第8話 困惑
「俺とミナは小型無線機で、ある程度の距離なら話ができるんだが‥‥」
────‥‥そういえば手を耳に当てたりしてた
真美子は思い当たる節を頭に浮かべながら続きを待った。
「まあ、ずっと情報を交換してたわけだ」
「情報?」
「どう動くか、何をすればいいか、お前の状況、友人の状況‥‥正直ここまで計算通り、あとは俺がやつを倒せるかどうか」
真美子の心臓が「やつ」という言葉に反応しビクンとはねた。
「‥‥やつって?」
と、目の前が白く仄かに明るくなった。ハクが何か長細い物を持っている。目をパチクリとさせ、凝らして見るとそれは2本の木刀で、発光源がそれだった。
「ひ、光ってる?何かの道具ですか?」
「最近これを使うと僅かに光るとわかった。まあこういう使い方は初めてだが」
真美子は彼が何を言っているかよくわからず、苦笑いした。
「お前は初めから妙だった」
沈黙のあと唐突に彼が口を開いた。真美子は眉間にシワを寄せ、木刀を眺めたままのハクの口元を見つめた。
「曖昧な記憶に妙なストーカー‥‥」
────確かに‥‥記憶はなんか変だけど
「まあ、お前が何者なのかは今の俺では証明できないがな」
「私はあなたたちが何者かが知りたいですね」
嫌な空気を壊すように真美子は逆に聞いた。が、ただ彼は頭を振っただけだった。
「まどろっこしいな、説明は苦手だ」
ハクは頭をかいて真美子に顔を向けた。
「ここらで最近流行ってる怪事件があってな‥‥」
「怪事件?」
「すでに3人殺されている」
「え、殺‥‥?そんな事件聞いたこと」
「まだ日が浅いし、本人の遺体も見つかってないからな。ニュースには行方不明としかない」
真美子は首を傾げた。
「ここの屋敷を下調べしたとき、見つけた。その3人の遺品と死んだ本人たちを」
「う、嘘」
「嘘かどうかはすぐにわかるさ。ただ3人は白骨化してた。まだ1週間も経ってないのにだ、変だと思わないか?」
────白骨化?確かにそんな短期間でありえない
「だから怪事件だと?」
「ああ。そしてさっき聞いたな、奴は誰なのか‥‥」
それを聞いて真美子の心臓が早鐘のように鳴る。
「やつはこの事件の犯人であり」
────嫌だ
「やつはお前をストーカーしてたやつだ」
────嫌だ!
「つまりお前の友人、優子だ」




