第9話 妖しいモノ
────なんで、なんで優子が!?
「ありえない‥‥仮に犯人がストーカーだとしてなんで優子?そんなのありえない」
「そうか?なら逆に聞くが優子がストーカーじゃない根拠は?」
その質問に唸る真美子。
「優子は私に手助けしてくれたし、何より支えてくれた!」
「‥‥そうだな、常に手を貸しお前にアドバイスをした。だからこそ常にお前を見張り、警察の目を欺き、誘導することができた」
「何を‥‥意味がわからない‥‥それじゃ私が犯人に利用されて────」
「それにお前も見たはずだ、怪しい優子の影を」
彼女はそこではっと目を見開いた。
さっき見た優子の影。明らかに変だった。
────そうだ、私、確かに優子に助けてもらって、警察、‥‥人‥‥
そこで記憶が断片的に見え、また頭に痛みが走る。真美子はしゃがみ込んだ。
「‥‥やはりお前の記憶は戻らせないように細工してあるみたいだな」
「ち、違う、私は利用されてないし、優子は人殺しじゃない!」
叫ぶと辺りを沈黙が支配した。
長い沈黙で真美子の頭の痛みも和らぎ、顔を上げた。
ハクが目の前におらず慌てて探した。彼は耳に手を当てて壁際にいた。
探偵と連絡を取っているんだろう。
少し見ていると今度は壁に何かあるかのように手探りた。
「妖刀って知ってるか?」
唐突にハクが尋ねた。
────妖刀って、人の魂を喰うだとか、呪われた刀とか?
急に話を変えられ、真美子考えて怪訝な顔をした。
「まあ多分お前の考えてる通りのものだな。この世にはまだまだ計り知れない力がある。妖刀もその一つだ」
彼は木刀を見つめ、額に押し当てた────と一瞬一際光を放った。
瞑ってしまった瞼を開けると、ハクは白い木刀を持っていた。
「俺ではお前が何者なのか、優子が何者なのか証明できない。だから今からお前には次元の違う世界を見てもらう‥‥そうすれば全部わかるはずだ」
真美子にはさっきからこの中級ボディーガードが何を言っているのかよくわからず、木刀の手品も仕掛けが理解できず何も言えなかった。
そんな真美子を一瞥し、ハクは壁に向き直り、腰を落とし、2本の木刀を前後に水平に構えた。
そして目にも止まらない速さで目の前に突進した。




