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暗い夜に踊る  作者: ビシン
鉄編
67/70

第67話 庭にて

庭から直接繋がるドアから中へ戻ると、ミナがニヤつきながら窓の外を眺めていた。いつからそこにいたのか、最初からいたのか。


二つの走る音が背後から聞こえ、断続的にネコの悲鳴が聞こえる。


「見てたのか」


ハクは三角巾を再び頭に巻いた。


「ふむ、一興であったぞ」


「止めてくれてもよかったんだがな」


ハクが冷たく目を細めるとミナは高笑いした。


「ふふ、まさか。面白くない」


「お前な……」


彼女がそういう性格だとわかってはいたが、改めて確認するとため息が出る。


『他人の不幸は蜜の味』とはよく言ったものだ。


「それにしてもやつは案外弱いな」


窓から様子を伺いながらミナが言う。常人からみたらあの体格に筋力、とても弱いとは言えないが、ガードマンの視点からはありふれたものだ。特別性も見られなかった。


「いや、あの体格で体術とか覚えてほしくはない」


それでもハクはそう言った。


「ふむ……、今回はやつは使えそうにない。私たちだけでやるか」


彼はその発言で彼女の方を向いた。手を顎につけて何か考えているようだ。


「目処はついたのか?」


そう話しかけても彼女は反応せず、ハクはネコとアレキサンダーのやり取りに顔を向けた。


ネコは変身能力で猫の小さいサイズになり、大男の手からすり抜けた。大男は驚いてはいたが、ネコのバカにしたような煽りにまた追いかけ出す。ヨシキは地面で笑い転げていた。


「今、目処がついた」


不意にミナが顔を上げて先程の質問に答えた。


「これ以上は待てん、準備は整っているか?」


この発言がそろそろくるかと思っていたハクは頷いた。彼女のこういう言葉はいつも突発だ。だからいつでも準備はしておかなければならない。


「いつでも」


「今夜、行動開始する」


ミナはニヤリと笑った。それが、ようやく作戦が決行されるものからなのか、ネコがまたアレキサンダーに捕まった面白さからなのかはわからなかった。


ネコがまた悲鳴を上げる。







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