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ボイス  作者: 春河 琳音
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俺と母との間には

入院してから一週間。今日で入院生活も最後だ。まだ声は戻らないが、もう定期検診だけで良いと医師は言う。

「今日のうちに準備済ませてよね?」

黒髪ショートの女性。俺の母だ。自分ではよく分からないが、目尻の垂れ具合がそっくりなのだそうだ。

『うん』

俺は適当に返事をし、窓の外を見る。午後一時のせいか、外の景色は明るかった。

――朔、今日は来ないのか……

この人と二人きりはきついんだよな。

「御見舞、なかなか来れなくてごめんね。仕事が忙しくて」

『いいよ』

俺等の会話はいつもこうだ。母が仕事を理由に謝り、俺がいいよと言う。この後は話が続かなくて気まずい雰囲気になる。

俺の家は母子家庭だ。母は日中仕事へ行き、夜遅くに帰ってくる。だから、自然と顔をあわせることも少なくなった。いつの間にか、俺と母の間には大きな壁ができていた。

正直、母に見舞いに来られても迷惑なだけだ。


気まずい雰囲気のまま、最後の入院生活が終わってしまった。退院後、またあの静かすぎる家に一人だと考えると、少し憂鬱だ。

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