
私はあなたのクラスメイトですよと
返ってきた
そんな二人の恋の話はこれまで。