表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボイス  作者: 春河 琳音
5/15

朗報

「次は絶対に勝つからな!」

「いや、お前は俺には勝てないよ」

「あぁ、そうだな。だって俺は……」

智樹の姿が遠くなる。必死に手を伸ばすが、伸ばせば伸ばすほど遠ざかっていく。

「待ってくれ智樹! 行くなぁぁぁ!」

叫ぶ声が何かの雑音でかき消された。

「!?」

そこで目が覚めた。周りをゆっくり見渡すと、殺風景ないつもと変わらぬ病室だった。何故俺は一人部屋になってしまったのだろう。少し寂しい。

「目、覚めたのか」

ガラリと戸が空き、朔が入って来た。朔の細い手には、濡れたタオルがのっていた。

「すごい汗だから拭いてやろうと思ってな。」

『ありがとう。でも起きたことだし、自分で拭くよ』

ノートに書き、朔からタオルを受け取った。冷たいタオルがとても気持ち良かった。

「あのさ、お前が全部背負う事ないと思うぜ?」

朔は窓を見つめたまま言った。

「俺はお前に色々感謝してんだ。だから少しは俺を頼ってくれよ」

朔の茶色い髪が静かに揺れる。一体、俺が何をしたのだろう。感謝しているのはこっち側なのに。

――トントン――

ドアをノックする音が聞こえた。

「失礼します」

純那がちょこんと顔を覗かせた。

「え、この子って」

朔が俺を見る。俺はノートに書きこの前の事を説明した。ついでに純那にいらっしゃいと伝える。

「あの、今日は報告が」

純那は、もじもじと身体を揺らした。

『どうしたの?』

俺は聞いた。

「わ、私、放送部の部長になったんです!」

純那は満面の笑みを浮かべて言った。

「おぉ! おめでとう」

俺より先に朔が口を開けた。

『おめでとう』

朔に続いて俺も言う。

「ありがとうございます」

『相談があったら、いつでも来てね』

俺のノートを見て、朔は疑問に思った。

「二人はさ、お互いの連絡先持ってんの?」

「いえ、まだです」

「じゃあさ、今交換しようぜ」

という事で、俺と純那は連絡先を交換した。ちゃっかり朔も……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ