第69話 合流
ミナと桜は早めに目的地に着いていた。真夜中なために当然辺りに人の気配はない。
およそSSPの連中が何人かいるかと思ったが見当たらなかった。
しかしいないなら余計な邪魔が入らないので好都合だ。
ミナは懐中時計を取り出して時間を見た。
────遅いな
「遅いですね。なにをやっているのでしょうか」
代弁するかのように召し使いがため息をついた。
ミナは頷いた。
「まあ、もう少し待ってみるか」
桜の方は手ぶらなのだが、今回はミナは小さいリュックを背負ってきていた。中身はロープやら手袋、無線、ペンライトの予備やら念のための物が入っている。
彼女は折りたたまれた、数珠繋ぎに紐と鋭利で薄い鋼で繋がっている物を取り出した。先に行くにつれて細くなっている。
ミナが柄のようなところを持ち、飛び出た紐を引くと、鋭い金属音を立てて薄い刃が繋がって、一振りの剣になった。
所詮は護身用のようなもので強度はそれほどではなく、下手に使うとすぐに壊れてしまうだろう。
しかしこのギミックが彼女を刺激し、携帯している。
「お嬢様、できれば戦闘は避けるようにしておきたいです」
武器を手にとって眺めるミナに気付いて桜が口を出した。
わかっている、と伝えると召し使いは胸元のズレたリボンを結び直した。
────しかし戦闘にならないと欲しいものも手に入らないのだよ
口端を上げて笑う。
ミナはリュックを閉じてまた背負った。
懐中時計を取り出して時間を見るが大して時間はたってない。
「ふむ……なにをやっているのだ、あやつは」
「あ、来ましたよ」
呟いたと同時に桜が人影のある方向を指差した。
その二つの人影に眉間にシワを寄せるミナ。
姿がはっきり確認できると、もう一人はアレキサンダーだとわかった。
「なぜアレキサンダーが?」
彼らが近くまで来るとミナは首を傾げて聞いた。なにか理由があるはずだ。
今回の件は自分たちだけで行くものだったはず。
ハクは頭をかいてうなった。
「どうしてもついて来たいって、聞かないもんだから」
彼はそれと、と付け加え、有益な情報の提供をもらったからだと話した。
内容は『手』の組織の主役人物の人数。
「ふむ、他には?」
聞くとハクは肩をすくめた。
アレキサンダーの方にも聞いたが他には知らないらしく、首を振った。
────指の数、5人、親指……か
それが本当として、まずは誰が親玉なのかを調べる必要がある。そして目当ての物を奪取する。
ミナは笑みを浮かべその場にいるものに付いて来るようにいった。
「いいんですか?お嬢様、アレキサンダーさんを連れてっても?」
側に来ながら召し使いが耳打ちする。
「構わん。本人が望むなら仕方あるまい。変に騒がれても困る」
彼女らは暗くて狭い路地をペンライト一つの明かりのみで歩いていく。
「殺人鬼は『手』の組織の1人がやったんだな」
唐突にハクが口を開いた。
「ああ、そうなる」
ミナが答える。
「やつらの狙う最後の1人はどこに?同じ場所にいるとは思えないが」
召し使いも同じ疑問を抱いており、耳をそばだてているのがわかった。気になるのだろう。
「確かに。しかしそれなら第4、第5の犠牲者が出た時点で相手側は逃げればいい。しかし6、7と犠牲者が出た。気づいて無いわけでも対策をしてなかったわけでもないであろう、SSPも動いてるわけだしな」
「なら何故犠牲者が出るかもしれないのに同じ場所に?」
今度は桜が疑問を口にする。
「おそらく、そこにはなにかあるのだ、退けない何かが。まあ何かはわからんがな」
ミナは問答は終わりだというように、ペンライトの明かりを消した。
「それで……、8人目の場所は?」
ハクが、他のメンバーの気持ちを代弁して聞いた。
彼女はまた笑みを浮かべて地面を爪先でタップを踏むように蹴った。
「地下だ」




